6. 2日目 初日
先週分です。今週分は土日のどちらかで
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「見て!ライリー様がいらっしゃるわ!」
「本当だ!流石は王族の一員。他のご兄弟にも引けを取らない美貌!」
「キャー、ライリー様~!!!」
四方八方からかけられる声に笑みを浮かべながら、声の主達に手を振っていく。
先日の内容は、瞬く間に市井にまで広がっている。そのおかげでこうして歩いているだけでも声をかけられてしまい、朝から笑顔を浮かべっぱなしだ。そろそろ私の表情筋が泣くぞ。だが、この反応も今だけだと思えば我慢できる。貴族院では側仕えを連れてくるのは禁止されているからな、今日からはルーナの監視も解けるし、やりたい放題だ。
(私は貴族院を潰すぞ、父上)
父上が正式に私達六人を王位継承者として扱うと宣言したために、争いの火蓋が切って落とされた訳だが…。それは、つまり王位奪取に向けた行動であれば何をしても許されるという免罪符を得たことにもなる。まぁ、だからこそ今までの王位継承者達が亡くなった時は王族も、貴族も、市井の者達も反感を抱きこそすれ、反乱は起こさなかったのだが。皮肉なものだよ。
「さてと、私の教室はどこだ?」
貴族院の正面玄関に大きな名簿が張り出されており、そこで私は自分の名前を探すことになる。え~と、私はEクラスか。知り合いが居ない方が気が楽なんだが、さてと…。
(あぁ、最悪だ。よりにもよって魔法省局長の次男がいるクラスか)
周囲の者に気取られないよう普段通りに歩くが、心の内では不満しかない。本当に何故よりにもよって魔法省関係者の子供と同じクラスなんだ。これから私がしようとする事は、魔法省に喧嘩を売る事と同意のモノなんだぞ!?
そんな今更どうしようもない事に頭を抱えつつ、ついに辿り着いてしまった。だが、まぁ初めから近づかなければ問題はないか…と無理やり自分を納得させて教室内に足を踏み入れる。瞬間、教室内にいた者達の視線を浴びるが別に慣れていることなので気にはしない。とりあえず、窓側の一番後ろの席が空いていたため座ることとする。
「あの…ライリー様。今、お時間よろしいでしょうか?」
「あ、あの私も!」
「僕も!」
「ああ、構わないよ。何かな?」
そうくるだろうとは、昨日のうちから想像出来ていたことだけど案の定の行動に溜息をつきたいところだ。大方、機会があれば親から繋がりを持てとでも厳命されたんだろう。
私に話しかける全員が、自分の自己紹介をし始める。そんなもの、どうせ今日は貴族院初日ということで教師のほうから自己紹介の時間が取られるだろうというのに。
「これからよろしく」
適当な返事をそれぞれに返し、私はそう締めくくる。まだ、話し足りなさそうにしていたが教師が入室してくるのが見えたからか、全員が席に戻っていく。
「あ~今日からこのEクラスを受け持つことになったジョー・クラウスだ。専門は魔法生物学。一年間よろしく頼む。さてと…今日は初日ということもあって、まず貴族院についての説明に入る。適宜質問があれば、挙手するように」