5. 1日目 謁見後
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「とても勇ましいお姿でした、ライリー様。私もう泣きそうで泣きそうで…」
無事に王への謁見が終わり、私とルーナは私の自室へと戻っていた。謁見の間では発言が許可されていなかったためか、彼女は先程からこの調子なので好きなように言わせておく。
(これである程度の時間稼ぎが出来れば良いんだがな…)
ルーナには悪いが、私は王位を継承するつもりなんて毛先ほども無い!だが、兄弟の誰かが死ぬのは見たくないから、策を打たせてもらっただけだ。明日から始まる王位継承争いに向けてのな。
アリア姉上を除いた全員は自分こそが王になるに相応しいと考えている。だからこそ、どんな手を使ってでも対抗馬を消そうとするだろう。そんな事をさせればすぐに死人が出るのは自明の理。なら、彼らの抹消リストの第一位に私を置かせれば良い。私であれば、自惚れでも何でもなく物理的にも魔法的にも彼らに殺される可能性は少ない。
(これでアリア姉上への危険性が少しでも下がれば作戦は上々)
まぁ、アリア姉上は敵ではないと他の皆もみなしているだろうし、二、三年は平気だろう。その間にどこまで出来るか。
(はぁ~。面倒だな、王位とかどうでもいいー)
「…様!ライリー様!聞いてらっしゃいますか?」
いつの間にか泣き止んでいたルーナに話しかけられていたみたいだ。
「なんだい?」
「ですから、貴族院の制服が届いたみたいなので試着をお願い致します」
「わかったよ。けれど、きちんと男性用のにしてくれただろうね?男性用じゃなくても、せめてズボンにしてくれないと困るんだが」
「はい、きちんとご要望通りに」
ルーナの手には貴族院の制服があった。本当にこの侍女は普段抜けているようで、仕事はしっかりしているなぁ。