32. 6日目 教育係
雨の季節ですねぇ
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「それじゃあルーナ、私は貴族院に行くからその間のレイラの教育を頼む。引き取った手前、何も与えないのは主人としての義務を放棄したも同然だからな。これからは、彼女も侍女としてこの家に住まわせる」
「かしこまりました。侍女長から別邸での仕事を許可して頂きましたので、私も今日からこちらで働きます」
まぁ仕方ないか。一人での生活も楽しくはあったが、やはり家事を一人でこなすのは大変だし丁度良かったかもな。
「それにしても…レイラはまだ部屋に居るのか?朝にキスを済ましてからずっとこもっているじゃないか。一体どうした?」
「え~、まぁ彼女の踏ん切りがつくまでは……そのままにしておいて下さい。それよりもライリー様、そろそろ行かれた方がよろしいかと存じます」
……っと確かに授業に間に合うか微妙な時間帯だ。
「……ルーナ、行ってくる」
「えぇ、いってらっしゃいませ。良い一日をお過ごしください」
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主人の背中が見えなくなるまでお見送りをするのは従者として基本です。ほんの一週間程度ですが、やはり離れていた時間を考えると久々にこうしてライリー様に直接仕える事が出来るというのは幸せですね。
昨夜は気まずい雰囲気になってしまいましたが、ライリー様もその話には触れないよう気を遣って下さっていますし、私も気にせずこれからの仕事に専念していきましょう。
「さて、流石に呼びに行きましょうか」
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「レイラ、いつまでそうしているつもりですか。早く出てきなさい」
「―――っこ、こんなっカッコウで出るなんてムリだ!よくコレをオマエは着ていられるな。こんなのボクには恥ずかしすぎる!」
ハァ~。まったく文句の多い子ですね。
「何が気に入らないんですか?とにかく一度出てきなさい。もう貴女は侍女としてこの家で働くことが決まっているのです。私の教育を受けずに、仕事をしないようならライリー様に報告しますよ」
あの方の事ですから、他の方法を模索しそうですが甘やかすのはこの子の今後に悪影響を及ぼすだけです。教育係となった以上、この子にはライリー様のお傍にいるに相応しい立ち居振る舞いをしてもらわないと……
「残り五秒、四、三」
「わかったよっ!」
彼女の扉がゆっくりと開いていき、私は扉にぶつからぬよう一歩下がります。
「うぅ~。なんでコレ着なきゃダメなんだ?」
「それは勿論、これこそが侍女の正装だからですよ」
他国では“メイド服”と呼ばれる白と黒を基調にしたものです。私とレイラが着ているのは“クラシカル”という種類のロングスカートのメイド服です。
「こんなの動きづらいだけじゃないか。何でコレを正装にしたんだ?なぁ、ボクもアイツみたいにズボンじゃダメか?アッチの方が良い!!!」
「アイツではなく主様と呼びなさい。……仕方ないですね、これ以上押し問答を続けていたら時間を無駄にするだけですし、貴女には執事用の服を持ってきましょう」
―――ようやく仕事を始められますね。
「思っていたよりも似合いますね。カッコいいですよ、レイラ」
「えっ?そ、そうか……。まぁさっきのよりは好きだ。それで、ボクはナニをすればいい?主からはルーナに聞くようにって言われたけど」
「まずは掃除です。さぁ道具を取りに行きますよ」
「えぇ~掃除は毛にホコリがつくから嫌いだ!」
「文句は仕事を実際にやってみてからにしなさい。それと、今日からはその口調も直していきますからね」
見た目相応ではありますが、いつまでもそれをされるとライリー様の品位に関わります。
「ただ、そのアクセントまでは直さなくていいですよ」
「口調は直すのに、アクセントはダイジョウブって意味がワカラナイんだけど…」
「だって、そのアクセントは貴女がこれまでどう育ってきたかを伝えるモノで…それは貴女の個性ですから」
「ふーん、別に直す気はないけどね!」
……この子の教育は長くなりそうですね。




