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側室出身王女と正室出身王女の世界転覆  作者: 空色 蒼
第一章 貴族院編
22/43

22. 4日目 名前

更新が遅くなり、申し訳ございません!


仕事の方で人生最大の失敗をしてしまい、本当に精神的に追い込まれてしまって、、、

無事に解決しましたので、こうして執筆活動に戻らせて頂きました。


これからも『側室出身王女と正室出身王女の世界転覆』をお楽しみ下さい!

□■□



 苦しみだしたかと思うと、泣き出したり、彼女の身に何が起こっているんだ?


 「ご心配せずとも、もうすぐ契約は終わりますよ。ほら……」


 オーナーの言葉を合図にしたかのように、虚ろな目になった少女が立ち上がる。


 「さぁ、契約の最終段階です。貴方の血をコイツに飲ませてください」


 「血ですか。わかりました」


 手持ちのナイフで指を切りつけ、彼女の口の中へとその指を突っ込む。それに抵抗することなく彼女はコクッと喉を鳴らし、私の血を飲む。すると首輪のようなモノが彼女の首に浮かび上がる。


 「これでいいのですか?」


 「はい、これで契約は終了です。後はご自由に扱ってください。ただ一つ注意点としましては稀に精神抵抗力が強い奴隷がおります。その時は『魂ノ自縛』と唱えてください。強制的に動きをとめることが可能です」


 「わかった。それでは支払いに移りましょう。いくらです?」


 「本来であれば下級奴隷の正規値段で頂きたいところですが、こちらの不手際でお嬢様を怪我させてしまいましたので……少し下げて23万7000エルでいかがでしょう?」


 値引きした割には高いのだな。獣人族だからか?


 「それで構いません」


 闇魔法で収納していた金を懐から見えないように取り出し、提示された金額ちょうどの金を机に置く。


 「それではお世話になりました。また機会があれば是非買わせてください」


 「またのご来店お待ちしております」


 退出する私に対して男が深々と頭を下げたのを感じ取りながら、少女を連れて店を後にした。


□■□


 「演技とはいえ怪我をさせてしまったな…」


 相手にわからないよう手加減はしていたが、顔は血で汚れ、打ち身で内出血している箇所もある。我ながら酷い事をしたものだ。相手が信じるかも微妙だったのに、危険な賭けに躍り出て彼女に不要な怪我を負わせた。今は暗示の効果で静かにしているが、起きたら益々暴れまわるのだろうな。罵詈雑言を私に浴びせ、またこの美しい白い爪で襲い掛かるんだ。


 「お前は何もしていないのに、嫌な事に巻き込まれてばかりだ。すまない……」


 西地区から徒歩で三十分以上歩き、やっと別宅へと辿り着く。彼女の意識が目覚める前にここに来れて良かった…。流石に街中で暴れられるのは困るからな。

 自室へと入り、備え付けの洗面台で布を濡らして彼女の汚れてしまった顔を優しく、丁寧に拭いていく。すでに蒼くなっている箇所には冷たい布を宛がう。この青痣がすぐに消えてくれると良いんだが…。


 「さて、そろそろか…」


 すでに彼女に魔法を掛けてから一時間が経過している。もう何時暗示が解けるか解らない。念の為、彼女には命令して布を宛がわせたまま、私と距離を取らせる。


 …万が一に備えて、防御魔法の展開が出来る様にな。


 「ッん………」


 「起きたか」


 「っつ!!―――ボクに何をした!?」


 一瞬にして臨戦態勢に切り替わるか…。まぁ仕方ない。昨日と今日で私が彼女にしたことを考えれば信用できる人物としては見られないだろう。


 「何も……と言いたいのは山々だが、すまない。君の顔の怪我は私がヤッたものだ。一応冷やしたが…痛むか?」


 少女は自分が持っていた布を私に投げつけ、鋭い目つきで私を射殺さんと睨んでくる。


 「“痛むか”だって?……やっぱりお前も人間族だな!!人の痛みも解らないこの畜生が!!!」


 案の定彼女はベッドに腰掛ける私に飛び掛かろうと脚を屈ませる。


 ―――ハァ。


 「魂ノ自縛」


 男に教えられた詠唱を唱えると、彼女の首に刻まれた魔法陣の首輪が光り出し、その首輪から白銀の鎖伸びて身体を一瞬にして拘束する。


 「この鎖っ!!!やっぱりお前だったんだな!」


 「やはり…という言葉に覚えは無いんだが。君と静かに対話するには、君をあの男達から買い取った方が早いと思ってね。…それにしても驚いた。君を買うのに奇妙な魔法契約をさせられたが……奴隷を買う際には必須のモノのようだね」


 「お前……何も知らずに、ボクと隷属の契りを…結んだって言うのか?」


 心なしか声が震えているように聞こえる。まぁ術者が未知の魔法を使用したと聞けば、その心情も解らなくはない。だが、安心してほしい。


 「いや?きちんと、あのオーナーとやらからこの契約に関する事は全て訊いておいたぞ。まず私達が結んだ契約の名は『隷属の契り』。術者―――血を与えた契約者の全ての命に被術者は従う。術者は本人が望めば、相手の居場所を知ったり、その者の魔力を借りることが出来る。他にも声に出さずとも意思疎通が出来るようになったり…これは双方の同意がないと難しいようだが、ある程度の感情の揺らぎなども把握できるらしい。そして被術者が反抗した場合には先程の詠唱を唱えれば拘束が可能。また、契約内容の変更方法と破棄の方法も教えてもらっている」


 どうだ、きちんとこの魔法については把握しているぞ?と少しドヤ顔をしてみれば、眼前の少女はへたりと座り込んでしまう。


 「……オワッタ。もう、ボクの人生…オワッチャッタ。はは、あははははは!!―――いいよ、もう好きにして。どうせ拷問にでも掛けるんでしょ?ボクは殺されるまで、その痛みに耐えながら、お前を…お前ら人間族全員を呪ってやる!!!死ねぇ!死んじまえ!!しっ―――」


 「―――君は殺さない。殺すつもりなら、こんな傷を負う前にヤっている」


 私は着ていたドレスの上をはだけさせ、巻いていた包帯を取って背中を彼女に見せる。そこには先日彼女がつけた攻撃の痕が痛ましく残っているはずだ。皮膚が再生しようとしている段階だから、傷口はジュクジュクで気持ちの悪い見た目をしている。

 片手に束ねた黒髪を胸側にもっていき、さらに彼女に見えやすいようにする。私は首だけを動かして背後にいる彼女を見やる。


 「お前があの男達にどんな目に遭わされたのか、私は知らないし、知ろうとも思わない。しかし、先日からの君のことならわかる。お前は大切な人達を傷つけられて怒っている。家族か?兄弟か?それとも彼らよりも愛しい人か?お前が人間族を嫌いになる理由は解らないでもない。しかし―――私はお前が今思い浮かべたその人達を傷つけてはいない」


 ―――私が傷つけたのはお前だけだ。


 「先日での戦いでお前に切り傷を負わせ、今日はお前が抵抗出来ないように細工をしてまでその可愛らしくて、綺麗な顔を傷つけた。それにも飽き足らず、私は魔法を使ってお前の今後の自由までも奪った。…奴隷という証をお前の首につけてまで」


 ―――それでも、お前が憎むのはあの男達なのか?人間族なのか?


 「違うだろう。お前が恨むべきは―――」


 ―――私、ただ一人だ。


 「なら、その恨みを生きる活力に変えろ。私を殺すのではなく、生きる源にしろ。日々を足掻いて、足掻いて、それでもやはり私が憎いなら……私を殺せばいい。私は自分の目標が達成されてさえいれば、お前に素直に殺されよう。私はお前をこれからは傷つけないし、悲しませないし、苦しませない。お前が明日を笑顔で迎えられるよう、私はお前を―――お前が私を殺すその日まで、守り続けよう」


 「そんな…口約束に、乗るとでも?」


 「信じられないのなら、これがその証だ」


 「名モ無キ風ノ精ヨ、喪ワレシ火ノ精ヨ、渇キヲ求メル水ノ精ヨ、姿ナキ闇ノ精ヨ、希望ナキ光ノ精ヨ。我、自身ノ魔二オイテ此処二命ズル者。コノ者の身体ト血ト魂ヲ、我ノ命尽キル、ソノ日マデ守リ続ケルコトヲ誓ウ。虚空魔法―――隷属の証」


 再び彼女の首輪が光る。これで契約内容の変更が出来たはずだ。


 「これでお前の命は保証された。これでもまだ私の言葉を疑うか?」


 「……ボクは人間族を許してなんかいない」


 (あぁ、そうだろうな)


 「でも…この首輪がある限り、ボクはボクの思う通りに生きてはいけない……」


 「ならどうする?」


 「癪だけど、ボクは……お前の命で満足するしかないみたい。いいよ、ボクの家族や愛しい人達が受けたその痛みを、お前にだけ味わわせてやる。お前のその目標とやらが達成されたその日に殺してやる」


 「そうか。…なら私はその復讐心と殺意を、お前がいつか捨てられるよう傍にいよう」


 乱れたドレスを直さず、私はベッドから降りて彼女の前に跪く。右手を伸ばし、彼女の首にそっと触れる。すると今まで彼女を縛り付けていた鎖が首輪の中に収納されていく。そして無言のまま警戒心むき出しの少女の顎を指で持ち上げて、私と目線を合わさせる。


 「改めて自己紹介をしようか。私は―――この国の第四王女ライリー・エルヴィスだ」


 フフフ、思わず笑みが零れてしまう。そこまで驚いた顔をしなくてもいいだろう。


 「これからお前の主となる者だ。さぁ、最初の()()()だ。―――名前を教えてくれないか?」


 「……レイラ。白狼(びゃくろう)族のレイラ」


 「レイラか…。綺麗な名前だ」




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[良い点] 面白いです 続きが楽しみです
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