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戦闘技能の試験が終わった。どの程度のことが出来ればよかったのか全く分からないまま、5分という短い時間での模擬戦は中々難しい試験だったのではないだろうか。勝つだけでいいのなら他にもやりようはあったのだけど…どうせならと時間一杯使った結果だった。
「戦闘技能の試験お疲れさまでした。現在行われている他の訓練所での試験が終わり次第次の試験へと移動となりますので、しばらくそのままお待ちください」
そうか…自分達が終わったからといって他の部屋で試験受けている人もみんな終わったわけじゃないんだ。そう言うことなら大人しく待つしかない。俺は観客席のところに座り次の試験のことについて考え…たいんだけど。さっきからちらちらとなんか視線を感じる。やっぱりあれかな~ この試験で相手に勝てたのは俺ともう一人女の子だけだった。それもあって見られているんだろうね。負けたほうがよかったのかな…だけどわざと負けるのも失礼ってものだし。
<次の試験への移動をお願いします。各訓練室の準備が整い次第開始となります>
どうやら訓練室の移動をするらしいね。俺が次に受ける魔法技能の試験の会場は第3魔法訓練室。ぞろぞろと訓練室をみんなでていくのでおれも場所を確認してからその後へとついていく。するとてっきりみんな同じ第3へ行くのかと思ったら違うみたいで、途中から廊下を違う方向へと向かっていく人もいた。というかさっきまでぞろぞろと一緒に歩いていた人の大半がいなくなる。本当に向かっている方向があっているのか不安になったが、壁貼られている案内には第3はまだ先のよう…戦闘技能とは部屋の割り振り方が違うってことなんだろうか。
第3魔法訓練室についた。他の訓練室にいた人たちもぞろぞろとやってくるのであっという間に室内の人数が多くなる。だけどさっきの試験より人が少ないかもしれない。
「あ、いたいた。ねえそこのっ」
訓練室の作りはさっきとあまり変わらないみたいだけど、少し違うところがある。弓の的あてみたいなものが5つ隅の方に床から生えて並んでいた。
「無視しないでよっ」
グイっと肩を掴まれ俺は体の向きを変えられる。視界に入ってきたのは受付の所で話しかけてきた女の子だった。知り合いなんていないから話しかけられてこっちはかなり驚いている。
「え…俺?」
「そうあんたよ」
銀色の髪の毛を高い位置に一つに束ねている女の子で、さっきの試験で同じ部屋にいたのを覚えている。なんで覚えているのかっていうと、対戦で勝っていたもう一人だからだ。そうじゃなかったら多分覚えていもいない。それはいいのだけど、なんで俺に話しかけてきたんだろうか。
「さっきの試験見てたわ。強いのね」
「あーありがとう。君もね」
「ジェシカよ」
「あっ 俺はシオン」
「ねえシ…」
<準備が整い次第開始をお願いします>
ジェシカが何かを言いかけたところで声が響いた。この声が聞こえた途端周りの雑談していた声も静かになる。この室内でこれから説明が始まるのを誰もが身構えていた。それはもちろん俺も、何かを言いかけたジェシカもだ。
「それでは魔法技能の試験を始めるぞ」
室内で声をあげたのは今度は大人の男。多分この学園の先生か何かなんじゃないかな。
「魔法技能はあそこにある的へ向けて魔法を使用してもらう。魔法の発動速度、威力、精度を見させてもらうためだな。もちろん得意な魔法で思いっきりやってもらって構わない。質問のあるものはいるか」
「はい! 攻撃出来る魔法がない人はどうすればいいですか?」
「使う内容をその時に行ってくれればその都度対処する。あーそれと魔法を使ったこともない人はこの道具を貸すので、自分の番になったら言ってくれ。この杖は込めた魔力を飛ばす魔道具になる。詠唱も何もなくても魔法が使えるものだが…あくまでも飛ばすのはただの魔力になるので、他の属性が付いた魔法のような効果は望めない」
へー便利なものがあるんだね。あくまでも魔法を使用したときを想定した測定用の道具ってところなのかも?
「じゃあ始めるぞ~ 的の上の方に番号が出るから出た番号のやつはそれぞれの的から離れた…ここの線から魔法をあててくれ」
距離は大体10mくらいか。
試験が始まり表示された番号から順番に魔法がうたれていく。てっきりさっき言いかけた続きを話すかと思ったジェシカは無言でじっとその様子を眺めている。やっぱり他の人の実力が気になるってところかな。俺も同年代の子供たちがどの程度の魔法が使えるのかには興味がある。今まで周りは大人ばかりだったので何の参考にもならなかったんだ。
色とりどりの魔法が的へと飛んでいく…的から外れたり、そもそも届いていない魔法もある。的に当たったとしてもかなり隅の方とかもざらだ。そういえば俺も魔法を使い始めたころ目的に当てるのが中々出来なかったけ。経った3年ほど前のことなのに少しだけ懐かしく感じながら次々と飛んでいく魔法をぼんやりと眺めていた。まあ番号からしてどうせ俺は最後だからね。




