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室内にある席が全部埋まったころに目の前にあるホワイトボードのようなものがに何かが映し出された。雑談をしていた人もいたけれど、指を示す人もいたせいか誰も黙りその様子を眺めていた。
<入学試験が始まります。机の右側に配布されたペンのみを置き机から手を離してください>
ホワイトボードのようなものに映し出された女の人からそんな声が響く。ベレー帽のような濃紺の帽子をかぶったどこかしらの会社とかの受付にいそうな茶髪の女の人。学園だと…事務の人とかになるのかも? その人が言うように周りの子供たちがペンを机の上に置いている。俺もポケットから出してすぐに置いた。
<では説明に入ります。筆記テストは配布されました専用のペンでのみ記入が可能です。記入間違いをした場合はその文字に横線を1本引き、同枠内に解答をお書きください。試験時間は2時間。一般常識、魔法スキル知識、計算の3つ。各自記入の終わった用紙は机の中央に裏向きで置くと、次の用紙が配布されます。3枚の用紙の提出が終わった者から昼休憩とします。食堂と中庭の2ヶ所をご利用ください…まもなく用紙が配布されます。机から手を離してください。用紙が配布次第開始とします>
目の前のホワイトボードのようなものに映し出されていた人の姿が消えると同時に、机に魔方陣が現れた。それは弱い光を発したあと消えた。机の上には一枚の紙が現れていた。
これが試験の…
俺はそれを確認すると右側に置いてあったペンを手に取り問題に向かい始めた。
最初に始まった試験は説明にあった通り一般常識。本当に当たり前すぎることに対する解答を求められている。例えばお金の種類について。1ゼニカが鉄貨1枚、100ゼニカが銅貨1枚、1000ゼニカが銀貨1枚…といったふうに金額に対してどの硬貨のことなのか。貴族と平民の違い、現在の王の名前など。普通に暮らしていればいやでも耳にすることばかりだった。ただ一つわからないことが…魔人というのがどのような存在なのか。これは今まで一度も耳に入れたことがない内容で少し驚く。一緒に暮らしていた3人もそうだし、よく足を運んだ冒険者ギルドでも誰も口にしなかった言葉だ。魔物ならわかる。だけど魔人とは? 言葉からして予想はつくけれどそれがあっているかはわからない。
空欄よりはまし…かな?
そう思った俺はとりあえず思ったままの言葉で埋めておいた。
紙を裏返すと机が光り交換するかのように次の用紙が現れる。次の試験は魔法スキル知識だね。まあ内容はそんなに難しくはなさそう。魔法の属性の数とか…その属性がどんなことが出来るのかとか…俺は基本属性だけは最初に覚えた氷属性がきっかけで全部覚えることが出来たので、さらさらっと枠を埋めた。その後見慣れない魔法について出てくる。毒属性、死属性、時属性、空間属性…何が出来るのだろうか? これも言葉から予測して埋めてい置くしかないだろう。毒…毒を作る? いや、魔法として毒を作るとなるとちょっと違う気がする。害毒魔法ってところだろうか。毒にしかならないような害のある魔法…気絶させる魔法とかだろうか? 死属性はもっとわからない。死…不死? 死んだ状態? 即死魔法…は流石にないと思う。死ぬと言うのは体力が0になる状態のこと…か。体力が0になった魔物を操る死霊魔法はどうだろうか? そんなものがあるかわからないけど。時魔法はまあ時間魔法ってところか。時間の操作とか…? それで最後の空間は俺の収納スキルと同じようなことが出来そう。あとは距離を縮めるとか。
まあそんな感じでいいか。
ざっくりと書いて埋めた。
紙を裏返し最後の用紙を受け取る。計算ね。主に足し算と引き算だけだ。桁も2桁までとかなり緩い。だけど7歳が受けるテストとしては普通に難しいかもしれない。実際俺が元の世界で7歳の時に習った算数は1桁の足し算くらいだし。ひっかけ問題のつもりなのか文章問題が2問ほどあるけど、これだってただの足し算と引き算を使うだけのもの。ちゃちゃっと解いてすぐに裏返した。かき終わったのでペンを机に置くとそのペンも勝手に回収された。どうなってるんだろうな? まあなんにしてもこれで俺の午前の試験は終了なので、まだちょっと早い気もするけど散歩も兼ねて中庭へと行ってみようか。
肩掛け式の鞄を肩からかけ立ち上がると周りの視線が俺に集中した。
「終わったの…?」
「早いっ」
「ふん、どうせ出来なくて諦めたんだろう」
「やば、いそご」
色んな声が耳に届いたが気にしないふりをして部屋を出る。本当はちょっとだけ気になったのは内緒だ。だって思ったよりも難しくなかったのにあんな反応されるんだからね。
中庭につくとまだ誰もいなくて静かなものだった。もしかすると食堂の方にいるのかもしれないね。ここはいくつかベンチがあったり芝生が植えられている。こういったところに座って食べればいいということなんだろう。
「クリーン」
一つのベンチを綺麗にして俺はここで食べることにした。




