2-53、真波と菜美と小笹はお風呂で・・・・・・
ざざぁーーーー かぽぉん・・・・・・
ちゃぷちゃぷ ちゃぽちゃぽ・・・・・・
「(明日・・・・・・アタシもインターハイのコートに立てるんだ・・・・・・。頑張ろう!)」
からりからから からり ぴしゃ
「あれ?」
「真波っ! 私も一緒に浸かるよー」
「菜美、まだ起きてたの? 明日に備えて、もうみんな寝たのかと思った」
ざざぁー ざぱん じゃー ざざぁー
「男子は、堀内先輩がまたツボ圧しして、シャワー済ませてぐったりと寝たみたい。恭子たちも、応援疲れで寝ちゃったかな」
「小笹とかは?」
「美鈴ちゃん見送って、台所で洗い物してた。たぶん、そのうち来るよ」
「そっか」
ちゃぷちゃぷ ちゃぽ
「あー、いいねぇっ。ここのお湯、ミネラルたっぷりな感じで、いいよねー」
「菜美も明日、個人形だね。アタシらは種目違うけどさ、勝ち上がらなきゃね!」
「・・・・・・そうだねー。嘉手本さんに言われたところ、うまく演武できるといいんだけどなぁ」
「できるよ、菜美なら」
「インターハイかぁ・・・・・・。いろんな相手が、いろんな形をぶつけてくるんだろうなぁ」
「でもさ、菜美もインターハイ予選で、あの諸岡と僅差まで競ってたんだもん。小笹は勝っちゃうしさ。菜美も小笹も、インターハイ女王と互角だったり上回ったりだもん。明日、だいじだって!」
ちゃぽん ちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷ
「・・・・・・なぁんかさ、開会式の入場行進、すごかったね。流派の全国大会と、正直、雰囲気がまったく違ったよ。糸恩流の全国大会は、あそこまでピリピリと闘気は渦巻いてないもん」
「松楓館の全国も同じよ。アタシもね・・・・・・全国慣れは、菜美と同じくだいじなんだけどさ、インターハイは、なんかこう、違うなぁって。流派の試合は、ぶっちゃけて言えば、出られる可能性って人生終わるまででしょ?」
「そうだね」
「でも、インターハイってのは、高校生である期間しかチャンスはないんだもんなぁ。みんな、気迫もまったく違うのがわかったよ」
「でも、ほんとみんなで来られてよかったね! 高校三年の、いーい思い出だよ!」
「だね! アタシもだ。・・・・・・この思い出が、いつか、またみんなで笑って思い出せるようなときが来るのかなぁ」
ちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷ かぽぉん・・・・・・
「・・・・・・真波はさ・・・・・・大学でも、空手やる?」
「なぁによいきなり? まぁ、やる予定ではいるけどさ。・・・・・・あーぁ。インターハイ終わったら、いよいよ部活引退なのかなぁ。・・・・・・受験かぁー。どこ受けようかなぁ・・・・・・」
「私も、進路、迷ってるんだよねえ。学連でもやりたいけど、どーなるかなぁ・・・・・・」
からり からりからから からり
かぽぉん・・・・・・ かこぉん・・・・・・
「あれぇ? センパイたち二人ですかぁー?」
「おつかれ、小笹。ちょうど、さっき菜美も一緒になったとこだよ。ここのお風呂、アタシ、ほんと好きだなー。民宿の規模に対して、すっごく広いんだもん」
「この浴槽って、海かなんかの岩でしょ? 素敵な造りだよねぇ」
ざざぁーーーー ざぱーーっ じゃー
ちゃぽ ちゃぽ
「これねぇー。ワタシのお父さんとおじーちゃんが、かつて、海辺の岩を運んできて組み上げたんだって。ところどころにあしらわれてる白いのは、サンゴだよぉ」
「いいなぁー。私は羨ましいよ、小笹。こんな素敵な実家があるなんてさー」
「そういえば小笹、アタシと話したいことあったんだっけ?」
ちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷ ちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷ
「あー・・・・・・うん。そーですねぇッ。川田センパイに、森畑センパイも一緒なら、なおいいかなぁーっ」
「え? なぁに?」
「えーとぉ・・・・・・うーん。まずはね、センパイたち、ありがとう・・・・・・」
かぽぉん・・・・・・ ちゃぽぉん
「なに? どーしたの小笹? まぁ、うん、どーいたしまして」
「いきなり私と真波にありがとう、って? 何かしたっけ?」
「いーえー。でも、ありがとうなのっ! おかげで、ワタシ、楽しいんだもん。空手が」
「そっか。なんだかよくわかんないけど、アタシもあんたがこうして、アタシらと仲良くなって嬉しいわ。メンバーが一人増えたようなもんだしさ」
「そうだね。何だかんだで小笹、真波に懐いてるよね。恭子とも仲良くなってるしさ」
ちゃぷ ちゃぷん・・・・・・
「でもー・・・・・・ワタシは二年生です。・・・・・・センパイたちは三年生。ってことは、この沖縄から帰ったら、部活、引退ですよねぇ?」
「あー・・・・・・うん。まぁ、アタシも菜美も、国体は出ないからなぁ。そーなるよねぇ。そんなような話を、さっき、菜美としてたとこだよ・・・・・・」
「大学生になったら、また、別な方面から後輩サポートはするからさ。小笹も、恭子たちと仲良くやって、また柏沼においでよ」
「・・・・・・柏沼のセンパイたちと一緒に試合できるの、今回が最後なんだぁ・・・・・・」
「しーんみりしたこと言うな、小笹! だいじだって。アタシは、変わらずにいるからさ。卒業までは柏沼高校の生徒だし。何かの機会で、あんたも、アタシらと一緒のチームで団体組手とか組めたら面白いのにね!」
「あ、それ面白い! 小笹と同じチームで戦うって、斬新!」
「あははっ! まるで、ドリームマッチだねぇッ! それ、あったらいいなぁーっ!」
ちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷ ちゃぽぉん・・・・・・
「・・・・・・で、何でアタシは、あんたと風呂で構えてるんだろうか?」
ざぱーーーー ちゃぽぉん ちゃぷちゃぷ
「くすっ。だってぇ、川田センパイが、明日の組手があーだこーだ言って、立ち上がったんですよぉッ? もぉーっ! お風呂で組手の練習でもするのー? あははははっ!」
「ちょっとぉ。真波も小笹も、ゆっくりお風呂に浸からせてよーっ。もう夜も遅いし、声や音も響くでしょ? それに、女子が二人、素っ裸で構えて何してんのよ。まったくー」
「そういえば、外、波の音や虫の声がしないね? なんか、風の音がすごいよ?」
ぐぐっ がらっ
「あーっ! だめぇ、川田センパァイ! 窓閉めてーっ!」
びゅごおおおおおおおおおおおおお!
「わぁーーーーっ! す、すっごい風ーっ!」
ぴしゃ!
「もぉーッ! 夕飯の時、天気予報で嵐になるってやってましたよぉー? 沖縄は、内地の栃木とは大嵐の威力やケタが違うんで、気をつけてくださいねぇッ?」
ちゃぷん・・・・・・ ちゃぷちゃぷ
「それに真波ぃー、へんなやつとかが覗いてたりしたらどーすんのよぉ! まったく、そーゆーのほんと気にしないんだから、真波は・・・・・・」
「風呂覗きの変態なんか、この長閑な漁村にいないよねーっ? ね、小笹?」
「んー、いないとは思いますケドぉ・・・・・・。案外、男子らが外にいたりして? くすっ」
「そしたら、アタシの鉄拳が明日、ミランダ野沢シーナより先にそっちに飛ぶね」
「あははははっ! 山形の蟹鶴温泉を思い出しますねぇッ! じゃ、ワタシ、そろそろ出ますねー」
ちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷ ちゃぷん・・・ かぽぉん・・・・・・
ざざざぁ・・・・・・
「んー、アタシももう、のぼせそうだから出ようかな。菜美は?」
「私も、じゅうぶんかな。もう夜も遅いしね。みんなで、風呂上がりに冷たいの飲んで、寝ようか」
「いいね! 小笹、生ビールある?」
「あるーっ! ・・・・・・って、それ飲むの?」
「ダメに決まってるでしょ! 真波ぃー、冗談が過ぎるよぉ。シークワァサーのサイダーね」
「じゃ、小笹。生ビールは、成人してからね? よし、約束だ!」
「くすっ。じゃぁ、ワタシが成人したら、まずセンパイらと最初に飲んでもいーかなぁー」
「あっははは! 真波も小笹も、どーゆー約束してんのぉ? ま、明日に備えて、ぐっすりと寝よう! 明日は、私らも、暴れるぞーっ!」
「「「 よーーーっしゃぁ! 楽しみだぁ! 」」」
こうして川田たちが入浴中の頃、男子はみな広間で雑魚寝。
男子が泥のように寝ているとき、女子三人はゆっくりとお風呂タイムだったようだ。
低気圧で外は大荒れらしいが、明日はどんな一日になるのやら。
ちなみに、何故か、長谷川と中村だけ、やたら廊下に近いところで寝ていた。
美ら海沖縄インターハイは、近づく大嵐とともに、一日目から二日目へと移行する。
びゅごおおおおおおおおおおおおお!
嵐の音と共に、激闘の一日目は終わり、とっぷりと夜は更けてゆく。




