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青春空手道部物語 ~悠久の拳~ 第2部  作者: 糸東 甚九郎 (しとう じんくろう)
第3章 開幕   美ら海沖縄総体!  激闘! 熱闘! インターハイ!
34/106

2-34、初戦だからこそ、動け!

 先鋒、次鋒と勝ち星を奪われ、相手校は見るからに焦っていた。


押入おしいれ! もう、俺ら後がないったい! 頼むばい!」

「ここで、俺があいつを食い止めなきゃいかんたいね! 田村ってやつ、身体はでかくなかとね。迫力もなかたい! きっと、あれなら、何とでもなるったい!」


 相手の球磨之原高校は、この中堅戦を落とすと敗北が決まる。

 相手の押入は、個人形でも出場している選手。形だけでなく、組手もできる万能型なのだろう。負けられないという強い意志を持った目で、勢いよく開始線まで入ってきた。


「「「「「 くまのはらぁーーーーっ! こっから取り返すたいーっ! 」」」」」

「「「「「 肥後もっこすの意地見せるったい! どぎゃんとでもなるたいね! 」」」」」


   ワアアアアアアアアアアアアアーッ  ワアアアアアアアアアアアアア!


「(相手校、必死だねぇ。でも、俺だって、ここはさくっと決めたいんだけどねぇ)」

「(火の国熊本をなめるんやなかと! 栃木の学校なんかに、ここで負けたらいかんたい!)」


 田村はじっとしているが、相手はじっとしていない。今すぐにも飛びかかってきそうな勢いだ。


「勝負、始め!」

「うぅおおおああああああああっ!」


   ダァンッ!  ドドドドドドドッ  ババシュンッ!


 中堅戦の開始早々に、相手は思いっきりダッシュし、中段から上段の逆突きで体当たりのようにかかってきた。突進力は、日新学院の二斗に劣らないパワーだ。しかも背が高くリーチもあり、思ったよりも遠い間合いから突きを繰り出してきた。


   パァンパパァン!   すういっ・・・・・・

   グウッ!  バタアアアアンッ!


「(・・・・・・んなっ!)」

「そあああああーーーぁいっ!」


   シュパアアアンッ!


「止め! 青、中段蹴り、一本!」

「「「「「 ナイス一本ーーーっ! いいぞぉ田村先輩ーーーっ! 」」」」」

「(背が高くて体重もありそうだけど、突きの重さが、たりないねぇー)」

「(な、何ねコイツの体幹は! お、俺が簡単に転がされたと!)」


 田村は相手の逆突きワンツーを、まるで回し受けのように両手を回して軽々と弾き、柔らかく踏み込んで身体をくっつけると同時に、掌底で肩口を押して相手を回転させるように床へ転がした。

 そこへ、見事な足刀蹴りを決めた。まるで、形の演武でもしているかのような滑らかさだった。


「す、すごいね今の田村君の攻防。簡単に片手で相手を崩しちゃった! あれは・・・・・・」

「ああ、尚ちゃんがやったのは、カキエーの応用だ。すごいね! 陽ちゃんが和合流の応用なら、尚ちゃんは剛道流の応用ってわけだ。ちゃんと、特訓の成果が出てるな!」


   ザワザワザワザワ  ザワザワザワザワ  ザワザワザワザワ


「「「「「 (な、何ねあの高校が使う技は! わけわからんったい!) 」」」」」

「「「「「 (Aコートの学校、無名だけど、さっきからなんか盛り上がっとるよ?) 」」」」」


 観客席からも、あちこちから少しずつ、田村の技量に向けての声が聞こえ始めた。

 沖縄に来る前と来た後に特訓したことが、リラックスして試合に臨んでいるおかげでみんな発揮できているようだ。田村の組手も、二ヶ月前とは別人のように進化して強くなっている。


「続けて、始め!」

「うおあああああっ!  であああああっ!  でやあああっ!」


   ダダァン  ババババッ!  シュバッ!  バシュンバシュン!


「(そんなムキになんなよぉ、受けるのもめんどくせぇんだぞぉ?)」


   パパァン  ベシンッ  バシンッ  パパパパァン!


「(あ、当たらん! 受けてから返す、後の先タイプとね、コイツ?)」


   グウウゥ・・・・・・   ダシュンッ!


「(・・・・・・な! い、いきなり間合いが・・・・・・)」

「そぉあああああっ!」


   スパパパパパパァンッ!


「止め! 青、上段突き、技有り!」


 田村は相手の突き、蹴り、打ち、全てをその場で微動だにせず受けて捌く。そして、砂浜でコツを掴んだ重心移動とダッシュで、一瞬で間合いを詰め、まるで等星の崎岡のような猛連打を浴びせて、突きで技有りを奪った。これであっという間に、5対0。


「(ふぃー。自分でも驚いたなぁ。コートのマットで使うと、砂浜ダッシュがこんなにいい武器になるなんてねぇ。じゃ、決めちゃうかなぁー。遊んでる暇ないし)」

「(く、くそっ! ・・・・・・でたらめな速さたい! この学校、どぎゃんしてこげな力を!)」

「続けて、始め!」

「さあああっ!」


   ダァン!  グッ  ガシイインッ!


 田村は相手の喉元とみぞおちに向け、両拳をロックオン。ステップを踏まず、その場にまるで根付いたかのように動かず、不動の構えだ。


「くっ・・・・・・。う、うおおおおーっ!」


   バアアアッ!


「(ほいっ! 待ってましたぁ、と)」


   パンッ   ふわあーっ・・・・・・   シュパカァァァァァンッ!


「(・・・・・・っ!)」

「止め! 青、上段蹴り、一本! 青の、勝ち!」


   ワアアアアアアアアアアアアアアアーッ  ワアアアアアアアアアアアアアアアー


 相手は田村の眼力に圧されたのだろうか。やぶれかぶれのように、ものすごい右の逆突きを上段に放ってきた。

 田村はそれを片手で払うと同時に後ろに軽く跳び、そのまま真下から上足底で相手の右顎下を蹴り上げた。下がりながらの上段三日月蹴りだ。


「なんということだ。何だかんだで、あっという間に一回戦抜けた。アタシ、男子の力をちょっとだけ甘く見てたかも。インターハイ初戦をこんな余裕で勝てて、見ていて嬉しいな」

「なんか、中村の最初だけはひやっとしたけど、終わってみればあっという間に三勝か。みんな、本戦で力を発揮するタイプだもんねぇ、うちの男子らさぁ」

「・・・・・・強い。・・・・・・技や動きの質が、インターハイ予選とは、別人だ・・・・・・」

「何なんすかね? パワーも上がってるし、うまくなってやがる。相当何か特訓したんじゃないっすか? まぁ、俺たちを下してインハイ出てんだから、あんくらいの余裕で一回戦決めてくんなきゃ、困りますけどね」

「とりあえず、残りの副将戦と大将戦も、気を抜かずに頑張って欲しい! 頑張れぇ柏沼!」

「・・・・・・堀庭。・・・・・・柏沼の伸びは異常だ。・・・・・・今大会は県選手団だが、これが県内戦だったらと思うと・・・・・・・・・・・・驚異だ」


 栃木陣営の観客席で二斗、畝松、堀庭は中堅戦を見て驚いていた。


「川田! おい、川田ったら! こっち向けーっ」

「・・・・・・ん? あれ! なんであんた、いたの?」

「失礼な! 私はずっといたぞ! ・・・・・・出させてもらえないだけだ。ずーっと、ここにいましたけどっ!」

「ごっめぇん。ほんとごめん! 崎岡や朝香にばかり気がいってて、気づかなかったよ。てか、最初の時にも、いた? 二斗が残念がってるよ?」

「・・・・・・あの時は、なんか、悔しくて前に出らんなかったんだ。でも、有華や朋子らは試合の準備でスタンバイしてるが、私は今回、応援のみだ。だから、ずっとここにいたよ!」


 等星女子高のレギュラー外メンバーで川田の後ろから話しかけてきたのは、なんと本来は個人形で推薦枠出場だったはずの前年度女王である諸岡里央もろおかりおだった。

 今回は、団体組手にすら入れてもらえなかったらしい。


「諸岡さぁ、あんた、団体組手にも入れてもらえなかったの?」

「監督の意向だ。・・・・・・出たかったけど、仕方ないさ。・・・・・・でも、ここにいる二年や一年と応援のみは、正直、辛いけどな」

「そぉかー・・・・・・。最後のインターハイなのに、ひどいなぁ! アタシだったら、監督をぶっ飛ばしてでも、出させろーってやるけどね!」

「おいおい川田。間違っても俺や新井君に、そんなことしないでくれよな?」

「あ! 松島先輩にはそんなことしません! でも、ひどくないですか? 人生でもう、諸岡はインターハイの場を踏めないんですよ! いくらなんでも、監督がその権利を奪い取るなんて、ひどいと思いますよ!」

「川田・・・・・・。その気持ちは、いただくよ。ありがとう。だがもう言うな。私も、応援に徹すると心に言い聞かせているが、辛いんだ」

「・・・・・・そっか、ごめん。アタシも熱くなりすぎたね。じゃ、一緒に栃木チームを応援していこうよ! もう、ここじゃ柏沼だの等星だの、こだわんなくてもいいって!」


 そう言って川田が笑顔を零すと、諸岡は数段前に降りてきて、川田の真横に座った。

 諸岡、川田、森畑、阿部、小笹という、まさに学校が入り乱れた栃木県女子チームのメンバーで座ってメインアリーナに向いて肩を並べている。


「・・・・・・ありがと。・・・・・・でも、この大会だけだからな? ・・・・・・私は、等星だし、そう馴れ馴れしくやってはいられないんでね」

「知ってる。アタシも、インターハイだから、こうして並んで試合を見てられるんだって!」


 照れくさそうな表情をする諸岡と笑う川田を、森畑は微笑んで眺めていた。


   ワアアアアアアアアアアアアアアアーッ ウオオオオオオオオオオオオオオオッ

   ザワザワザワザワザワザワザワザワ  ザワザワザワザワザワザワザワザワ


「さて、勝ちは決まったけど、副将戦と大将戦もあるんだったね。僕も、気を緩めずにがんばらないとね」

「だいじだ前原。もう、身体を温めるつもりで、思いっきりやってこいよぉ」

「チームの勝利は決まっている。いろいろと、技を試すのもいいだろうし、自分の勢いをつけるために全力勝負もいいだろう。気は抜くなよ?」

「前原スペシャルはないのか? 次の大阪のやつら相手にするんだから、いろいろと試してみるといいかも知んねーぞ!」

「俺と前ちゃんで、副将戦と大将戦も勝って、景気よく二回戦へ進もう! ファイトな!」

「よぉし! 僕もインターハイの空気を楽しんで、やってやるよ! じゃ、いってくる!」

「「「「 ファイトーーーーーーッ! 」」」」


 前原はメンホーをきゅっと締めて、軽く両手でパンと叩いて、開始線へ向かう。

 相手の選手は、チームの敗北が決まってしまったためか、開始線までの足取りもやや元気がない感じだ。

 相手校の選手は、本当にみんな大柄。いま前原と向かい合っている副将の選手が一番大きいかもしれない。


「(ずいぶんな巨体だなぁ。でも・・・・・・不思議だ。威圧感をまったく感じないや)」

「(チームはもう負けてしまったばい・・・・・・。だが、やるしかなか!)」

「勝負! 始めっ!」

「とああああああーっ!」


   ダァンッ!  グッ  ババッ   ササアッ  ササッ  ササアッ


 相手と対峙して構えた瞬間、前原は確かにインターハイのコートに立っているという実感が湧いてきた。独特な空気だ。これは確かに気をしっかり張っていないと、あっという間に雰囲気に呑まれるのも頷ける。中村はきっと、先鋒の緊張感も重なってこの空気に呑まれたのだろう。


「んでやぁぁぁぁぁあっ!」


   ドッダァン ドッダァン ドドンドドン  ドシュンッ!  ズバアアアアッ


 相手は巨体を揺らしながら地響きのするようなステップを前後に踏み、ものすごい勢いをつけて踏みんできた。見た目とは裏腹なスピードで、強烈な中段逆突きを前原の胸元めがけ、打ってきた。

 丸太のような腕と、砲丸のような拳が高速で飛んでくる。


「・・・・・・・・・・・・速いっ! ・・・・・・あの巨体で・・・・・・」

「驚きっすね二斗先輩。あの重そうな身体で、あのスピードはびびりますよ」


 日新学院のメンバーも、この相手のスピードが予想以上だったようで、観客席で驚いている。


   ドガアッ!    パアアンッ!


「とあああああああーーーっ!」


   パシャァァァァアンッ!


「(・・・・・・ぬわっ!)」

「止め! 青、上段打ち、有効!」


 相手は前原より遙かに巨漢で、スピードもあり突きも重い。

 でも、前原はそれを真っ正面からがっしりと受け、もう片方の掌で横に払い飛ばした。そしてさらに、螺旋を描くように左の背刀打ちを決めたのだ。


「(うん。いい感じだ。受けも、あのくらいの重さの突きでも、いけるな!)」

「続けて、始め!」

「とあああああああーーーっ」


   タタァン  タタァン  グギュウッ・・・・・・  ドオンッ ダシュンッ!


「(・・・・・・な、なんちゅう速か踏み込みしよるとね! ・・・・・・しゅ、瞬間移動?)」


   スパパパパパパァンッ パパパパァン!


「止め! 青、上段突き、技有り!」


   ワアアアアアアアアアアアアアアアーッ


「いいぞぉ前原ーっ! いい調子だよーっ! あー。アタシも早く試合したーい!」

「すごいな、あいつ。今の連打、有華みたいだ。ダッシュ力も、ものすごいじゃないか!」

「ま、アタシら沖縄に来てからも、いろいろやってたからねー。みんなそれぞれ、独自に秘策を編みだして、ここに来たんだもん。等星とは違うベクトルの稽古してきたんだよ!」

「ふぅん。・・・・・・おい、一年! 二年! 他校を見るのも勉強だ。同じ栃木県メンバーをしっかりと見届けて応援するよ!」


 諸岡は振り向いて、等星女子高の後輩達へ笑顔で声をかけた。


「とあああああああーーーっ!」


   スッ ドガアアッ!


「(・・・・・・ぶふっ! ・・・・・・なんちゅう蹴りったい! ・・・・・・き、効く!)」

「止め! 青、中段蹴り、技有り!」


 相手の動きがなぜかスローモーションに見えるほど、前原は集中力が研ぎ澄まされた感覚だった。

 前原は思った。「なんだろうこれは。相手から怖さも何も感じず、組手がただ楽しくて仕方ない感じだ」と。


「とあああああああーーーいっ!」


   ベシャアアアアアアッ!


「止め! 青、中段蹴り、技有り!」


   ワアアアアアアアアアアアアアアアーッ  ワアアアアアアアアアアアアアアアーッ


「野口! 試合を諦めたらいかんと! 最後まで、肥後もっこすの意地見せるったい!」

「「「「「 野口先輩ーーーっ! まだまだ行けるったーーーい! 」」」」」

「続けて、始め!」

「(・・・・・・こぎゃん内容で、無様に完敗なんかできるわけなか! やるしかなかと!)」

「んでやぁぁぁぁぁあっ!」


   ドッダァン ドッダァン  ドダンドダンドダン  バシュウンッ!


「「「「「 あああぁーーーーーーーっ! 」」」」」


 相手はやぶれかぶれで前原の足をめがけて、下段蹴りのような足払いを振り回してきた。

 きっと、勝敗度外視で、ダメージを与えておく作戦なのかもしれない。


「(・・・・・・ふくらはぎ狙い、か! ・・・・・・そうは、いかないよーっ!)」


   スッ・・・・・・   ひょいっ    ブウウウウンッ  スカッ


「(・・・・・・な!)」

「とあああああああーーーっ!」


   ヒュラア・・・・・・  パッカァァンッ!


 上段裏回し蹴り一閃。

 前原は相手の足払いを前足をあげて難なく躱した。そして、その足をそのまま振り上げ、足底で相手の左側頭部を叩いたのだ。


「止め! 青、上段蹴り、一本! 青の、勝ち!」

「(あ、あの足払いすら、当たらんと・・・・・・。つ、強か! 柏沼高校・・・・・・)」

「やったやった! 前原先輩、ナイス一本ですーっ!」

「華麗な組手! 中村先輩とはまた違った華麗さですねっ!」


 内山と大南も、観客席で大きく拍手をして大喜び。長谷川や黒川も、阿部とガッツポーズをして喜んでいた。


「前原はもう、蹴りが苦手だのの印象は無いよねぇ! 朝練でよく蹴りばかり反復練習してたけどさ。アタシはもう、前原は万能タイプの組手に見えてきたよー」

「足腰が強くなったのかな? なんか、ものすごく身体の安定感があるよね。真波や私とはまた違った方向性の組手だけど、バランス感覚が前原は良くなったよね!」

「あははっ! 前原センパイも、なかなか余裕で勝っちゃったねぇッ! なんかぁ、みんな沖縄に来てからますます強くなったよーな? くすっ。沖縄料理パワーかしらぁ?」


 結果、副将戦は8対0で完勝。

 前原自身もまさか、ここまでインターハイの初戦で動けるとは思わなかったためか、自分でも驚きを隠せない様子だ。ものすごく身体も軽く動くし、反応もいい感じだった。


   ザワザワザワザワザワザワザワザワ ザワザワザワザワザワザワザワザワ

   ワアアアアアアアアアアアアアアアー  ワアアアアアアアアアアアアアアアー


「ふぅ。一回戦にしては、僕も緊張しすぎずに、動けたかもね」

「蹴りに、打ちに、突き。いい動きじゃないか。集中力もよかったぞ!」

「悠樹も、やるなぁ! あのダッシュ力、砂浜パワーだろぉ? レベル上がってるよ!」

「前ちゃん、お疲れ! 最後は俺がキッチリと締めてくるからな! ま、見ててくれい」

「まぁ、前原もこのくらいできて余裕なポテンシャルはあるしねぇ。さぁて、相手さんの大将も、なかなか横にでかいぞぉ。神長ぁ、キッチリと最後を頼むよぉ?」


   きゅっ   びびーっ ぎゅっ  パンパァン!


「だいじだ! まかせとけっ。俺も、このために隠れて磨いてきたモノあり、なのだ!」


 神長はメンホーをきつく締め、メンバー四人へ向かって親指を立て、にんまり笑った。

 なにか、独自で研究して磨いてきたものがあるようだ。みんな独自進化をして、強くなっている。

 神長が隠れて磨いてきたものとは、一体何なんだろう。


   ワアアアアアアアアアッ  ワアアアアアアアアアアア!


 会場には、近くの海から運ばれてくる潮の香りと、ハイビスカスなどの花の香りが風に乗って舞い込んでくる。

 その風は、館内であちこち流れを変えながら、優しく緩やかに抜けていった。

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