第4話 冒険王の手記
なんでこれが?
先程、記憶の中で見た小瓶が今、手の中にある。
中には、白い球体が入っており、マルスの魂と思われるものが入っていた。
歩みをやめ、小瓶を見つめているアルベルトを、ラキナはなんとも言えない表情で見つめていた。
「これも、運命か・・・・・」
◆◆
アリスたちと合流し、今度こそ『霊峰』に向けて旅立った。
「ねえ、どこにあるか検討はついてるの?」
アイナが、誰も指摘しなかったことを口にした。
・・・・・・・・・。
「はあ・・・・・。やっぱり・・・」
最大限の呆れられ方をされた。
「しょうがないじゃん。何も情報がないし、あるかどうかも知らないし」
「そうでもないのよ。はい、これ」
アイナから手記の様なものを手渡された。
「これは?」
「王家に献上された”冒険王・ペルカルト”の手記よ」
「冒険王?」
また新しい情報が飛び込んできた。
「アリスが受けたがった”大陸クエスト”。あの、討伐対象の存在を確認した唯一の冒険家よ」
「マジで?」
「ええ、でも唯一『不死鳥』だけは全容が確認出来なかったらしいの」
「なんで?」
他の四体が確認出来たなら、掴めてそうだけど。
「全容は確認出来てないけど、ヒントはそこに載ってるわ」
「ヒント?」
手記をペラペラとめくり、『不死鳥』の記述のところで止めた。
「天を突き抜けるほどの山の山頂が、時折、聖火が灯ったように光り輝くことがある。私は、そこに可能性を感じ、その山を登ろうとした。しかし、山頂に近づくにつれ、環境がありえないものとなってきた。時には、灼熱の業火に焼かれたような暑さ、時には、極寒の冷気に凍らされているような寒さ。この環境が無造作に襲ってくる。ただ一つだけわかったことがある。山頂が輝く時、灼熱の業火が襲ってくるのだ。きっと、あそこに『不死鳥』がいる」
『不死鳥』に関する情報はこれだけだった。
「この”天を突き抜けるほどの山”って・・・・・」
「そうよ。セナたちと話し合ったのだけど、確実にクレメンス山のことだと思うわ」
クレメンス山は、この大陸のどこからでも、その姿を確認できるほど大きな山だ。
「どう?行ってみる価値あると思わない?」
「すごいな、アイナ。行ってみよう」
おそらく、俺たちはアイナがいなくなったら、のたれ死んでしまいそうだ。
「決まったか?」
眠たそうに目を擦っているラキナが聞いてきた。
「ああ。・・・・大丈夫か?」
「運んでくれ」
両手を広げ上に乗せろと言ってきた。
「はいはい・・・」
ラキナを肩に乗せアルベルトたちはクレメンス山に向け、歩き出した。
「なあ、全然近づいた気がしないんだけど」
「だねー」「そうね」
「仕方がないだろうな。あの山はでかいが、大陸と比べたら、小さいからな」
サクラが冷静に分析していた。
「飛べばよいじゃろ」
いつの間にか起きていたラキナがそんな提案をした。
「飛ぶ?」
「ああ、転移しまくって山の近くまで行けばいいじゃろ」
「え、でもそれって冒険って言わなくね?」
「いいんじゃよ。これ以上疲れとうない」
ずっと寝てたやつが何言ってんだか・・・・。
「もう、それでいいんじゃない?」
「わたしもそう思うー」
アイナとアリスもラキナの意見に賛同した。
サクラとセナの方を向くと二人も頷いた。
わかったよ。飛べばいいんだろ飛べば。
「よし、全員手を繋いで」
「「「はーい」」」
ラキナは頭の上に乗っているため手を繋ぐ必要はない。
問題は他のみんなだ。
「あの、そう言う意味じゃないんだけど」
「えー、いいじゃん別に」
「そうね」
「だな」
「ですね」
アリスやアイナは分かるがセナやサクラまでもが、アルベルト一人の手を握っていた。
つまり、アルベルトが全員と手を繋いでいる。
「・・・・・まあ、いいか。じゃあ、飛ぶぞ」
「「「はーい」」」
アルベルトは、山を目指して転移を繰り返した。
◆◆
「ふう、辿り着いた・・・・」
転移を繰り返し、やっとのことで着いた。
「お疲れー、アル君」
アリスが労ってくれた。
「でかいな」
山の入り口から空を見上げ、山の頂上を見ようとしても、それは叶わなかった。
あの、巨人よりはでかい。
「これ、登り切るのにどれだけかかるんだよ」
「それなりの時間を覚悟しておかないとだな」
セナがため息をつきながら言った。
登る前から、もう嫌だ。
「行くかー・・・・・」
「元気出してアルくん!」
アリスは、いつでも元気だなー。
「止まれ、アル坊」
山に登ろうとした時、ラキナがいつになく真剣な表情で言った。
肩車さえ、されていなければかっこいいのに。
「どうした?」
「山頂付近をよく見ろ」
「ん?」
目に魔力を込めて見るが、まだ届かない。
(アダム、ハナ。お願い)
((はーい))
二人に、精霊としての力と、神力を目にこめた。
「お、見えてきた」
「アル坊、その目・・・・」
「それは、今度ね」
今は、山頂を確認する。
お、あれが『不死鳥』なのか?
「何か見えた?」
「んー、多分あれが『不死鳥』だと思うよ」
アイナの問いに答えた。
「え!?ほんとにいたの!?」
「うん、なんかそれっぽいとしか言いようがないんだけど」
「どんなやつだ?」
今度はセナが聞いてくる。
「なんか、全身炎で、その炎が神炎レベルで、周りがその炎の光で輝いててーー
ーーこっちをじっと見てる」
やばい、もう気づかれてる。
「それって、大丈夫なのか?」
セナも、額に汗を流しながら聞いてきた。
「大丈夫なんじゃない?殺そうと思ったら俺たちなんて一瞬で殺せるだろうから」
「それは、大丈夫じゃないような気がするが」
サクラも心配してるみたいだ。
「おい、妾は殺されんぞ」
ラキナが張り合うように頭を叩いてきた。
「じゃあ、あれに勝てる?」
「・・・・・・・・・」
「無理なんじゃん」
「うるさい!何回かやれば勝てる!!」
それ、最初の一回目で殺されんじゃん。
「まあ、ここで止まってても何も始まらないし、行こうよ」
「そうだね!」
アリスは、相変わらず楽しそうだ。
”キュアアアアアアアアアアアアア”
『不死鳥』の声が響いた。
その歓迎でもするかのような声に、
「あー、やばいなー」
そんなことを思いながら、山を登るアルベルトたちであった。
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