第7話 悪魔憑きと妹
国王とアイナ様を治すと約束をし、アイナ様に目を向けた。
彼女の目は、期待はしていないのだろう、怯えた目をしていた。
そりゃそうだ、いきなり現れて自分を苦しめてきた呪いから解放するというのだ。
だが・・・・・
「アイナ様、どうか私を信じていただけませんか?」
「何をするの?」
「あなたの精神部分に魔石が出来つつあります。だから・・・・・」
「「魔石が!?」」
国王と王妃が驚愕する。
あれ?エリスにも世界眼があるなら聞いているはずじゃ・・・・
エリスの顔を見ると、エリスも驚いていた。
「まさか、そこまで・・・・・」
エリスが視たのは、呪いがかけられた最初の頃だけで、最近はアイナ様に会えていなかったために視ることができなかったそうだ。
「しかし、幸運なことにアイナ様自身の魔石とはなっていません」
だから、それを消すだけで治るだろうと伝えるとアイナ様が聞いてきた。
「出来るの・・・・・?」
「はい」
「お願い・・・・・助けて・・・・」
「わかりました」
改めてアイナ様のステイタスを視る。
『名前』 アイナ・フォン・シュトベルト
『種族』 憑き人 『性別』 女 『年齢』 一二歳
『レベル』 28
『能力』 A(C)
『称号』 第一王女 悪魔憑き 耐え抜く者
『スキル』
回復魔法Lv6 剣術Lv4 礼儀作法Lv10
『ユニークスキル』
聖属性魔法 悪魔降臨(使用不可)
『加護』
悪神の加護
『憑き人』はおそらく、呪われたために変わったのだろう。
『悪神の加護』もおそらく同じ理由だ。
それに能力も強制的に上げられている。
激痛が走っていたのは、能力値に体がついていけなかったのだろう。
それよりも回復魔法だ。
これを持っている人は初めて会った。ぜひ教えて頂かなくては。
ペンダントに組み込みたい。
「では始めます」
アルベルトは、アイナ様に手を向けると、世界眼と時空掌握、そして魔力掌握で精神に巣食っている魔石が放つ、魔力に狙いを定める。そして、手を握りしめた。
「空間断絶」
それと同時に魔石を手元に、座標転移で回収した。
禍々しいな・・・・
魔石をとった直後、アイナ様は力が抜けたように倒れ込んだ。
アリスが受け止め、そばにあった長椅子に寝かせた。
「ありがとう、アリス」
「うん」
この魔石どうしようか。考えていると・・・・
「アルベルト君、その魔石見せてくれないか?」
「え、はい」
娘から出てきた魔石なのだ、すぐに破壊するように言われると思っていたのだが意外にも冷静だ。
「これは・・・・・まさか」
「何かご存知なのですか?」
「ああ、これは混乱の時代の魔物が持っていた魔石に似ている」
「混乱の時代ですか」
「マルス様の時代だ」
なるほど。ということは300年前ほどの話か。
「そんなことは今はどうでもいいな・・・・」
すごく気になるがアイナ様をみる国王を見ると深くは聞く気になれなかった。
王妃も娘のそばで涙を流していた。
「ありがとう。アルベルト君」
「いえ」
「エリスに気になる若者がいると言われ、今日君と会わなければ娘は救われなかったかもしれない。本当にありがとう」
「役に立てたのなら幸いです。それよりも急な体の変化で体力が落ち込んでいますので、目を覚ましたら回復魔法をかけつつ体力のつく食事を食べてもらってください」
「ああ、何から何まですまない。何か褒美をもらって欲しいのだが・・・・」
褒美か・・・・・。金はいらないし、欲しいものも特にはない。どうしたものか・・・・・。
「それならアリスを自由に王城に入れるようにしていただけませんか?エリスに弟子入りをしましたので」
「そうなのか?」
国王はエリスを見る。
「はい。今日からですが」
「其方が弟子をとるとは・・・・・。わかった、では手配をしておこう。他にはないか?」
「う〜ん。他に・・・・」
「なら具体的な褒美は取っておこうか。困ったことがあればなんでも言ってくれ」
それが一番いい。欲しいものは無理やり作ろうとしてもできないものだ。
「ありがとうございます」
「うむ。それと明日もここにきてくれんか」
「構いませんが、何かあるのですか?」
「明日には娘も目を覚ますだろう、会いにきてやってくれぬか?」
そういうことか。それなら問題はない。
「わかりました」
その後、国王と王妃を娘のところに残し、アルベルトとアリスはエリスに見送られながら王城を後にしようとしていた。
あっ、そうだ『あの本』について聞いておこう。
「そういえば、エリスには姉妹っている?」
「急にどうした」
「シルビア・アインツベルンって人知ってるかなと思って」
その瞬間、エリスから殺気を向けられた。
アルベルトとアリスは思わず身構える。
「どうして、その名前を知っている」
「・・・・本を読んだんだ。『英雄の真実』っていう本を」
「なに?」
理由を聞いたエリスは殺気を納め、信じられない者を見るような目をアルベルトに向けた。
「すまない。妹のことは誰にも話したことがなかったのでな。しかし、お前があの・・・・・」
「妹なんですか?」
「そうだ。もう随分と会ってないがな」
何か気まずい理由があるのか、顔を背けながら言った。
「今度、精霊卿への行き方を教えよう。お前たちならいけるだろう」
やはり簡単にはいけないのだろうか。
「ありがとう」
そこでエリスと別れ、二人は宿に戻って行った。
エリスが帰っていく二人の背中を見ながら・・・・・
「そうか、あの子がシルビアの言っていた子か。今回の魔石の件と言い何か嫌な予感がする」
その言葉は、誰にも聞かれることなく、消えていった。
本日3話目です。このペース続きそうにないな・・・・
でも頑張る。




