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私の娘、超かわいい! 〜アリッサ視点〜

(アリッサ視点)


 私はアリッサ。

 ()えある(笑)モーシェブニ魔法王国の、一応公爵位を持つ貴族だ。

 一応ね。

 ていうのも、ほんの数年前までは平民だったから。

 要は、王太子だったディビッドと結婚したから公爵になったのだ。

 なぜか私と結婚したがったディビッドを、断固拒否!

 だって、平民が王族になんてなったら、絶対に苛められるもの。

「なら、私が婿に入る」って、ディビッドが言い出して。

 さすがに、王族が平民の家に婿入りは不味いだろうということで、王家の分家として公爵家を作り、変則ながら私は晴れて公爵となったのだ。

 ちなみに、この国の貴族制度では、貴族の地位は各個人が持つ“血”に対して与えられるものだから、本来ならディビッドと結婚したからって私まで公爵になるわけではない。

 ただ、“公爵家”については、そもそもの成り立ちが“平民”の私と結婚するためのディビッドの我儘(わがまま)、特例措置だから、そこはついでに体裁を整えて、ディビッドだけでなく私も公爵にしてしまったわけ。


 まあ、そんなことはどうでもいい。

 最近産まれた私の娘のアメリア、超かわいいんですけど!

 マジかわいい!、すごくかわいい!、滅茶苦茶かわいい!

 透明感のある肌に整った目鼻立ち。

 可愛らしく、小さな口元。

 ピンクの髪に、淡く光るアメジストのような薄紫の瞳。

 昔、倭国で見た、朝靄に浮かぶ春の桜のよう。

 ディビッドは、アメリアの淡い色の髪と瞳を見て不満……というか、不安そうにしていたけど。

 一般に髪や瞳の色が薄い者は、魔力が少ない傾向にあるからね。

 私は気にしてないけど。


 このモーシェブニ魔法王国は、魔力至上主義の国だ。

 はっきり言って、魔力“だけ”で成り立っている。

 他国と比べ格段に魔力量の多い国民が、魔法王国でしか取れない魔石に魔力を籠め、それを輸出してお金を稼いでいる。

 魔力なんていくら使っても、生きてさえいれば寝てても勝手に戻る。

 魔力の高い者は、生まれながらに金貨を生み出す魔法の財布を持っているようなものだ。

 まぁ、働かないよね、ふつう。


 ここで、一応この国の社会構造について。

 まず、国は税金として国民の魔力を全回収する。

 そうしないと、みんな働かずに、自分の魔力を売って生活するようになるからね。

 じゃあ、魔力が高くても意味がないのかというと、そうでもない。

 この国の最低賃金は、個々の魔力量の半分と決められているから。

 だから、魔力の高い者ほど高給取りということになる。

 で、魔力の高い者は初めから高い給料が保証されている訳だから、当然真面目に働かない。

 真面目に働くのは、魔力だけでは生活できない、魔力の少ない者ばかりだ。

 もちろん、もっと稼ぎたいという人もいるし、仕事自体が好きな人、中には意識の高い人もいるから、魔力の高い者はみな働かないという訳ではない。

 でも、全体として見れば、やっぱりこの国の、特に魔力の高い貴族をはじめとする人たちは、変なプライドばかりが高くて働かない。

 というのが、子供の頃、父に連れられて散々他国を歩き回った私の感想。

 別に世界は、単純な魔力量だけで回せている訳じゃないんだけどね。


 そんな訳で、私は大して気にしていないのだけれど、この国から出たこともなく、魔力至上主義の価値観の最上位に君臨する元王族の旦那としては、子供の魔力が少ないかもというのは、結構な悩みの種らしいのだ。

 それでも、理屈抜きに娘は可愛いらしく、何だかんだで娘が産まれて以来、どんなに仕事が忙しくても、帰宅せずに王宮に泊まり込むことはなくなった。

 本人は、「貴族の子供の世話など乳母や侍女たちの仕事で、親が子供にべったりなのはよろしくない」なんて、偉そうに言ってたけどね。

 私が気がついていないとでも思っているのかな?

 毎朝毎晩、私が席を外している隙に娘の所に来て、弛みきったデレ顔で娘を構いまくっていることに。

 今度、アメリアのベッドの横に鏡でも置いておこうか。

 厳格なつもりのお貴族様が、実際にはどんな顔で娘に接しているのか、現実を自覚すればいいのよ……。


(あっ、ダメだ。アメリアが怖がる)


 昨夜のアメリアの様子を思い出して、慌ててその企みを放棄する。

 今まで一度として夜泣きなどしたことのなかったアメリアが、一晩中ぐずって泣き止まないという事態に、さすがの私も少なからず動揺し、同時にアメリアもふつうの赤ん坊だったかと、ちょっと安心したりもした。


(それにしても、あの時のアメリア、超かわいかった!)


 昨晩の入浴時、偶々発見した鏡に映った自分の姿に、目を大きく見開いて驚愕するアメリア。

 恐る恐る鏡に向かって手を伸ばし、自分の動きに合わせて動く自分の姿を、不思議そうに見つめるアメリアは、思わず叫びだしてしまいそうになるほど可愛かった。

 それは私だけでなく、一緒にいた侍女たちも同じで、必死に表情を抑えながら見悶えていた。

 まあ、その後、部屋に戻ってしばらくして、ずっと黙りこんでいたアメリアが、突然かつて無い大泣きを始めたのには驚いたけど。

 赤ちゃんなんて、泣くのが当たり前だしね。

 今までが大人しすぎたのよ。

 それより、昨夜はバタバタしていてすっかり忘れていたけど、鏡を前にした時のアメリアの反応!

 ディビッドに自慢しないとね。


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