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【書籍発売中】転生幼女は教育したい! 〜前世の知識で、異世界の社会常識を変えることにしました〜  作者: Ryoko
第4章 アメリア、ダルーガ伯爵の野望を打砕く

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花街

更新、遅くなりました。

m(_ _)m

 今日の私は、週末の休みを利用して、セーバの街に戻って来ている。

 目的は、セーバの街の郊外に新たにできつつある、とある商業地区を視察するためだ。

 それ程広い区画では無い。

 通りには数軒の妓楼や酒場が並ぶだけの、主にセーバの街の外からやって来た客を相手にする、ちょっとした歓楽街。

 街の建設から、まだ季節1つ分も過ぎていないというのに、既に半数近くの店が営業しているのは、この世界の魔法技術のなせる技か。

 魔力さえあれば、一夜で城も作れちゃうような世界だからね。

 (トップ)が許可を出して、セーバの街の職人達を総動員しちゃえば、この程度の街の建設などあっという間だ。

 今回、一部の職人さんたちも、妙にハリキっているしね…

 そう、今回建設の指示を出したのは、領主公認の()()()お店、いわゆる花街だ。

 実は、今回の連邦への旅の目的が、この花街建設のための交渉ってことになっているんだよね。

 前々から、遠回しに奏上されていた花街の建設。

 ただ、セーバの街って、良くも悪くも健全だしね。

 元々のセーバ領の人口も極僅かだし…

 生活に困っているような住人もいないし…

 市民権取得の基準も厳しいから、外からの適当な募集もできないしね…

 そこで今回、セーバの街の郊外に、行政特区を作ることにした。

 一応この世界では、お互いの合意があれば、売春買春自体は違法ではないから、そういうお店を作ること自体は問題無い。

 問題は、セーバの特殊性で…

 このままだと、連邦の諜報員全員にセーバリア学園に入学してもらう事になっちゃうからね…

 そう、今回、セーバの街に花街を作るために、連邦にある大手老舗娼館と事業提携をしてきた…

 表向き、そういう事になっている。

 いくら領主の仕事とはいえ、年若い貴族令嬢が、いかがわしい店の誘致のために他国を訪れるなど、決して外聞の良い話ではない。

 だから、身分を隠して、こっそり、秘密裏に行ってきた…という事にしてある。

 私が偽名を使って連邦に出かけていた事実を調べられた時のための、所謂(いわゆる)ダミー情報ってやつだね。

 勿論、本当の目的は諜報員の確保と、大陸横断鉄道計画に関する打診。

 そして、今作られている花街の住人全てが、サトリさん率いる傭兵団と、その関係者だったりする。

 彼らは、別にセーバの街に移住してきた訳ではない。

 言ってみれば、外資系企業って感じかなぁ…

 連邦からやって来て、セーバの街で長期で働いているけど、だからと言ってセーバの街の住人って訳ではない。

 だから、セーバの街の住人名簿にも載らないし、セーバの行政も国も、その数を正確に把握している訳ではない。

 要は、領主兼商会長であるアメリア様(わたし)が、土地と資金を提供するから花街を運営してねって、他国の大手娼館を誘致してきた…という事になっている。

 つまり、経営的にはアメリア商会の管轄で、行政的には領主(わたし)の直轄で、本籍はビャバール商業連邦って訳。

 貴族も、国も、商人も、おいそれとは手を出せないし、情報も外部に流出しないようになっている。

 お金や物流の流れはアメリア商会経由だし、人は連邦からの出稼ぎ労働者のみだし、行政関係の責任者は私だからね。

 実際、この花街が、実は私直属の諜報機関だと知っている者は、殆どいない。

 今回の旅の同行者を除けば、あとはお父様、お母様、王妃様と、代官のアルトさんくらいじゃないかな。

 まぁ、王妃様が非公式ながら許可を出しているってことは、王妃様お抱えの暗部にも情報は流れているだろうし、今回の旅にはヤタカさんもいたから、当然倭国の影も知っている。

 だから、これはあくまでも、()()()()()知っている人間は極僅かってことだけどね。

 そう、そういえば、その倭国の影の人たちだけど…

 今回の旅で、大幅に増員されたらしい…

 表向きは、セーバの街の鉄道技術を学ぶため、らしいけど、その技術者に混じって、かなりの数の諜報関係者がセーバの街にやって来ているみたいで…

 名目上は、密かに大陸横断鉄道計画の盟約を結んだセーバの街に協力するため…らしいんだけど…

 こっそりヤタカさんが教えてくれたところによると、倭国軍部を束ねるメイ家のご当主様が、少しでも出奔した姉の手助けになればと、倭国の防備そっちのけでハリキッた結果だとか…


『ご当主様は、大恩ある師叔(アメリア)様のため…、とか言ってましたが、その、あの方は昔から姉君(サマンサ様)にべったりの方でしたから…』


 何やら疲れた顔で、溜め息混じりにそう(のたま)うヤタカさん。

 サマンサの弟さん、実はかなりのシスコンらしい…

 そんな訳で、大陸横断鉄道計画実現のための協力、という大義名分を得た弟さんは、相当数の人員をセーバの街に送り込んできているみたい…

 ちなみに、花街が傭兵ギルドの受け皿であるように、倭国の影にも受け皿が存在する。

 港湾部に作られた倭国造船所だ。

 元々は、タキリさんの船の整備と、倭国の造船技術を教えてもらうために作られた施設なんだけど…

 そこにはタキリさんの研究室や、倭国の船員達、研究員達の居住区もあるから、実質的には倭国の大使館って感じ。

 倭国の人たちが勝手にセーバリア学園に入れないように、こちらもタキリさんの研究施設に許可なく立ち入ったりはしない。

 所謂、相互不可侵って感じだ。

 もっとも、タキリさんと私は研究仲間だし、サマンサの存在もあってか、倭国の人たちとは、半身内みたいな関係が出来上がっている。

 今回は、それに加えて、大陸横断鉄道計画という国家間の共同事業が決まったことで、その協力関係がより明確にされたと言える。

 今までの協力関係って、言ってみれば“情”による繋がりだけど、今回は違う。

 ザパド領、ダルーガ領に対する調査協力は、私への個人的な協力ではなく、倭国(くに)が決めた正式なお仕事。

 タキリさん、ヤタカさんからも、倭国(うち)の兵も遠慮なく使ってくれと言われているしね。

 傭兵ギルドの諜報員に加えて、新たにやって来た倭国の諜報員…

 これなら、ザパド領の調査も十分可能かな…



次回、来週の更新が、、

ちょっと、あやしい…

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