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【書籍発売中】転生幼女は教育したい! 〜前世の知識で、異世界の社会常識を変えることにしました〜  作者: Ryoko
第2章 アメリア、貴族と認められる

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戦闘

(ゲイズ視点)


 噂は所詮噂、そう判断した瞬間。


 ゴゴゴゴゴゴゴッ!!

 ズズーーーーーーーーン!!


 俺の後ろ、貨物車両の方から大きな音と、続いて地面が揺れるのを感じる。


(なんだ!?)


 そこには、大人の身長の倍以上もある金属の巨人が……。

 小柄な少女を肩に乗せた巨大なゴーレムがいた!?


(なんだ、あれは!? なんだ、あれは!? なんだ、あれは!?)


 ゴーレムは、列車の貨物車両に積んであった丸太を掴むと、それを振り回し始める。

 その一振りで、近くにいた味方の数人がまとめて吹き飛んでいく。


(冗談じゃないぞ!? どうして魔物が公爵を守っている!?)


 慌てて逃げようと正面に向き直ると、先程王女を捕らえるよう指示した冒険者達が、うめき声を漏らしながら転がっている。

 そして、俺の直属の部下達はというと……。


(なぜ、あいつらは揃って踊っている?)


 あれでは、酔っぱらいの踊りだ。

 前後不覚のように、何もない場所を切りつけたり、そのまま足を絡めて転んだり……。

 一人は頭を抱えて何やら怯えている?

 一体、何が起きている?

 俺が連れて来た部下達は、一緒に来た冒険者やゴロツキとは違う。

 プロの傭兵だぞ!

 俺の中で、急速に恐怖が膨れ上がる。

 不味い、不味い、不味い、不味い!?

 逃げるなら、まだ手持ちの駒が残っている今しかない!

 俺は、残った戦力に戦闘の指示を出しつつ、少しずつ戦場から距離を取る。

 そして、逃亡に気付かれる刹那、手持ちの煙幕を使い、加速魔法を使い、必死にその場を逃げ出していた。



(サラ王女視点)


『エアブレット!!』


「ぐぇッ!」、「がっ!」、「グォっ!」


 私の方に向かってきた男たちが、私が放った見えない弾丸を受けて、その場に崩れ落ちます。


「このガッ! キ……」


 私の魔法を逃れて接近に成功した男が、レオさんに剣の腹で思いっきり殴られて沈みました。

 そして、残りの3人は……。


光の迷宮(ミラーハウス)


「くそ! 何故切れない!? 死ね、死ね、死ね!」

「な、な、なんだ、これは!? 足元に空が!? ここは何処だ、うっ、俺は何処にいる??」

「うぅ、きもちわるい……」


 正面から襲ってくる男たちを盾にするかのような位置取りで、こちらの死角からの接近を試みようとしていた3人を担当したのはレジーナ先生。

 実害は無いから、生け捕りには便利だと言っていた魔法は、レジーナ先生のオリジナル。

 幻覚を見せるだけで実害が無いのならと、試しにかけてもらった時には……。

 上下左右はぐちゃぐちゃに入れ替わるし、自分がたくさん現れるし、最後には気持ち悪くなって倒れてしまった……。

 実害は無いって言ってましたのに……。

 側で見ていたアメリアお姉様は、「ぶいあぁる酔いみたいなものだから、しばらくすれば大丈夫」って、言われましたけど……。

 よく分かりませんけど、あんな怖い目に遭うのは二度とごめんです!


 こちらの方を襲ってきた男たちをさっさと片付けると、私はお姉様の方に目を向けます。

 20人ほどの荒くれ者を一掃するお姉様の勇姿に、心躍ります!


(かっこいい!)


 伝説のゴーレムを従え、ゴーレムの肩、遥か頭上から敵を見下ろすその姿は、女王の威厳に溢れています。

 敵の刃はお姉様には届かず、ゴーレムに付けた傷もすぐに元通り塞がってしまいます。

 お姉様に群がっていた敵は、その不利に気付く間もなく、ゴーレムの丸太の一振りで総崩れです。

 まさに、王者の戦い! 憧れます!

 残念ながら、金魔法の使えない私には、あのようなゴーレム操作はできませんけど……。

 お姉様の新魔法、“ゴーレム操作”は、勿論先日討伐したゴーレムを操る魔法などではありません。

 やってることは単純で、その場で呪鉄を金魔法で成形しているだけです。

 金属で人形を作り、その人形が手を挙げているように修正を加えれば、それで人形は手を挙げる動作を行います。

 勿論、それだけで、金属の人形がまるで生きているかのようにスムーズに動くはずがありません。

 そんな動きを継続してさせようと思えば、それこそとんでもない魔力が必要になります。

 絶対に、不可能です。

 ただし、呪鉄を除いては、ですが……。

 魔力抵抗が全く無い呪鉄なら、イメージさえできれば、ほんの少しの魔力で、どんな大きさの呪鉄でも自由に変形できるそうです。

 魔法を継続させるために、戦闘中もゴーレムの身体に触れている必要はあるそうですが、逆に言えば、ただ触れているだけで、(あるじ)に代わっていくらでも戦ってくれる不死の兵となるわけです。

 呪鉄を大量に用意すれば、セーバの街の兵力だけで、国軍にだって勝ててしまう気がします。

 もっとも、今現在“ゴーレム操作”ができるのはアメリアお姉様だけですから、流石に国軍全てを相手にするのは難しいでしょうけど……。

 金魔法は、属性さえあれば、皆使えるのです。

 問題は、“操作”の方……。

 自分の身体でもないゴーレムを、お姉様は何故あんなに思い通りに動かすことができるのか……謎です。

 お姉様の話だと、女神様の夢の中で、“げえむ”という修行を行って身に付けた技術だそうですけど、私には全く理解できませんでした。

 お姉様の一番弟子のレジーナ先生や、金属の専門家のウーゴさんでも無理なようですから、結局のところ、あんなことはアメリアお姉様にしかできないってことだと思います。

 本当に、お姉様はすごいです!

 おまけに、呪鉄を使ってあんな物まで作り出してしまうなんて……。


 そうこうしているうちに、お姉様の方の戦闘も終わりのようです。

 後の問題は、先程の、煙でやられた人達の方ですね。


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