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プロローグ
昔。
それは遙か遠い昔。
この世に繋がる存在の全てが永遠の皆無で、ただひたすらに闇が広がる空間でしか無かった時の事だ。
突然、気まぐれに神が現れ、光と闇がお互いに覆い始めようとする混沌の世界となっていた。
かくして、宇宙が生まれた。
そして、神はその光と闇を分け、光を朝と呼び、闇を夜と呼んだ。
それが対を成す様に。
美麗が、醜悪である様に。
華麗にして、汚濁である様に。
清浄で、混沌である様に。
全て、そうなる様に。
そう、当たり前の様に。
『創造』が『破壊』である様に。
いつしか、人々は欲望を持ち始め、長い悲劇と戦争が始まった。
人々と神々の間に存在するのは深い奈落。
皆、そこに滑り落ちるしかない。
……なのかもしれない。
これは様々な因縁と輪廻が混沌とした悲痛の物語。
運命に選ばれ、導かれていく者達。
そして、その中心となる過酷な宿命を背負った少年の存在。
全ての真実を解き明かす長い冒険が今、始まろうとしている。
「絶望を切り裂き、運命を壊せ」