何考えてんだよ!
魔王の幹部の一人である『ユミナ・ブラッドドレイン』の屋敷で【メイドカフェ レインボー】を開いた俺たち。
この世界にいる魔王を倒すことが、俺に与えられた使命なのだが、ルルナたちが乗り気でないため、それは保留となっている。
俺しか料理を作るやつがいなかったため、人員募集をかけたが、やってきたのは、元気の良い返事しかできない、『座敷わらし』の兄妹であった。
俺は店長であるユミナに、二人をどうするのかは俺に任せると言われた。
俺は、一度、二人を不採用にしようと思ったが、二人を【見習い】として、この店で働かせることにした。
俺たちが高校に行っている間、つまり午前中の間は二人に昼までにやっておいてほしい仕事をさせるというものだ。
え? 高校が午前中で終わるわけがないだって? それは、異世界と俺の世界とでは、時間の流れ方が違うからだ。
だいたい5時間ほどの時差があるため、高校が終わってから異世界に行くと、異世界は昼である。
さて、今日も働くとしよう。6人分の食費を稼ぐために……。
夏休み……俺の家……ミーナの部屋に向かっている……。
俺は今、恋という名の病にかかった5人の義理の妹を満足させるために頑張っている。
今のところ4人を満足させることに成功したが、まだ油断はできない。
なぜなら、戦場では油断した者から死んでいくからだ……って、俺はいったい何を考えているんだ!
集中しろ! 集中!
俺はペシペシと両頬を叩くと、ミーナの部屋の扉の前に立った。
「おーい、ミーナ。いるかー?」
「…………」
応答がない。これは困ったな……。
ミーナを攻略……じゃなくて満足させれば終わるのに、これじゃあ今日中に終わらないぞ。
うーん、どうしたものかな……。
俺がそんなことを考えていると、ゆっくりと扉が開いた。
「ケンジ……待ってたよ。ほら、早く中に入って」
扉の隙間から腕を出して手招きするミーナ。
なんで顔を見せてくれないんだろうと思いながら、俺はミーナの部屋の中に入った。
*
「失礼しまーす……って、なんで拷問に使いそうな道具がたくさん置いてあるんだ?」
「……それはね……これからケンジをいじめるためだよ」
ミーナの声が聞こえた直後、俺は何者かに後頭部を何かの道具で殴られ、気を失ってしまった……。
「ケンジ……起きて」
「……う……うーん……ここは……どこだ?」
「ケンジ……私が誰かわかる?」
「えーっと、ミーナかな?」
「正解。じゃあ、これからケンジをいじめるのは誰かわかる?」
「え、えーっと、その……ミーナ。いじめるっていうのは具体的に何をするんだ?」
「私の質問をなかったことにしたケンジには、『くすぐりの刑』を受けてもらう」
「え? 『くすぐりの刑』ってまさか……」
「それー、こちょこちょこちょー」
ミーナはネコジャラシのようなもので俺の脇の下をくすぐり始めた。
「あ……! あははははは! ミ、ミーナ! やめてくれ! そこはダメだって! あははははは!」
「ダメ。謝るまで許さない」
「わ、悪かったよ! あ、謝るから、もう勘弁してくれ!」
「……よろしい。じゃあ、一旦休憩ね」
「はぁ……はぁ……な、なんでこんなことするんだよ。というか、目隠しする必要あるのか?」
「うるさい、黙れ」
「お、お前、そんなキャラだったか?」
「そんなことはどうでもいい。今の私はケンジをいじめたくて仕方がない。だから、おとなしくして」
「おとなしくしてって、椅子に腰と両足を縛られてるんだから動きようがないだろう? というか、両腕をVの字で固定するのはやめてくれないか?」
「今のケンジに、拒否権なんてないし、ケンジは私にいじめられる運命にある。だから、おとなしくしてて」
「そうか……。でも、なんでお前は俺に姿を見せてくれないんだ?」
「そ、それは……その……恥ずかしいから」
「なんで恥ずかしいんだ?」
「そ、その……私は今……服を着ていないから」
「……え? そうなのか?」
「うん、そうだよ。ちなみに今からケンジの服を私の闇魔法で破くよ」
「おう、そうか……って、何考えてんだよ! そんなことしたら、俺が変態になっちまうじゃねえか!」
「大丈夫。今とそんなに変わらない。それに、その方がやりやすい」
「や、やりやすいって、何をだ?」
「そんなの決まってる。セ○クスだよ」
「ま、待て! お前はまだ体が成長しきってないだから、そういうのはまだ……」
「そうやって、私をいつまでも子ども扱いするのはやめて。私だって、やり方くらい分かる」
「いやいやいやいや、おかしいだろ。どこでそんなこと調べたんだよ!」
「ケンジのスマホで調べた」
「勝手に人のスマホ使うなよ! というか、そんな履歴はどこにも……」
「闇魔法で履歴を消した」
「魔法をそんな風に使うなよ! というか、服を脱がすのはやめてくれ! お願いだから!」
「じゃあ、私とセ○クスしてくれる?」
「いや、それは無理だ! 俺たちは義理とはいえ兄妹なんだぞ! だから、そういうことは……」
「私、知ってるよ。義理の兄妹なら、結婚できるんだよね?」
「そ、それはそうだが、今の俺にはそんな覚悟もないし、度胸もない! だからせめて俺が魔王を倒すまで待っていてくれ!」
「……うーん、まあ……魔王を倒した後なら、ゆっくりできるし、ケンジと幸せに暮らせるね。わかった……今回はここまでにしておいてあげる」
「そ、そうか。なら、早く解いてく……」
「大好きだよ……ケンジ」
黒髪ツインテールと黒い瞳が特徴的な美少女……いや美幼女は彼に優しくキスをした。
その直後、彼の中にある五属性の力が少しだけレベルアップした。
「魔王を倒せるほどじゃないけど、また強くなったね、ケンジ……」
「う……あ……ぐ……!」
「大丈夫。私が抱きしめてあげるから、ケンジはその力を受け入れて……」
「う……あ……あああああああああああああああ!」
そう……5人の義理妹は最初からケンジの体の中にある五属性の力を今よりもパワーアップさせるために、頑張っていたのである……。




