わははははは!
魔王の幹部の一人である『ユミナ・ブラッドドレイン』の屋敷で【メイドカフェ レインボー】を開いた俺たち。
この世界にいる魔王を倒すことが、俺に与えられた使命なのだが、ルルナたちが乗り気でないため、それは保留となっている。
俺しか料理を作るやつがいなかったため、人員募集をかけたが、やってきたのは、元気の良い返事しかできない、『座敷わらし』の兄妹であった。
俺は店長であるユミナに、二人をどうするのかは俺に任せると言われた。
俺は、一度、二人を不採用にしようと思ったが、二人を【見習い】として、この店で働かせることにした。
俺たちが高校に行っている間、つまり午前中の間は二人に昼までにやっておいてほしい仕事をさせるというものだ。
え? 高校が午前中で終わるわけがないだって? それは、異世界と俺の世界とでは、時間の流れ方が違うからだ。
だいたい5時間ほどの時差があるため、高校が終わってから異世界に行くと、異世界は昼である。
さて、今日も働くとしよう。6人分の食費を稼ぐために……。
夏休み……俺の家……マキナの部屋に向かっている……。
「ひ……ひどい目にあった……」
ルルナの部屋でルルナにキスをされまくった俺。
なんか恋という名の病にかかっているせいで、体調が崩れているから、俺がなんとかして、みんなを満足させなければ一生そのまま……みたいなことをルルナは言ってたけど、本当かな?
俺がそんなことを考えながら、マキナの部屋の扉の前に立つと、ノックをしようとした。
その時、何者かにものすごい力で部屋に引きずり込まれた。
そして、俺はそのままベッドイン。
というか、何者かに馬乗りにされてしまった。
「え、えーっと……何やってるんだ? マキナ」
赤髪ロングと緑色の瞳が特徴的な美少女『マキナ・フレイム』は少し頬を赤く染めながら、こう言った。
「お兄様……私を……めちゃくちゃにしてください!」
「……うーんと、それはあれか? その……性的な意味でってことか?」
「はい」
「えーっと、な、なんか色々と早すぎないか? そういうのって、もっと仲を深めてからするものじゃないか?」
「お兄様は私とそういうことをするのは嫌ですか?」
「いや、別に嫌じゃないぞ。嫌じゃないんだが……その……まだそういう気になれないっていうか。なんというか」
「それはつまり……私に女としての魅力がないってことですか?」
「いや、そうじゃない。俺はただ……」
「ただ?」
「その……兄妹でそういうことをしたくないというか、なんというか」
「ルルナさんとはキスしてたクセに……」
「いや、あれはルルナに無理やり……」
「言い訳なんて聞きたくありません! お兄様は私としたいんですか! したくないんですか!」
ピンク色のベビードールを纏ったマキナは、涙目になりながら、そう言った。
「マキナ」
俺はそれだけそう言うと、マキナを抱き寄せた。
「お、お兄様?」
「マキナ……。俺はな、お前のこともみんなのことも同じくらい大好きなんだよ。これが何をするのかわかるか?」
「えーっと、すみません。わかりません」
「そうか……。じゃあ、答え合わせだ。マキナ、今から俺が言う通りにしてくれ」
「わ、わかりました」
「よし、じゃあ、言うぞ……」
俺はマキナにとある内容を耳元で囁いた。
「……わ、わかりました。じゃあ、やりますね」
「ああ、頼む」
俺はマキナを抱きしめていた手を緩めた。
すると、マキナは彼から少し離れた。
見つめ合う二人の間には、目に見えない窒素や酸素、二酸化炭素……ついでにアルゴン等以外何もなかった。
「マキナ」
「お兄様」
マキナはゆっくりと目を閉じながら、彼に顔を近づけていった。
彼は再びマキナを抱き寄せながら、彼女のぷっくり膨れた唇の形を眺めていた。
そして……二人は……ついに……キスをした……。
最初、マキナは彼とキスできたことが嬉しすぎて、泣いていたが、次第に彼とのキスをもっといいものにしようと積極的になった。
マキナは彼の口の中に真っ赤な舌を入れると、何度も……何度も……彼の舌と絡ませた。
それから、数十分後……。
「おーい、マキナー、大丈夫かー?」
「わー、お兄様がいっぱいいる〜」
マキナは寝言を言いながら、俺をギュッと抱きしめた。
「はぁ……どうしたものかな……」
その直後、俺はいつのまにかリビングに転送されていた。(ソファの上)
「あれ? 俺、どうしてこんなところに……」
「やはり私がいないとお前はダメダメだな。ケンケン」
「そ……その声は……!」
「いかにも、私はお前の使い魔……『クロエ・ドロップアウト』だ!」
腕を組んだ状態で立っていたのは、黒いドレスと黒い翼と黒髪ロングと紫色の瞳が特徴的な美少女……いや美幼女『クロエ・ドロップアウト』だった。
「ありがとな、クロエ。おかげで助かったよ」
「ふん、このくらい朝飯前だ」
「でも、なんでこっちの世界に来れたんだ?」
「私はお前の使い魔だぞ? お前の位置情報さえ分かれば、地獄の果てでも追跡できる」
「そ、そうなのか。それは頼もしいな」
「そうだろう、そうだろう。もっと褒めてもいいのだぞ! わははははは!」
俺たちは、少しの間、リビングで話をしていた……。