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究極の愛それは宇宙だ!

 魔王の幹部の一人である『ユミナ・ブラッドドレイン』の屋敷で【メイドカフェ レインボー】を開いた俺たち。

 この世界にいる魔王を倒すことが、俺に与えられた使命なのだが、ルルナたちが乗り気でないため、それは保留となっている。

 俺しか料理を作るやつがいなかったため、人員募集をかけたが、やってきたのは、元気の良い返事しかできない、『座敷わらし』の兄妹であった。

 俺は店長であるユミナに、二人をどうするのかは俺に任せると言われた。

 俺は、一度、二人を不採用にしようと思ったが、二人を【見習い】として、この店で働かせることにした。

 俺たちが高校に行っている間、つまり午前中の間は二人に昼までにやっておいてほしい仕事をさせるというものだ。

 え? 高校が午前中で終わるわけがないだって? それは、異世界と俺の世界とでは、時間の流れ方が違うからだ。

 だいたい5時間ほどの時差があるため、高校が終わってから異世界に行くと、異世界は昼である。

 さて、今日も働くとしよう。6人分の食費を稼ぐために……。


 夏休み……ユミナの屋敷……一階……。


「コホン……えーっと、こいつが今日から俺の使い魔になる『クロエ・ドロップアウト』だ」


「こんにちは。『クロエ・ドロップアウト』です。よろしくお願いします」


 黒いドレスと黒い翼と黒髪ロングと紫色の瞳が特徴的な美少女……いや美幼女『クロエ・ドロップアウト』はみんなに自己紹介をした。

 しかし、例の5人はなぜか頬を膨らませていた。

 いったい何が気に入らないんだよ……。


「おい、お前らもちゃんと自己紹介しろよ」


 俺がそう言うと、銀髪ショートと水色の瞳が特徴的な美少女『ルルナ・リキッド』が自己紹介をした。


「私の名前は『ルルナ・リキッド』です。よろしくお願いします」


 その後、赤髪ロングと緑色の瞳が特徴的な美少女『マキナ・フレイム』が自己紹介をした。


「私は『マキナ・フレイム』と申します。以後お見知りおきを」


 その後、金髪ロングと赤い瞳が特徴的な美少女……いや美幼女『マリア・ルクス』が自己紹介をした。


「私の名前は『マリア・ルクス』といいます。その……よろしくお願いします」


 その後、ピンク髪ロングと赤い瞳が特徴的な美少女『アヤノ・サイクロン』が自己紹介をした。


「あたしの名前は『アヤノ・サイクロン』。まあ、よろしく頼む」


 その後、黒髪ツインテールと黒い瞳が特徴的な美少女……いや美幼女『ミーナ・ノワール』が自己紹介をした。


「私の名前は『ミーナ・ノワール』。よろしく」


 えーっと、こいつらはなんでこうも機嫌が悪いんだ?


「ま、まあ、そういうことだから、みんな仲良くするんだぞ」


 俺がそう言うと、例の5人はそっぽを向いた。


「あー、そうそう、私はこいつの使い魔だが、仮契約を結ぶ時、お互いの血を飲んだから、私たちは義理の兄妹だ」


 例の5人はクロエの言葉が本当かどうか確かめるために俺のところにやってきた。


「ねえ、お兄ちゃん。今の話、本当なの?」


「あ、ああ、本当だ」


「お兄様。本当のことを言ってください」


「いや、本当も何もそれが真実なのだが……」


「ねえ、お兄さん。もしかして、クロエさんに脅されてるんじゃないの?」


「いや、別に脅されてなんかないぞ」


「おい、バカ兄貴。本当のことを言わないとぶっ飛ばすぞ」


「おいおい、さらっと恐ろしいことを言うなよ」


「ケンジ、私たちに隠し事はなしだよ」


「いや、別に隠し事なんかしてないのだが……」


 その時、俺は後ろからクロエに抱きしめられた。

 すると、ふわふわと宙に浮き始めた。


「お、おい、クロエ。これはいったいどういうことだ?」


 俺がそう言うと、クロエは俺の耳元でこう囁いた。


「お前は少し黙っていろ」


「あ、ああ、わかった」


 俺がそう言うと、クロエは俺の首筋に噛み付いた。

 クロエは少しだけ俺の血を吸うと、例の5人に向かってこう言った。


「私はこいつを形成している全てを愛しているが、お前たちはどうだ?」


 例の5人は顔を見合わせると、それぞれこう言った。


「私たちは!」


「この世に存在する!」


「全生命体の中で!」


「バカ兄貴のことが!」


「一番!」


『好きだあああああああああああああああああ!!』


 屋敷中に響き渡ったその声は、寝室のベッドでスヤスヤ眠っていたユミナ(黒猫形態)とカナミ(超獣人族)を起こすほどのものだった。


「なるほど。では、お前たちの愛をこの私にぶつけてみろ!」


 クロエがそう言うと、例の5人は一つになった。


「五属性の力をこの身に宿す我の名は『アリナ・ベッシュ』! お前を倒すために生まれた存在だ! そして……これが……最強にして究極の技だああああああああああああああああああああああああああ!!」


 『アリナ・ベッシュ』は床を思い切り蹴ると、クロエのところまで飛び上がった。

 そして、こう言いながら、クロエを殴った。


「『究極の愛それは宇宙だアルティメット・ユニバース』!」


「グアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」


 ……というような夢を例の5人は、彼とクロエが寝室から出てくるまで見ていたそうだ……。




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