嫌だあああああああああああああああああああああああああああああ!
魔王の幹部の一人である『ユミナ・ブラッドドレイン』の屋敷で【メイドカフェ レインボー】を開いた俺たち。
この世界にいる魔王を倒すことが、俺に与えられた使命なのだが、ルルナたちが乗り気でないため、それは保留となっている。
俺しか料理を作るやつがいなかったため、人員募集をかけたが、やってきたのは、元気の良い返事しかできない、『座敷わらし』の兄妹であった。
俺は店長であるユミナに、二人をどうするのかは俺に任せると言われた。
俺は、一度、二人を不採用にしようと思ったが、二人を【見習い】として、この店で働かせることにした。
俺たちが高校に行っている間、つまり午前中の間は二人に昼までにやっておいてほしい仕事をさせるというものだ。
え? 高校が午前中で終わるわけがないだって? それは、異世界と俺の世界とでは、時間の流れ方が違うからだ。
だいたい5時間ほどの時差があるため、高校が終わってから異世界に行くと、異世界は昼である。
さて、今日も働くとしよう。6人分の食費を稼ぐために……。
夏休み……ユミナの屋敷……ユミナの寝室……。
「おーい! ユミナー! 特訓終わったぞー! ……って、あれ? なんでユミナしかいないんだ?」
俺がユミナの寝室に入ると、そこにはベッドの上で眠っているユミナ(黒猫形態)しかいなかった。
「う……うーん……あー、なんだ、君かー。あまり大声で叫ばないでよ……」
「え、えーっと、その……ごめんな、ユミナ。俺は別に邪魔をするつもりは……」
「ううん、別にいいよ……。それで? 私に何か用?」
「あー、その……あれだ。特訓が終わったから、その報告をしに来たんだよ」
「そっかー。そういうことか……。そんなこと別にしなくていいのにー」
「いや、使い魔を捕まえに行こうって誘ってくれたのはお前だから、その……一応報告しておいた方がいいのかなって……」
「うーん、まあ、とりあえずこっちに来なよ。話はそれからにしよう」
「ああ、わかった」
俺はユミナのベッドの上に座った。
すると、ユミナは俺の膝の上にチョコンと座った。
「お、おい、何食わぬ顔で俺の膝の上に座るなよ」
「えー、別にいいじゃん」
「はぁ……俺はいつから、お前専用の座布団にされたんだ?」
「ん? じゃあ、今から君を私専用の座布団に任命します」
「おい、俺の意見も聞かずに任命するなよ」
「まあ、そんなどうでもいい話は置いといて」
「どうでもいいって……お前な……」
「それで? 君は私に何を言いに来たの?」
無視しやがった……。まあ、いいか。
「あー、それはだな……」
俺はカナミによる特訓のおかげで魔力制御と気配の殺し方とその2つを合わせた『卑怯拳』を習得したことをユミナ(黒猫形態)に伝えた。
「なるほど、なるほど。それじゃあ、今日はもう帰っていいよー」
「え? もう帰っていいのか?」
「いや、こっちの夕方は君の世界でいうところの夜なんだから、早く帰ってあげなよー」
「そうか。ということはルルナたちは先に帰ったんだな?」
「まあ、そういうことになるね。あっ、そうだ。ちょっといいかな?」
「ん? なんだ?」
「君がどれくらい成長したのか確かめたいから、横になってもらえないかな?」
「ん? ああ、いいぞ」
俺はそう言うとユミナのベッドに横になった。
「それじゃあ、今から君の感度を10倍にするよ」
「おう……って、ちょっと待て! 今なんて言った?」
俺の腹の上に座っているユミナはキョトンとした顔でこう言った。
「えーっと、今から君の感度を10倍にするよって、言ったんだけど、それがどうかしたの?」
「お、おいおい、冗談だろ? 俺の成長具合を調べるのに、なんで感度を10倍にされなくちゃいけないんだよ!」
「えー、いや、だって、そっちの方がよくわかるから……」
「よくわかるって、何がだ?」
「そ、それは……」
「なあ、お前もしかして……俺の性感帯がどこにあるのか調べようとしてないか?」
「さ、さあ、なんのことだかさっぱりだよ」
ユミナ(黒猫形態)はそう言いながら、そっぽを向いた。
「はぁ……まあ、お前はこれから俺の使い魔探しに協力してくれるわけだから……その……お、俺を好きにして……いいぞ」
「え? 本当にいいの?」
「た、ただし! 元の姿に戻るなよ! 俺は猫にどれだけイタズラされても構わないが、他人に体を売るようなマネだけはしたくないんだ!」
「うん、わかった。それじゃあ、準備はいい?」
「お、おう……どんとこい!」
「それじゃあ……始めるよ」
「……あれ? 別に何も起こらな……」
その時、俺の体はとても敏感になった。
こ、これはやばい! ユミナ(黒猫形態)の肉球が俺の体を踏む度に身体中に電撃が走る!
あ、ああ、こんなことなら、元の姿に戻ってもらうべきだったな……。
「それじゃあ……少し味見するよ」
ユミナ(黒猫形態)はそう言いながら、俺の首筋に移動すると、ゆっくりと舌を出した。
「ちょっ、ちょっと待て! 今、首筋を舌で舐められたりなんかしたら……俺は!」
「ペロッ……」
「くっ……!」
た、耐えろ! 耐えるんだ! 俺! ユミナは今、俺の成長具合を確かめているだけだ!
別にやましい気持ちなんて……。
「はむっ……」
「あっ……!」
や、やめろ! ユミナ! 俺の耳を甘噛みするな! 耳は男女問わず性感帯なんだから、もっと優しくしてくれ!
「よし、それじゃあ、口開けて」
「え? な、なんでそんなことしないといけないんだ?」
「あー、じゃあ、目を閉じてもらっていいかな?」
「いや、だからなんで……」
「早くしないと感度を100倍……いや、1000倍にするよ?」
「わ、わかりました」
「よろしい」
俺が目を閉じると、ユミナは俺の舌を小さな牙で優しく噛んだ。
「う……うう……う……あ……」
「はい、これでおしまいだよ、お疲れ様。あー、あと……」
ユミナ(黒猫形態)は、俺の耳元でこう囁いた。
「君が私に反応してる時の顔……ものすごく可愛いかったよ。まあ、この続きは君が大人になったら、しようね」
「う、うるさい……い、いいから、早く元に戻せ」
「うーん、そうだな……もうちょっとこのままでいてくれたら、元に戻してあげるよ」
「お、鬼め……」
「あっ、そんなこと言うんだ。へえ、それじゃあ、少しお仕置きしてもいいよね?」
「や、やめてくれ、ユミナ……って、お前、いつのまに俺の体を動かせなくしたんだよ……!」
「さぁ? いつからだろうね? それじゃあ、まずはその口を黙らせるところから、始めようか」
「や、やめろ。やめてくれ、ユミナ。い、嫌だああああああああああああああああああああああああ!」
というような夢をユミナ(黒猫形態)に見せられていたことを俺はこの後、知った……。