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やるしかないよな!

 魔王の幹部の一人である『ユミナ・ブラッドドレイン』の屋敷で【メイドカフェ レインボー】を開いた俺たち。

 この世界にいる魔王を倒すことが、俺に与えられた使命なのだが、ルルナたちが乗り気でないため、それは保留となっている。

 俺しか料理を作るやつがいなかったため、人員募集をかけたが、やってきたのは、元気の良い返事しかできない、『座敷わらし』の兄妹であった。

 俺は店長であるユミナに、二人をどうするのかは俺に任せると言われた。

 俺は、一度、二人を不採用にしようと思ったが、二人を【見習い】として、この店で働かせることにした。

 俺たちが高校に行っている間、つまり午前中の間は二人に昼までにやっておいてほしい仕事をさせるというものだ。

 え? 高校が午前中で終わるわけがないだって? それは、異世界と俺の世界とでは、時間の流れ方が違うからだ。

 だいたい5時間ほどの時差があるため、高校が終わってから異世界に行くと、異世界は昼である。

 さて、今日も働くとしよう。6人分の食費を稼ぐために……。


 夏休み……ユミナの屋敷……トレーニングルーム。


「お、おい、ここって、絶対あれだろ! 精○と時の部屋だろ?」


 俺は白い猫耳と白髪ロングと黒い瞳と白いシッポが特徴的な美少女……いや美幼女『カナミ・ビーストクロー』にそういた。


「そういう細かいことはどうでもいいんだよ。ここでの一日が外の1時間だとしても、ユミナが作り出した空間だってことに変わりはないんだから」


「いや、それ明らかに精○と時の部屋だよな? というか、ユミナって意外にすごいんだな」


 ユミナ(黒猫形態)は魔王の幹部の中で最弱……らしい……。


「たしかに見た目から判断すればそうだが、実は魔王の幹部の中で最も危険な存在なんだぞ?」


「え? そうなのか?」


「ああ、そうだ。ちなみに、あいつを怒らせたら、1週間、暴れ回る」


「そ、そうなのか? 全く想像できないんだが」


「よく考えてみろよ、あいつは吸血鬼と悪魔のハーフなんだぞ? そんなやつが弱いわけないじゃないか」


「ん? どうして俺にしか話してくれなかった秘密を知ってるんだ?」


「知ってるもなにも、あいつの体の中にある魔力量はどう考えても魔王クラスだろ?」


「で、でも、あいつは、私は魔王の幹部の中で最弱だって言ってたぞ?」


「それは、まあ、あいつが戦っているところを誰も見たことがなかったから、勝手にそう言われるようになっただけだ」


「そうなのか?」


「まあ、今のは全部、この屋敷に来た時に気づいたことなんだけどな」


「それじゃあ、あいつは本当の力を隠してるっことか?」


「ああ、その通りだ。まあ、このことが他の幹部たちに知られたら、すぐにここを襲撃するだろうよ」


「……えっと、それじゃあ、カナミ様。そろそろ特訓の方を……」


「ああ、そうだな。というか、もうその呼び方やめていいぞ。というか、やめろ」


「あー、はい。わかりました」


「あと、敬語もなしだ。じゃあ、始めるぞ」


「あ、ああ、よろしくな」


「コホン……いいか? 使い魔ってのは、自分にふさわしい主人を常に探してるから、自分が気に入ったやつが必ずしも自分の使い魔になるわけじゃないんだ」


「は、はぁ……」


「それでだな、使い魔を捕まえる方法としては、『一緒に遊ぶ』ことが大事だ」


「一緒に遊ぶ?」


「ああ、そうだ。まあ、好感度を徐々に上げていくってことだ」


「なるほど。ということは、恋愛シミュレーションゲームみたいなノリで接すればいいのか?」


「うーん、いや、向こうは一応モンスターだから、そう簡単にはいかないぞ」


「それは、いったいどういうことだ?」


「それはな、モンスターは大きく分けると3つに分かれるからだ」


「まず、人を襲うもの。次に人懐っこいもの。最後にその2つを併せ持つものだ」


「つまり、大抵のモンスターは人を襲うってことか?」


「まあ、そういうことだ……って、今までモンスターを散々倒してきたんだから、わかるだろ?」


「うーん、でも俺は襲われる前に倒すから、最近は逃げられてばかりだがな」


「それは別に悪いことじゃないが、それは同時に自分の体内の魔力エネルギーを制御できていないっことだから、今からそれの特訓をするぞ」


「よし、わかった。じゃあ、まず何をすればいいんだ?」


「そうだな。じゃあ……とりあえず私と戦え」


「えっと、俺、カナミに勝てる気がしないんだけど」


「魔力制御のコツは、全身に負荷を与え続けることだ。まあ、私を倒さないと、この部屋から出られないから間違っても逃げるんじゃないぞ?」


「うっ……厄介な部屋だな。でもまあ、やるしかないよな!」


 俺はそう言うと五属性の力を全身にまとわせた。


「よーし、どっからでもかかってこーい!」


 カナミはそう言うと、銀色のオーラを全身にまとわせた。


「よおし! それじゃあ、行くぞ! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


「超獣人族である私に肉弾戦で勝てると思うなよ! はああああああああああああああああああああ!!」


 こうして、俺とカナミはこの部屋で戦いまくることになったのであった……。





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