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すごく幸せです!

 魔王の幹部の一人である『ユミナ・ブラッドドレイン』の屋敷で【メイドカフェ レインボー】を開いた俺たち。

 この世界にいる魔王を倒すことが、俺に与えられた使命なのだが、ルルナたちが乗り気でないため、それは保留となっている。

 俺しか料理を作るやつがいなかったため、人員募集をかけたが、やってきたのは、元気の良い返事しかできない、『座敷わらし』の兄妹であった。

 俺は店長であるユミナに、二人をどうするのかは俺に任せると言われた。

 俺は、一度、二人を不採用にしようと思ったが、二人を【見習い】として、この店で働かせることにした。

 俺たちが高校に行っている間、つまり午前中の間は二人に昼までにやっておいてほしい仕事をさせるというものだ。

 え? 高校が午前中で終わるわけがないだって? それは、異世界と俺の世界とでは、時間の流れ方が違うからだ。

 だいたい5時間ほどの時差があるため、高校が終わってから異世界に行くと、異世界は昼である。

 さて、今日も働くとしよう。6人分の食費を稼ぐために……。


 今日は久しぶりに海で遊んだ。

 最後に海に行ったのは、両親が交通事故で亡くなる以前だから、かなり前になる。

 そう言えば、もうすぐ二人の命日だな。

 けど、墓参りにみんなを連れて行くべきだろうか?

 うーん、まあ、明日にでもみんなに話してみるかな。

 俺は、頭の中でそんなことを考えながら、眠りについた……。


 *


 次の日の放課後……。2-1教室……。

 俺はみんなにそのことを話した。

 すると、みんなは、ぜひ行きたいと言った。

 俺はその時、なんとなくほっとした。

 それは、たとえ義理だとしても、この数ヶ月間、寝食をともにしてきたみんなのことを家族として、俺が認めたからだと思う。

 それから、少し時が流れ、夏休みになった。


 *


「ねえ、お兄ちゃん。お兄ちゃんのお父さんとお母さんって、どんな人だったの?」


 電車の席にただ座っているのが退屈になってきたから、俺に話しかけたのかは知らないが、俺はルルナのその問いに答えた。


「俺はその頃、まだ幼かったから、どんな人だったのかは、わからない。けど、写真は残ってるから、今度見せてやるよ」


 俺の隣の席に座っている銀髪ショートと水色の瞳が特徴的な美少女『ルルナ・リキッド』は「うん、わかった」と言うとそれっきり話しかけてこなくなった。


 *


「父さん、母さん。今日は新しい家族を紹介しに来たよ」


 俺はルルナとマキナとマリアとアヤノとミーナにそれぞれ自己紹介をするよう言った。

 まずは、ルルナの番だ。


「こんにちは。私は訳あってケンジお兄様の妹となったルルナ・リキッドです。以後お見知り置きを」


 両親の墓石の前でそう言ったルルナからは、いつものような緩い感じは全く伝わってこなかった。

 次はマキナの番だ。


「はじめまして。わたくしはマキナ・フレイムと申します。お兄様には、いつも助けられてばかりなので、これからはお兄様のお役に立てるよう一層努力します。なので、これからもどうぞよろしくお願いします」


 両親の墓石の前でそう言った赤髪ロングと緑色の瞳が特徴的な美少女『マキナ・フレイム』の目尻には、わずかに涙が溜まっていた。

 次はマリアの番だ。


「こ、こんにちは。私はマリア・ルクスといいます。えっと、お、お兄ちゃんは優しいし、ダメなことはちゃんとダメだって言ってくれる人なので、私はすごく幸せです! え、えっと、なので、これからもよろしくお願いします!」


 両親の墓石の前でそう言った金髪ロングと赤い瞳が特徴的な美少女……いや美幼女『マリア・ルクス』は、少し緊張していたが、なんとかそれをやり遂げることができた。

 次はアヤノの番だ。


「どうも、こんにちは。あたしはアヤノ・サイクロンって、いいます。その……兄貴は、あたしらのことを第一に考えてくれるいい兄貴です。だから、これからもどうぞよろしくお願いします!!」


 両親の墓石の前でそう言ったピンク髪ロングと赤い瞳が特徴的な美少女『アヤノ・サイクロン』は、なぜか両親の墓石の前で少しの間、土下座をしていた。

 最後はミーナだ。


「こんにちは。私はミーナ・ノワールといいます。ケンジ……いえ、ケンジさんには、いつもお世話になっています。それこそ、おはようからおやすみまで、寄り添ってくれるいい人です。なので、これからもどうぞよろしくお願いします」


 両親の墓石の前でそう言った黒髪ツインテールと黒い瞳が特徴的な美少女……いや美幼女『ミーナ・ノワール』のそのセリフの中に、少しおかしなものがあったが、気にしないことにした。


「まあ、なんだかんだあって、今はこうして、6人で暮らしてるから、俺はもう大丈夫だけど、あいつは未だに行方不明でさ、今も探してるんだけど、なかなか見つからないんだよ。けど、絶対探し出してみせるから、それまで見守っててくれよな」


 彼のその発言を聞いたみんなは、帰りの電車の中でその人物についての情報を提供するよう、彼に迫った。

 その結果。彼には、5才離れた弟がいることが判明した……。






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