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まだ増えるのかよ!

 ある日の朝。異世界から魔王を倒すための存在を探してこの世界にやってきた銀髪ショートと水色の瞳が特徴的な美少女『ルルナ』が俺と『兄妹契約』を結んだ後、俺の学校の俺と同じクラスに転校してきたせいで俺の人生はお先真っ暗になってしまった。今日はもうなんか疲れたから、早めに寝るとしよう……。


「お兄ちゃーん! 一緒に寝ようよー!」


 俺の部屋の扉をドンドンと叩くルルナを無視して、寝ようとすると。


「お邪魔しまーす!」


 そう言いながら、扉を破壊して中に入ってきた。


「何の用だ? ルルナ。俺は今日、誰かさんのせいでものすごく疲れたから、早く寝たいんだが」


 ルルナはキョトンとした顔で。


「えー? それって誰のことー? そんな人、学校にいたっけー?」


 首を傾げながらそう言った。お前以外にいないと思うんですけどね……。自覚がないんですかね? まったく、こいつが今日から俺の妹になったなんて信じられないなあ……。


「お兄ちゃん成分が不足してるから、私の独断で布団に潜りまーす!」


「独断専行はやめてほしいなー……って、当然のように抱きついてんじゃねえよ。はーなーれーろー!」


 しかし、ルルナは俺を離そうとしなかった。それどころか、今さっきよりも強く俺を抱きしめていた。


「いーやーだー! お兄ちゃんと一緒じゃないと寝不足になっちゃうよー!」


「ルルナさん、あなたは一応、高校二年生になったんですから、お兄ちゃん離れしないといけませんよー?」


「そんなの知らなーい! 私の好きにするー!」


「それじゃあ、俺も言うことを聞かない妹にお仕置きしないといけないなー」


「えー、何する気なのー?」


「それはだな……こうするんだよ!」


 俺はルルナの脇の下に手を移動させると、高速で指を動かして、くすぐり始めた。


「うわああああはははは! お、お兄ちゃん! くすぐったいよー! し、死んじゃうー!」


「それっ! それっ、それええ! どうだー、まいったかー!」


 俺はルルナが笑い疲れるまで、ずっと脇の下をくすぐっていた。

 ____よしよし、眠ったな。えーっと、今は……もう一時か。はぁ……早く寝よう。

 デジタルの目覚まし時計を見て、今が午前一時だと言うことを知った俺は未だに抱きついているルルナを離そうとした。しかし。


「う〜ん、お兄ちゃ〜ん。離さないよ〜」


 そんな寝言を言いながら、さらに俺に抱きついてきた。あー、なんでこうなるのかなー。まあ、いいか。今日は疲れたから、細かいことはどうでもいい……か。

 俺はこの日、ぐっすり眠ることができた。ルルナという抱き枕があったからかな? いや、どっちかっていうと、俺がルルナの抱き枕だったような……。

 まあ、どうでもいいか。明日も頑張ろう……。


 *


 あーたーらしーい、あーさが来た、きーぼうのあーさーだ……ポチッ……。

 デジタルの目覚まし時計を止めた俺は、昨日あったことを思い出しながら、ゆっくりとベッドから出ようとしたが。


「お兄ちゃ〜ん、あと五年間、このままがいいよ〜」


 実現不可能のことを朝っぱらから、口にした妹のルルナがやはり俺に抱きついていた。


「はいはい、分かったから、とりあえず起きろー。遅刻しちゃうぞー?」


「えー、お兄ちゃんと一緒に寝てた方が楽しいよー」


「お前の気持ちは理解できないが、お前が起きたくないってことは、よーくわかった。よし、それじゃあ、俺とお前のどっちが早く学校に行けるか勝負して負けた方は、なんでも言うことを聞くってのはどうだ?」


 その直後、ルルナは一瞬で起きて、目にも留まらぬ速さで着替えた。


「それじゃあ、お兄ちゃん。先に行ってるからねー」


 ルルナはそう言うと、どこから持ってきたのか分からない食パンをくわえて、部屋から出ていった。


「……さてと、それじゃあ、俺も行くか」


 俺は急がず、慌てず、自分のペースで朝にしなければならないことをし始めた。

 ____俺が家の鍵を閉めて、道路に出た瞬間。


「私やっぱりお兄ちゃんと一緒に行きたいんだけど、いいかな?」


 ルルナが待っていてくれた。別に待たなくても、いいんだけどな……。うーん、まあ、登下校くらいは一緒でもおかしくない……よな……?


「おう、そうだな。んじゃあ、行くか」


「うん!」


 結局、俺たちは一緒に登校することになった。面倒ごとを起こしてほしくはないが、その時はフォローしてやろう。い、一応、俺は……こいつの……お、お兄ちゃん……なんだからな。

 俺がそんなことを考えながら歩いているとルルナが。


「あっ、言い忘れてたけど、妹候補は私だけじゃないから、これからどんどんやってくると思うよー」


 俺は早歩きで進み始めた。


「あっ、言い忘れてたけど、妹候補は私だけじゃないから、これからどんどんやってくると思うよー」


 俺は走り始めた。


「あっ、言い忘れてたけど、妹候補は私だけじゃないから、これからどんどんやってくると思うよー」


 俺は全力で走り始めた。


「あっ、言い忘れてたけど、妹候補は私だけじゃないから、これからどんどんやってくると思うよー」


「おいおい、冗談じゃないぞ! お前みたいなやつが、まだ増えるのかよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 俺たちはそのままダッシュで学校に向かった……。

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