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ああああああああああああああ!

 魔王の幹部の一人である『ユミナ・ブラッドドレイン』の屋敷で【メイドカフェ レインボー】を開いた俺たち。

 この世界にいる魔王を倒すことが、俺に与えられた使命なのだが、ルルナたちが乗り気でないため、それは保留となっている。

 俺しか料理を作るやつがいなかったため、人員募集をかけたが、やってきたのは、元気の良い返事しかできない、『座敷わらし』の兄妹であった。

 俺は店長であるユミナに、二人をどうするのかは俺に任せると言われた。

 俺は、一度、二人を不採用にしようと思ったが、二人を【見習い】として、この店で働かせることにした。

 俺たちが高校に行っている間、つまり午前中の間は二人に昼までにやっておいてほしい仕事をさせるというものだ。

 え? 高校が午前中で終わるわけがないだって? それは、異世界と俺の世界とでは、時間の流れ方が違うからだ。

 だいたい5時間ほどの時差があるため、高校が終わってから異世界に行くと、異世界は昼である。

 さて、今日も働くとしよう。6人分の食費を稼ぐために……。


 『お兄ちゃん争奪戦』始まりました。


「な、なあ、お前ら。俺に何をするつもりなんだ?」


 ヤドカリ型移動要塞『ヤミナ』(ユミナ屋敷)の中で壁際に追いやられた俺は5人の義理妹にロックオンされていた。


「大丈夫だよ、お兄ちゃん。痛くしないからー」


 銀髪ショートと水色の瞳が特徴的な美少女『ルルナ・リキッド』はそう言いながら、じりじりと俺に近づいてきた。


「ルルナさんの言う通りにしてくださいねー」


 赤髪ロングと緑色の瞳が特徴的な美少女『マキナ・フレイム』はそう言いながら、じりじりと俺に近づいてきた。


「別にお兄さんを食べたりしないから大丈夫だよー」


 金髪ロングと赤い瞳が特徴的な美少女……いや、美幼女『マリア・ルクス』はそう言いながら、じりじりと俺に近づいてきた。


「じっとしてろよ、バカ兄貴。今、あたしが行くからなー」


 ピンク髪ロングと赤い瞳が特徴的な美少女『アヤノ・サイクロン』はそう言いながら、じりじりと俺に近づいてきた。


「ケンジ。私の言うこと……聞けるよね?」


 黒髪ツインテールと黒い瞳が特徴的な美少女……いや、美幼女『ミーナ・ノワール』はそう言いながら、じりじりと俺に近づいてきた。


「え、えーっと、お前らはいったい何をする気なんだ?」


「何って、お兄ちゃんと恋人になる儀式をするだけだよー?」


「ま、待て! ルルナ! 俺たちは義理とはいえ兄妹だぞ!? 恋人になれるわけがな……」


「それ、誰が決めたの?」


「……え?」


「お兄ちゃんを好きになったらダメだって……恋をしちゃいけないなんていったい誰が決めたの?」


「いや、それは……」


「兄妹は結婚できないってことは知ってるよ。だけどね、お兄ちゃんを好きになっちゃいけないなんていう法律はないんだよ?」


「いや、でも……」


「お兄ちゃんは私たちのこと好き?」

 

「え? あ、ああ、仮にも家族だからな。それなりには好きだぞ」


「それなりには? へえ、そうなんだ。お兄ちゃんは私たちのこと、家族としてでしか見てくれないんだね」


「ど、どういうことだ?」


「別に分からないならいいよ。その時が来るまで私たちはいつまでも待ち続けるだけだから」


 なんで……なんでそんな悲しい顔するんだよ。これじゃあ、まるで俺がお前らを傷つけたみたいじゃないか……。

 いや、実際……そうなのかもしれない。俺はこいつらと『兄妹契約』を交わした。

 それのおかけで赤の他人だったこいつらが俺の家族になったってことは分かる。

 だけど……なんでこいつらは俺と恋人になりたいだなんて言い出したんだ?

 ……ダメだ、分からない。こいつらがどうして俺を恋人にしようとしているのかも、未だに悲しい顔をしているのかも……。

 彼は今、自分が置かれている状況がよく分かっていなかった。彼女たちの気持ちも行動も何もかも分からなかった。

 しかし、そんな彼にも1つだけ分かることがあった。


「みんな! 先に謝っておくぞ! すまない!」


 彼は5人まとめて抱きしめると、こう言った。


「俺にはお前らの気持ちはよくわからない! よくわからないけど、俺はお前らの悲しい顔を見るのは嫌なんだ! だから、もう……そんな悲しい顔……しないでくれ……!」


 いつのまにか涙が溢れ出していた俺はそれを拭おうとした。しかし。


「お兄ちゃん、私たちはただ、お兄ちゃんが私たちのことを大切に思ってくれているのかどうか確かめたかっただけなんだよー。だから、もう泣かないでー」


 ルルナがそう言いながら、俺の目尻に溜まった涙を拭ってくれた。


「そ……そう……だったのか……。って、ことは俺はまんまとお前らの策にはまったってことか……」


 俺がそう言うとルルナは俺の頭を撫でながら、こう言った。


「まあ、そうなるかなー。けど、お兄ちゃんが私たちのこと大切に思ってくれてるってことがわかってよかったよー」


「まったく……こういうことはもうするなよ?」


「うん、もうしないよ。だから今は、私たちに思い切り甘えていいよ」


「う……う……ああああああああああああああ!」


「よしよし、いい子、いい子……」


 ルルナたちは彼が泣き止むまで、ずっと頭を撫で続けていたとか、いないとか……。







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