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かしこまりました!

 魔王の幹部の一人である『ユミナ・ブラッドドレイン』の屋敷で【メイドカフェ レインボー】を開いた俺たち。

 この世界にいる魔王を倒すことが、俺に与えられた使命なのだが、ルルナたちが乗り気でないため、それは保留となっている。

 俺しか料理を作るやつがいなかったため、人員募集をかけたが、やってきたのは、元気の良い返事しかできない、『座敷わらし』の兄妹であった。

 俺は店長であるユミナに、二人をどうするのかは俺に任せると言われた。

 俺は、一度、二人を不採用にしようと思ったが、二人を【見習い】として、この店で働かせることにした。

 俺たちが高校に行っている間、つまり午前中の間は二人に昼までにやっておいてほしい仕事をさせるというものだ。

 え? 高校が午前中で終わるわけがないだって? それは、異世界と俺の世界とでは、時間の流れ方が違うからだ。

 だいたい5時間ほどの時差があるため、高校が終わってから異世界に行くと、異世界は昼である。

 さて、今日も働くとしよう。6人分の食費を稼ぐために……。


「不可視の結界を展開! これより移動準備を開始する! 総員配置につけ!」


『アイアイサー!』


 俺の掛け声に反応したルルナたちは、ユミナの寝室に行き、ユミナ(黒猫形態)が座っているベッドに飛び乗った。


「内装変形!」


 俺がそう言うと、屋敷の内装は全て金属の板へと変化した。


「外装変形!」


 俺がそう言うと屋敷の下から金属製の巨大なヤドカリが現れた。どうやら屋敷と合体しているらしい。


「変形完了。これより、発進可能になるまで魔力を補充する! 総員、魔力を放出せよ!」


 俺がそう言うとルルナたちは体の周囲からそれぞれの属性のオーラを出し始めた。


「よし、今のうちにハヤトとイーグルはタービンを回して来い!」


『アイアイサー!』


 二人は同時にそう言うと、エンジンルームへ行き、タービンと連動している石臼を回し始めた。

 疲れたら、交代。疲れたら交代。ただこの繰り返しである。


「お兄ちゃん、発進可能魔力値に到達したよー!」


 そう言ったのは、銀髪ショートと水色の瞳が特徴的な美少女『ルルナ・リキッド』。


「了解! では、これより発進する! 総員! 衝撃に備えろ!」


 ひしと抱きしめ合ったルルナたちは、ベッドの中心でじっとしている。

 ちなみに例の二人はまだ石臼を回し続けていた。


『ケンジさーん!』


「なんだー! 何か問題発生かー!」


『違いますー! もう疲れましたー!』


「もう少し回してくれ! あとでごちそう作ってやるからー!」


『了解しましたー! 腕がもげるまで回し続けまーす!』


「ああ! ほどほどになー!」


 その直後、やっとブースターの調子が上がってきた。ブースターは早く動きたいと言わんばかりの音を屋敷中に響かせている。


「よし! 二人とももういいぞ! 俺のところへ来い! 迅速かつ安全に!」


『アイアイサー!』


 二人は俺がいるキッチンへダッシュでやってくると俺の両サイドに座った。


「よおし! それじゃあ、そろそろ発進するぞ! みんな準備はいいか!」


『にゃー!』


 なぜ全員がそう言ったのかは分からなかったが、発進していいことはわかった。


「よし! それじゃあ……ヤミナ発進!」


 自爆スイッチかと思うくらい大きなスイッチを俺が押すと、金属製の巨大なヤドカリの腹部にくっついている大きなブースターが大きな音を立てながら作動し、ヤドカリの動きを加速させた。


「ヤミナ発進を確認! これより、目的地を設定する! 店長! いかがいたしましょうか!」


 ルルナたちと共にベッドの中心に座っているユミナ(黒猫形態)は、少し考えてからこう言った。


「うーんとね、まあ、とりあえず『北の洞窟』に向かってもらえるー?」


「かしこまりました! では、これより『北の洞窟』へと向かう! 取り舵90度!!」


 ヤドカリ型移動要塞『ヤミナ』は右に90度曲がると、それからは真っ直ぐ進み始めた。

 これからは移動しながら、店をやっていかないといけない。

 店で攻撃魔法を使った『ライジング・ガンマ』という貴族にかけた呪いはもう解けてしまっているのだから……。

 正直、そいつにいつ襲われてもおかしくなかったが、どうやら今日ではなかったようだ……。


「お兄ちゃ〜ん! もう自動操縦に切り替えても大丈夫だから、こっちにおいでよ〜!」


「いや、俺はここから離れるわけには……」


「お兄ちゃん、休める時に休まないと体がもたないよー!」


「……それもそうだな。よーし! それじゃあ、今から自動操縦に切り替えるから、ちょっと待っててくれ!」


「はーい!」


 俺はルルナにそう言われなければ、きっとここでずっと操縦していただろう……。

 休める時はしっかり休む。そんなこともわからないようでは、これからやっていくなんて到底できない。なら、今はしっかり休んでいざという時に備えるべきだよな。

 俺は自動操縦に切り替えると、ルルナたちが待つ寝室へと向かった。

 例の二人も俺に着いてきたため、寝室には合計9人……いや、8人と1匹がそこに集まることとなった……。












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