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〇〇だ!

 ルルナの恐ろしさを感じた……というのが前回、俺が学んだことである……。(ルルナは元拷問官かもしれない……)


「お兄ちゃんの体の中から属性の神さまが5人も出てきたことを知ったら、マキナちゃんたちどんな顔するだろうねー」


 魔王に仕える10人の幹部の一人『ユミナ・ブラッドドレイン』の屋敷のベッドに座っている俺の隣に座り、呑気にそんなことを言った、銀髪ショートと水色の瞳が特徴的な美少女『ルルナ・リキッド』は異世界からやってきた俺の義理妹の一人……になった存在である。


「さあな……。というか、他の4人はどこに行ったんだ?」


「んー? あー、多分……というか、確実にユミナちゃんを捕まえに行ったよー」


「そうか……。なら、もう少し待つか」


「うん!」


 それから、5分後……。ユミナの寝室へ入るための扉がゆっくりと開かれ、例の4人……と一匹がぞろぞろと寝室に入ってきた……。

 黒猫の首にリード付けの首輪を付けて逃げられないようにした状態で……。

 俺はそれに気づくと、マキナの方へと歩いていき、こう言った。


「おいおい、マキナ。これはいったいどういうことなんだ? そいつに首輪は必要ないだろ?」


 俺がそう言うと、赤髪ロングと緑色の瞳が特徴的な美少女『マキナ・フレイム』はルルナに目をやった。

 すると、ルルナは首を横に振った。

 それを見たマキナは、溜め息をくと。


「いいですか、お兄様。この黒猫は魔王の幹部が化けたものなんですよ? こうしていないと、またお兄様の血を吸おうとするかもしれませんから、こうして首輪を付けているのです」


 俺に事の重大さを感じさせるように、伝えた。

 だが、それを聞いた俺は不思議に思った。それは……。


「じゃあ、くけどよ。なんでお前も首輪をしているんだ?」


 マキナの首には真っ赤な首輪が付けられていたからだ。そういう性癖があるのかどうかは知らないが、このままでは俺にそういう性癖があると思われてしまうため、そう言った。

 すると、マキナは頬を少し赤らめた……。


「い、いや、これはその……決して、お兄様の犬になりたくて仕方ないとかではなくてですね……あの、その、えーっと……」

 

「あー、言いたくないならいいんだよ、別に。ちょっと気になっただけだから……はははは」


 どうやら俺は余計なことをいてしまったらしい……反省。


「そ、そうですか……なら、幹部をどうするか、お兄様が決めてください」


「え? 俺が?」


「はい、そうです。魔王に仕える10人の幹部の中で最弱な存在だとは聞いていましたが、お兄様の血を吸おうとした大罪人です。どうか、しかるべき罰をお与えください」


「然るべき罰ねえ……」

 

 俺はユミナ(黒猫形態)をひょいと抱っこすると、その赤い瞳をじっと見つめた。


「お兄様、危険です。触ってはいけま……」


「それは……いったい誰が決めたんだ?」


「え?」


「今、こいつの目を見たからわかったが、こいつは……ユミナは……魔王の幹部にならなければならない家系に生まれたせいで、誰とも友達になれず、一人寂しく生きてきた……。それに、こいつは今、小刻みに震えている。だから、危険だなんて決めつけるな」


「……そう……ですか。分かりました。なら、今すぐにその幹部をどうするか決めてください。でないと、私がこの手で殺さなければならなくなりますから」


「分かった。少し時間をくれ。こいつと話がしたい」


「……分かりました。では、私たちはしばらく席を外しますね」


「ああ、ありがとう」


「……それでは失礼します。危なくなったら、すぐに私たちを呼んでください」


「ああ、そうするよ」


「では、ごゆっくり」


 マキナがそう言うと、ルルナたちはぞろぞろと寝室から出ていった。

 あいつらのことだから、盗み聞きはしないとは思うが、一応、小声で話すとしようか……。

 俺はユミナ(黒猫形態)と共にベッドに行くと、俺はベッドに座り、ユミナは俺の膝の上に座らせた。


「……それで? お前はこれからどうしたいんだ?」


 ユミナの赤い瞳は少し潤んでいたが、ユミナはゆっくりと話し始めた。


「私は……君と一緒にいたいと思ってしまった。魔王の幹部の一人なのに、魔族なのに……人間のこと……好きになっちゃった。私……これからどうすればいいんだろうね……」


「……種族なんて関係ないだろ? 大事なのは、これからお前がどうしたいかってことだ」


「そう……だね……そうだよね。私のことは私で決めないといけないよね……」


 しゅんとした顔でうつむくユミナを見た俺は、ユミナを優しく抱きしめた。


「な、何? いきなりどうしたの?」


「いや、別になんでもないんだけどよ、お前が悲しそうな顔してたから、つい」


「そっか……。君は優しい人なんだね」


「そうか? 甘いの間違いだろ?」


「ううん、違うよ。君に触れていると、とっても心が安らぐし、なんだか癒されるの。だから、きっと君は優しい人だよ」


「うーん、なんだかよくわからないが、少しは落ち着いたってことか?」


「うん、まあね。君のおかげで、私のこれからをどうするか、決心できたよ」


「そっか。なら、まず俺に言ってくれ。ルルナたちに言うのは、そのあとだ」


「うん、分かった。それじゃあ、言うね。私がこれからしたいことはね……」


 彼の耳元で自分のこれからを話したユミナ。それを聞いて、一瞬驚きつつも納得したケンジ。

 彼は、そのことをみんなに伝えようと部屋の外に出ようとしたが、一瞬で扉の開け閉めと自分の目の前に横一列に並ぶのをやってのけた彼女らの姿を目撃したため、その必要はなくなった。

 彼はユミナを頭の上に乗せると、彼女らのところへ行き、深呼吸……。そして……。


「それじゃあ、ユミナのこれからについて伝えるから、よーく聞いとけよ?」

 

 生唾をゴクン!と飲んだ音が五人分聞こえたが、俺は気にせず、彼女らに告げた。

 

「これからユミナは俺たちの……〇〇だ!」


 それを告げた直後、5人は喜びの舞を踊り始めた。さてさて、ユミナはこれから、ケンジたちの何になるのだろうか……。




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