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はい!

 魔王に仕える10人の幹部の一人である『ユミナ・ブラッドドレイン』の家にやってきた俺は、色々あってユミナに血を吸われかける。

 しかし、俺を探しにきてくれたルルナたちのおかげで俺は助かった……。


「あ……れ? 俺、何……してたんだっけ……って、ルルナ……か? どうしてここに?」


 ユミナのベッドに横になっている俺の顔を覗き込んでいたのは、銀髪ショートと水色の瞳が特徴的な美少女『ルルナ・リキッド』だった。


「おはよう、お兄ちゃん。お兄ちゃんがいつまで経っても帰ってこないから、みんなで来ちゃった♪」


 笑顔でそう言うルルナは、ベッドに座った。


「そう……か。というか……ユミナはどこに行ったんだ?」


「うーん、そうだねえ、マキナちゃんたちが追いかけて行ったから、もうすぐここに来ると思うよ」


「そうか……なら、そろそろ起きなきゃ……な」


 俺が無理に起き上がろうとしたため、ルルナはそれを止めた。


「お兄ちゃん、無理はダメだよー。仮にも吸血鬼に血を吸われそうになったんだから、体に力が入らないのは当然だよー」


「いや、あいつは吸血鬼っていうか……」


 俺はユミナが俺と魔王にだけ話した、ユミナは吸血鬼と悪魔のハーフであるという秘密をルルナに言いかけた。

 しかし、俺はそれをごっくんと飲み込み、言わないようにした。


「んー? なあにー?」


「……いや、なんでもない。忘れてくれ」


「そうー? まあ、別にいいけどねー。それじゃあ、お兄ちゃん。おとなしく横になってねー」


「あ、ああ」


 俺はルルナの指示に従い、横になった。先ほどまで、ユミナという魔王の幹部の一人と寝ていたことが信じられないくらい、寝室は静かだった。

 聞こえるのはルルナがベッドに横になる音だけだった……って、あれ? おいおいおい、ちょっと待て。なんでルルナが俺の腕に顔を擦り付けてくるんだ?

 というか、体が……動かない……。


「えへへへ〜、お兄ちゃ〜ん♪」


 子猫が親猫に甘えるかのように、スリスリと顔を俺の腕に擦りつけるルルナの体温がいつもより高く感じた。


「あー、なんかー、体が火照ってきちゃったなー。お兄ちゃ〜ん、どうにかして〜」


 そ、そんなこと言われても、今の俺にはそんなことできない……って、なんで制服を脱ぎ始めてんだ? というか、中断した?

 はぁ……よかった。どうやら思いとどまってくれたみたいだ。

 そうそう、制服はちゃんと着るんだぞー……って、今度は俺の服を脱がそうとしてるんですけどー!?

 だ、誰か助けてー! 異世界からやってきた義理の妹に出会って1ヶ月も経ってないのに、犯されるー!

 俺が心の叫びは、誰にも届かないと思った。

 しかし、ルルナには、俺の心の声を聞ける力があったの思い出し、必死で叫び続けた。(心の中で)

 すると……。


「は……! お、お兄ちゃん、ごめんね! 私、こんなことするつもりなんて全然なかったのに、なんか急に気持ちよくなって、それで……!」


 俺はその時、声が出せることに気がついた。


「いや、大丈夫だ。俺も、ルルナに犯さ……じゃなくて、服を脱がされそうになった時に金縛り状態だったから、仕方ない」


「うう……ごめんね、お兄ちゃん……」


 しゅんとした顔で俺に身を委ねてくるルルナ。

 ほとんど毎日、俺のベッドに潜り込んでくるから、もうこいつの感触には慣れていたはずなのにな……。

 その時、俺の中の何かが外れる音がした。


「あ……! あ……う……ル……ルルナ……! 逃げ……ろ!」


 急に身悶え始めた俺に気づいたルルナは、心配と驚きを露わにしながら、俺から離れた。

 そうだ……それでいい。俺はお前を……まだ死なせるわけには……いかない……からな。

 俺は体の奥から湧き上がってくる何かを体の中に押し留めようと必死に体を丸めていたが、それは俺の意思とは関係なく、俺の体の外に出てしまった……。


「あ……あ……! や、やめ……ろ。やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 喉を痛めてしまうのではないかというくらい大声で叫んだ直後、赤、青、緑、黄、黒の球体が俺の体の中から、ヒョコっと飛び出した。

 それはルルナの前で横一列になると、俺の体をコピーしたのか人型になった。(体は一色でできている)


「……お兄ちゃんの体の中から……お兄ちゃんが出てきたってことは、お兄ちゃんの兄弟かな?」


「ルルナ! 何してる! 早く逃げろ! そいつらは俺じゃない! そいつらは!!」


 その時、赤以外の俺が俺の動きを封じるために、四肢を固めた。


「お兄ちゃん! 大丈夫!?」


「あ……ああ、なんとか……な」


「そっか。よかった」


『何がよかっただ。そのまま両手足を折ってしまえばよかったのに』


 赤い俺がルルナにそう言うと、ルルナは。


「どうしてそんなこと言うの! あなたたちは全員、お兄ちゃんの一部なんでしょ!」


『今さっきまでは……だがな』


「あー、そう。なら、おとなしくお兄ちゃんの体の中に戻ってもらえるかな?」


『ふふふ……お前の言うことなど聞くわけがな……』


 その時……ルルナは一変した……。赤い俺の顔面を掴むと、今にも潰れそうな握力で握りしめ、そのまま地面に足がつかないように持ち上げてしまったのだから、そう言うしかない……。

 赤い俺はそのまま苦しみながら、気絶してしまった。


「さあて……あなたたちは……どうするの?」


『……!!』


 ルルナの水色の瞳がいつもより冷たく感じたのは、言うまでもないが、その時のルルナの瞳からは静けさと威圧感を兼ね備えた何かを感じた……。

 俺がその瞳に目を奪われている間に赤い俺以外の俺は俺から離れるとルルナに土下座していた……。

 ルルナは、赤い俺を床に捨てるように離すと、人ではなくゴミを見るような目で彼らを見下ろした。


「もう一度、出てこようとしたら、指をミリ単位で刻むだけじゃなくて、身体中の皮を少しずついでから、よーくいだサバイバルナイフで肉を一口サイズに切って、最後に生殖器をあなたたちがショック死する直前までゆーっくり、切断してから、口の中に放り込んであげるから……覚悟……してね?」


『は……はい!』


「よく聞こえないなぁ……もう一度」


『は、はい!!』


「もう一度……」


『はい!!』


「もう一度……」


『はい!!!』


「もう一度……」


『はい!!!!』


「もう一度!!」


『はいいいいいいいいいいいいい!!!』


 ____ルルナは、彼らの喉が崩壊する直前まで、それを続けた。そいつらがルルナに恐れを抱きながら、赤い俺を連れて、俺の体の中に戻っていったのを見送ると。


「まさか、お兄ちゃんの体の中に属性を司る神さまが住んでるなんて思わなかったよー。だから、短時間で五属性をものにできたんだねー。納得ー」


 いつものニコニコ笑顔でそう言った。俺はむくりと起き上がると苦笑しながら、なんとなくルルナと会話を始めた……と思う。

 今回、俺が学んだこと。それは……ルルナは敵に回してはいけないし、そうじゃなくても、怒らせてはいけない要注意人物だということである……。





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