やー!
俺は魔王に仕える10人の幹部の一人である『ユミナ・ブラッドドレイン』と共に彼女の家に行くと、ベッドに押し倒され、俺の心臓と血を捧げろと言われたが、俺はまだ死にたくなかったため、なんとかユミナを説得した……。
ルルナたちが俺を一人でユミナの家に行かせたのは、こういうことだったんだな……。まあ、なんとかなったからいいか……。
「なあ、ユミナ。そろそろ離れてくれないか? もう1時間くらいは経ってるぞ?」
俺をベッドに押し倒した張本人『ユミナ・ブラッドドレイン』は俺の胸に顔を埋めて、シクシクと泣いていたが、いつのまにか泣き止んでいた。(なぜ泣いていたのかは、前話を確認してくれ)
「……いやだ」
「どうしてだ? 離れたくない理由でもあるのか?」
「……理由はない……けど」
「けど?」
「君の体を抱きしめてるとね、心がほわほわしてくるの」
「ほわほわ?」
「うん、ほわほわ。わかりやすく言うと、とっても安心できるってことだよ」
「へえ、そうなのか。でも、俺にそんな能力はないと思うんだけどなー」
「とーにーかーくー! 私が満足するまで君はこのままでいること! 分かった?」
「あー、はいはい、わかったから、気が済んだら言ってくれ」
「うん♪」
それから、さらに1時間後……。
「おーい、ユミナー」
「……Zzz」
「あれ? もしかして寝ちゃったのか?」
「……えへへへ〜♪」
満足そうな顔をしながら眠ってるユミナを顔を見ていると、なんだか自分まで眠くなってきてしまった。
「あー……やばい……なんか……俺まで……眠く……」
俺は睡魔に勝てず、そのまま深い眠りへと誘われてしまった……。
その頃、ルルナたちはあまりにも二人が帰ってくるのが遅いと感じたため、ユミナの家に自分たちも行くことにした。
『ポッピン、パタパタ、ポーン!!』
ユミナの家に行ける呪文を唱えると、一瞬でユミナの家の倉庫に転移した。(しばらく、その倉庫に二人がいないか探していたが、倉庫の外に立派なお屋敷を発見したため、そこに行くことにした)
「おじゃましま〜す」
銀髪ショートと水色の瞳が特徴的な美少女……『ルルナ・リキッド』がそう言った。
「誰かいませんかー」
赤髪ロングと緑色の瞳が特徴的な美少女……『マキナ・フレイム』がそう言った。
「お兄さーん! どこにいるのー!」
金髪ロングと赤い瞳が特徴的な美少女……いや、美幼女『マリア・ルクス』がそう言った。
「おーい! バカ兄貴ー! どこだー!」
ピンク髪ロングと赤い瞳が特徴的な美少女……『アヤノ・サイクロン』がそう言った。
「ケンジー! どこー!」
黒髪ツインテールと黒い瞳と黒いゴスロリ服が特徴的な美少女……いや、美幼女『ミーナ・ノワール』がそう言った。
「誰もいないみたいだね〜」
「そうみたいですね」
「お兄さん、どこにいるんだろう……」
「バカ兄貴のことだ、きっとなんか厄介事に巻き込まれてんだろうよ」
「それは大変……早くケンジを探さないと」
ミーナが走り出そうとすると。
「まあ、待てよ、ミーナ。いくら10人の幹部の中で戦闘力が一番低い吸血鬼族って言っても、一応、幹部の一人なんだからよ、そいつの縄張りで単独行動は避けるべきなんじゃねえか?」
アヤノがミーナの腕を掴んで、それを阻止した。
「離して……私はケンジを探しに行く」
「だーかーらー、お前一人で行くのは、危険だって言ってんだろ? あたしらはバカ兄貴の妹に……家族になったんだからさ、協力し合うべきなんじゃねえのか?」
「……そう……だね。ごめんなさい」
「分かりゃいいんだよ、分かりゃ」
アヤノはそう言いながら、ミーナの腕から手を離した。それでもミーナはアヤノに背を向けたままだったため。
「おい、ミーナ。こっち向け」
アヤノにそう言われた。ミーナは断れば厄介なことになると思い、アヤノの方を向いた。すると……。
「むにーーー!」
「…………何?」
アヤノがミーナのほっぺたを引っ張って、無理やり笑顔にした。
「えーっとだな、お前、いつも真顔だろ?」
「それがどうかしたの?」
「だからな、あれだよ。あたしらの前くらいリラックスしてもいいってことだ」
「そう……」
「あー、その口調もなんとかした方がいいかもな」
「どうして?」
「どうしてって、 そりゃあ、あれだよ。その……ほら、口調でそいつの性格がなんとなく分かるからさ、誰かに好かれたいなら、もっとこう、感情が感じられる口調にした方がいいんじゃねえかなぁ……って」
「……そっか。なら……ケンジで試してみるよ」
「おー、そうか、そうか。まあ、あたしらにも、たまには、砕けた感じで接してくれよ?」
「……分かったから、いい加減、手を離して」
「おっと、すまねえな。つい柔らかくて」
「私はペットじゃない」
「ああ、分かってるよ。そんなことは。んじゃあ、一緒にバカ兄貴を探すぞ、ミーナ!」
「え、ちょっ、待っ……」
「やー!」
「どうしてこうなるのーーー」
アヤノはミーナと手を繋ぐと、屋敷の中を探索し始めた。(ダッシュで)その後、残った3人もケンジを探すことにした。
その頃、夢でもユミナに抱き枕にされていたケンジは、うなされていた。
「あー……誰かー……早く助けに来てくれーーーー」
ケンジがユミナから解放されるのは、果たしていつになるのだろうか。
このまま一生……というわけではなさそうだが、ルルナたちが無事、ケンジを助け出せるかは、まだ誰にもわからない……。




