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俺を見ろ!

 俺の名前は『田村たむら 健二けんじ』。魔王を倒せる存在らしいが、実感がまったくない高校2年生。

 いつものようにルルナたちと異世界にやってきて、モンスターを倒しまくっていた時、俺たちの目の前に魔王に仕える10人の幹部の一人『ユミナ・ブラッドドレイン』がやってきた。(彼女は吸血鬼と悪魔のハーフらしい)

 そして、なぜか俺はユミナの家に行くこととなった。彼女の家に転移するために、なんだか訳の分からない呪文を言わされたが、とくに体に異常はなかったため、ほっとした。

 しかし、どうしてルルナたちは俺が一人でユミナの家に行くことを許してくれたのだろうか……。

 まあ、そんなことよりユミナの弱点でも探しに家の中を探索するとしよう……。


「はい、到着したよー!」


「おー、やっと着いたか……って、お前、こんなところに住んでるのか?」


「ううん、ここは倉庫だよ。最近、掃除してなかったから、ほこりまみれだね」


 木製の倉庫は20畳ほどあった。なにやら、怪しげな道具がたくさん置いてあるが……まあ、こういうのは触らない方がいいよな。


「それじゃあ、ここはお前の家の倉庫で本当の家は別にあるってことか?」


「うん、そうだよー。こっち、こっち」


「ちょっ! いきなり手を引っ張るなよ! というか、握力強くないかー!」


 俺は半ば引きずられながら、ユミナの家へと向かった。


「ただいまー。今帰ったよー」


「………………」


「おい、誰もいないみたいだぞ?」


「うん、そうだよ。ここに住んでるのは、私だけだもん」


「じゃあ、なんで言ったんだよ」


「侵入者がいないか超音波を出しただけだよ」


「俺の知ってる吸血鬼はそんなことはできないけど、まあ、コウモリっぽいことができるんだな?」


「うん、そうだよー。すごいでしょ?」


「ああ、すごい、すごい」


「棒読みする人は血を吸っちゃうよ?」


「わー! すっごーい! ユミナ、すっごーい!」


「ふふふ……よろしい。じゃあ、こっちに来て」


「あ、ああ」


 一人で掃除しているのかは分からないが、結構立派なお屋敷の床には、赤いカーペットが敷かれていて、2階に続く階段は、なぜか螺旋状らせんじょうになっていた。(DNAみたいな形……野球チームではない……)


「ここが寝室だよ。ほら、ベッドに座って」


「い、いや、俺は別に……」


「座らないと……」


 ユミナは俺の首筋に顔を近づけてきたため、俺はその顔を押さえながら。


「あー! 分かったよ! 座ればいいんだろ! 座れば!!」


 必死にそう言った。すると、ユミナは俺をベッドまで連れて行くと、いきなり俺をベッドに押し倒し、馬乗りになった。


「え、えーっと、これはいったい……」


「少し黙って」


「は? いきなりどうしたんだよ、ユミナ」


「黙れ。あと、軽々しく名前を呼ぶな」


「いや、なんで俺がそんなことしなくちゃいけな……」


「いいから黙れよ! あと、私の言うことを聞け!」


「え、あっ、はい。すみませんでした」


「よおし」


 俺がユミナにたずねるのをやめると、ユミナは俺の心臓に手を当てた。


「いいか? これからお前の心臓を取り出してから、お前の体の血を全部、吸わせてもらう。言っておくが、これは脅しじゃない。本気だ」


「あのー、キャラが変わりすぎですよー。大丈夫ですかー?」


「殺されたいのか?」


「いえ、別に」


「なら、おとなしく私に心臓と血を捧げると誓え」


「誓ったら、どうなるんだ?」


「お前の意識が私の体の中で一生、生き続けられるようになる」


「ほう、そうか……。それで? なんで俺なんだ?」


「お前には魔王様に匹敵する力が感じられるからな、ぜひ、その力を私のものにしたいんだよ」


「えーっと、魔王の幹部であるはずのお前が魔王を裏切るつもりなのか?」


「はあ? お前、何か勘違いしてないか? 私はな、お前の力を手に入れたら、一度この世界をぶっ壊したいだけだ。魔王様に勝とうだなんて、これっぽっちも思ってねえよ」


「そうか、そうか。お前は俺の力がないとそんなこともできない、出来損ないなんだな」


「……! ち、違う! 私は……出来損ないじゃ……」


「それは、お前が一番よく知っているはずだ。一度、今までのことを振り返ってみろよ」


「わたしは……今まで……何を……されてきたのか、わから……ない?」


 頭を抱えて俺の胸に顔を埋めたユミナの頭を俺はそっと撫で始めると。


「お前が何か企んでいることくらい俺にだって、見当はついた。けど、ルルナたちはそれを知っていながら俺を一人でここに来させたんだと思う。まあ、要するに、あいつらは、俺がお前を救ってくれるだろう……って、思ったから、ここに来させたんだろうな」


 その時、ユミナは小刻みに震え始めた。


「うう……ごめんなさい……私……本当は……こんなこと……したくなかったの……君のこと……助けたいと……思ったの……だけど……魔王様の命令に逆らったら……私の大切な人たちが……傷ついてしまう。だから、私は……君を殺そうと……しちゃったの……」


「ユミナ! 俺を見ろ!!」


「え? う、うん……」


 ユミナは、涙目になりながらも、俺の目を見た。


「お前の赤い瞳はきれいだし、吸血鬼と悪魔のハーフっていうのも、レアで強そうなんだからさ、そんな悲しそうな顔するなよ。な?」


「う……う……うわあああああああああああん!!」


 ユミナは急に泣き始めた。そして、俺をギュッ!と抱きしめてきた。

 俺は、今は優しく抱きしめ返してあげるのが一番だと判断したため、ユミナが泣き止むまで、その体勢でいることにした……。(ユミナの体……冷たいな)

 

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