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最高だな!

 4月から高校2年生になった俺は、異世界からやってきた俺の妹候補だというルルナに魔王を倒してほしいと言われたが……って、あらすじは必要ないよな。というか、ざっと読み返してきてくれ。頼むから。

 さてと、まあ、あれだ。俺とルルナとマキナとマリアの4人で高校に登校したってところから始まるから、そのつもりでいてくれ……。


「はぁ……」


 席について早々に溜め息をいた俺に対して、銀髪ショートと水色の瞳が特徴的なルルナは。


「どうしたの? お兄ちゃん。何か悩みでもあるのー?」


 自分の席(俺の後ろの席)から少し移動すると、俺の目の前に立って話しかけてきた。


「悩みっていうか、まあ、あれだな。主にお前らのことで悩んでるんだよ」


「そんなに私たちのことが好きなのー? もう、しょうがないなー、お兄ちゃんはー」


「誰がそんなこと言ったんだ? いいか、俺はな、普通の高校生活を送りたいんだよ」


「普通って、具体的にはどんな感じのものなの?」


「だから、俺のクラスに転校生としてやってくるお前らのことを俺の遠い親戚だとか言わなくてもいい高校生活のことだ」


「えー? マキナちゃんもマリアちゃんももちろん私も可愛いのに、何が不満なのー?」


「不満? 不満だと? ふざけるなよ……。ほいほい異世界からやってきて俺に無理やり『兄妹契約』を結ばせるお前らに不満がないとでも思っていたのか?」


「お兄ちゃん、ちょっと落ち着こうよ。カルシウム足りてないんじゃないのー?」


「いや、だからな……」


 その時、校庭に何かがものすごい勢いで降ってきた。


「な、なんだ! なんだ! なんかもの凄い勢いで降ってきたぞ!」


「な、なに! なに! 隕石?」


「これが人類滅亡の始まりでござるか!? もう少し遅くにきてほしかったでござる!!」


 クラスのみんなが慌てふためくなか、ルルナは俺の肩に手を置くと、ニッコリ笑った。

 ____俺はルルナとマキナとマリアが生徒たちの避難誘導に行っている間、それを調べに行った。


「うわー、地面がえぐれてるなー。今度の妹候補は隕石なのか?」


 俺は徐々にそれに近づいていった。すると……。


「イテテテ……あー、くそ! この世界の重力はどうなってんだ? 体が軽すぎて着地に失敗しちまったじゃねえか!」


 え、えーっと、どこかの組の人かな? と、とりあえず逃げ……。


「あれ? あいつもしかして……おーい、そこのお前ー! もしかして、田村たむら 健二けんじってやつかー?」


 俺は彼女に背中を向けたまま、立ち止まると首を高速で横に振った。


「うーん、おっかしいなー、あたしの目に狂いはねえはずなんだが……」

 

 どこからその自信がくるんだよ! あー、早くどっかに行ってくれ!


「うーん、やっぱり顔見ないと分かんねえな。おーい、今からそっちに行くからちょっとそこで待ってろー! あっ、あと、拒否ったら殴るから、おとなしくしてろよー!」


 俺はここ数日で結構強くなった。触れれば即死する『ポイズンスライム』も灼熱の炎を吐く『サラマンダー』も固い岩でできた『ガーゴイル』も素手で倒せるようになった……。

 今の俺なら、もしかしたら、いけるんじゃないか? 俺がそんなことを考えていると、そいつがジャンプして何回転かすると、俺の目の前で着地した。

 ピンク髪ロングと赤い瞳が特徴的な、そいつは俺の顔を見るなり。


「お前があたしの『兄貴』になるやつか? うーん、なんか弱そうだな」


 そんなことを言ってきた。俺はサラシで胸を隠し、両手・両腕に包帯を巻き、なぜか学ランを羽織っている、そいつに向かって、こんなことを言った。


「お前こそ、無理やり男装して、自分を強く見せようとしてるじゃねえか」


「あぁん? それは聞き捨てならねえな。いくらこれから、あたしの兄貴になるからって、言っていいことと悪いことがあるよなぁ?」


「じゃあ、俺の強さを思い知らせてやるよ。もちろん、拳でな? 俺が勝ったら、校庭を元に戻してもらう!」


「あたしが勝った場合は?」


「お前の言うことをなんでも一つ聞いてやるよ」


「へえ、そいつはいいや。久しぶりに楽しめそうだ!」


「ここに宣言しよう。俺はお前を10秒で倒す!」


「ははは! そんなのできるわけねえだろ! でもまあ、あたしはあんたを5秒で倒せるけどな!」


 両者は一旦、距離を取ると。


「この……不良妹があああああああああああ!!!」


「来いよ……バカ兄貴いいいいいいいいいい!!!」


 両者の拳が重なりそうになったその時。


「喧嘩はー、ダメだよー」


 ルルナが猛スピードで走ってきて、俺たちをアッパーで同時に倒した。

 ____保健室。ベッドに座っている俺はルルナに傷口を脱脂綿で消毒してもらっていた。(主に腕)


「イテテテ、なんで俺までこんな目に……」


「義理とはいえ、妹に手当てしてもらえるだけありがたいと思ってよねー」


「痛い! 痛い! ル、ルルナ! 染みるから、もうちょっと優しく消毒してくれ!」


「はいはい、ポン、ポン……っと」


「なんでだよ……」


「んー? なんか言ったかー?」


「あたしは兄貴のとこの学校の校庭を破壊しただけじゃなくて、兄貴に歯向かった……。あたしには兄貴の妹になる資格なんてないのに、なんであたしを……」


「お前は今日から俺の妹に……いや、俺たちの家族になるためにこの世界に来たんだろ? そんなことは気にしなくていいんだよ。というか、俺に戦いを挑んでくるとか、お前、最高だな!」


「は、ははは、すげえバカなやつなんだな。あんたって……」


「そんなこと言うなよ……あー、えーっと、名前はなんていうんだ?」


「ん? あたしか? あたしは、アヤノ……『アヤノ・サイクロン』だ」


「お前らしい苗字だな」


「うるせえ! これでも気に入ってんだよ!」


「ははは、そうか。それは悪かったな。でも、まあ、これからよろしくな。アヤノ」


「ああ、よろしくな。バカ兄貴」


 俺とアヤノは強めに握手をした。そして、この日の放課後。俺とルルナとマキナとマリアとアヤノは校庭を元に戻してから、家に帰ったのであった……。(その後、やはりアヤノと『兄妹契約』を結ぶこととなった。『兄妹契約』=お互いの血を飲み合うこと)




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