強制かよ!
俺とルルナとマキナが校門を通過した直後に予鈴が鳴ったため、教室まで全力疾走することになった。
俺の名前は『田村 健二』。両親を交通事故で亡くしてから、一人暮らしをしてきた高校二年生。
異世界にいる魔王を倒せる存在を探してやってきた銀髪ショートと水色の瞳が特徴的な美少女『ルルナ』が俺の意思に関係なく『兄妹契約』を結んでしまったせいで、俺は魔王を倒すために日々精進しなければならなくなってしまった。
ルルナが俺と同じクラスに転校してきたり、ルルナの母親に正式に兄妹だということを認めてもらいに行ったり、複数のモンスターを倒したりしてきたせいで、俺は精神的にも肉体的にも結構強くなってしまった。
さらに……五人いるらしい俺の妹候補の一人『マキナ・フレイム』が転校してきたせいで……いや、おかげでルルナに言うことを聞かせる係が増えた。
赤髪ロングと緑色の瞳が特徴で、俺や友達に対しても丁寧語で話す。
俺をお兄様と呼んでくれるのはいいのだが、あまりベタベタしないでほしい……というのが俺の小さな願いだ。
まあ、結局マキナとも『兄妹契約』を結んでしまったから、俺の妹になってしまったがな……。
まあ、そんなこんなで俺とルルナとマキナは普通の高校生を演じながら、放課後に異世界に行って、魔王を倒すために日々モンスターを倒しまくっている。
マキナが俺の妹になったことにより、俺が異世界に居られる時間が1時間から2時間に増えた。
あと3人、俺の妹候補が来るらしいから、最大で五時間くらいは居られるようになると思う。
さて、そろそろ授業が始まるな。なるべく問題を起こさないようにしてもらいたいが、まあ、その時はなるべく迅速に対処するとしよう。
そんな感じで、席に座っていると……。
「みなさん、おはようございまーす! いやあ、今日もいい天気ですねー!」
ピエロの格好をした小太りのおじさんが教室に入ってきた。
クラスのみんなは新しい先生でも来たのかとざわつき始めた……が、俺とルルナとマキナは気づいていた。そいつが……モンスターであることに……。
「さあて、それでは始めましょうか。地獄へと誘う摩訶不思議なダンスを!!」
そいつは教壇の上に立つと、急におかしな踊りをし始めた。クネクネと身をよじらせながら踊るそいつはその場にいる生徒のほとんどを操り、無理やり踊らせていた。
俺とルルナとマキナはアイコンタクトをとると。(マキナは俺の横の席。ルルナは俺の後ろの席)
「なあ、俺たちも一緒に踊ってもいいか?」
「そうだねー。仲間はずれは嫌だなー」
「私たちも参加させてもらえませんか?」
そのピエロを倒すために、戦うことにした。
「いえ、あなた方を参加させるわけにはいきません。なぜなら……」
ピエロは背中に腕を回すと、どこに収納していたのかは分からないが、三本ずつナイフを取り出した。そして、その腕を胸の前でクロスさせると。
「あなた方を倒すために来たのですから!」
その直後、ピエロは全てのナイフを俺たちの方へ飛ばしてきた。
ルルナとマキナが俺の前に出ようとしたが、俺はそれより先に、ナイフに向かって前進した。
「あら……よっと」
俺は合計六本のナイフをうまくキャッチすると。
「お返し……だ!」
ピエロに向かって打ち返した。
「な、なんのっ!!」
ピエロは全てのナイフを取ろうとしたが、それに意識を取られていたせいで、両サイドから近づくルルナとマキナに気がつかなかった。
「消えろー」
「滅びなさい!」
二人はそう言いながら、ピエロの顔面を思い切り殴った。
「ぐふっ……ま、まだだ!」
黒板に叩きつけられ、そのまま床に落下にしたピエロの顔は痛々しかったが、それでもなお、俺たちを倒そうしていたため。
「いいや、お前は終わりだよ」
俺は黒板に刺さっていたナイフを全て抜き、ピエロの両胸に突き刺そうとした……その時……。
「私のピエロさんをいじめないで!」
誰が聞いても、幼女だとわかる声が聞こえたため、俺はピエロの顔面にナイフが当たる直前で両腕を制止させた。
ピエロは恐怖のあまり気絶してしまった……。(クラスのみんなは踊り疲れて眠ってしまった)
「もう、一人で行くからだよー!」
俺はピエロの前から離れる途中にその子を……天使を見た。
金髪ロングと赤い瞳とあるのか分からないくらいのちっぱいと柔らかそうな唇と水色と白が目立つロリータ服としま模様の靴下と黒い革靴と雪のような白い肌が特徴的な美少女……いや、美幼女を俺は見た。
その子はピエロのところへ行くと、ピエロの頭をそっと撫でた。すると、ピエロは小さな光の玉になり、その子の頭の中に入った。(戻った……かな?)
その子は申し訳なさそうに俺のところにやってくると。
「ごめんなさい、ちょっと探検してくるって言ってたから、大丈夫だと思ったんですけど、みなさんにご迷惑をおかけしてしまいました。本当にごめんなさい!」
その子はぺこりと頭を下げて謝った。俺はルルナとマキナの方を見て、アイコンタクトをすると。
「モンスターと共存してるやつは初めてだけど、別にお前のせいじゃないんだから、もう頭を上げていいぞ?」
その子は頭をゆっくりと上げると。
「ホントに?」
潤んだ瞳でそう言った。(この時、俺たち三人はキュン死しかけた)
「あ、ああ、もちろんだ。安心しろ」
「あ、ありがとう! お兄さん!」
「おっとっと。急に抱きつくなよ」
やばい……思ったより、柔らかい……!
「それじゃあ、お兄さん。私のお兄さんになってもらっていいかな?」
「えー? いやー、いくらなんでもそれは急すぎるっていうか」
「ダメ……かな?」
うっ! この目には勝てない! はぁ……仕方ないか……。(幼女の期待の眼差し……威力……不明)
「あ、ああ、いいぞ」
「本当? やったー! それじゃあ、お兄さんの血をちょっともらうねー」
「ああ……って、まさかお前……!」
「そう! 私はお兄さんの妹候補の一人、『マリア・ルクス』だよ!」
「な、なんだって!? あー、えーっと、その……言いづらいんだけどさ、さっきのは無かったことには……」
「そんなのもちろんできないし、私はお兄さんと『兄妹契約』を結ぶまでは地獄の果てまで追いかけるから拒否権なんてないよ?」
「おいおい、強制かよ!」
「それじゃあ、お兄さんの血をいただくねー」
「や、やめてくれ! まだ心の準備が……。お、おーい! 二人とも助け……」
その時、ルルナとマキナは手を合わせて、おじぎをしていたため、俺は最初から彼女たちの手の平の上で踊らされていたことがわかった。
「お前ら……最初から知ってたのかよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
こうして、俺は『マリア・ルクス』とも『兄妹契約』を結んでしまったのであった……。(お互いの血を飲めば、契約成立……)




