頼りすぎだ!
ルルナに続いてマキナが俺の妹になった……。
「はい、あーん♪」
「あ、ああ」
「おいしい?」
「……ああ、おいしいよ。ルルナの卵焼き」
「えー? ホントにー?」
「そりゃ、もちろん」
「そっかー、よかったー」
「お兄様! お兄様!」
「ん? なんだ?」
「その……私の卵焼きも……」
「食べてほしいのか?」
「は、はい! そ、それでですね。その……」
「……マキナ、俺に遠慮する必要なんてないぞ。ほら、正直に言ってみ」
「は、はい! え、えーっと、ですね。その……私もお兄様に『あーん♪』ってしたいです!」
「お安い御用だ」
「ありがとうございます! そ、それでは行きますよー。はい、お兄様。あーん♪」
「……はむっ……」
「ど、どうですか?」
「うん、うまいぞ。なかなかいい感じだ」
「そ、そうですか。それはよかったです。えへへ♪」
「さてと、それじゃあ、そろそろ行くか」
俺の名前は『田村 健二』。両親を交通事故で亡くしてから、ずっと一人で暮らしてきたこと以外は普通の高校二年生だったのだが。
異世界からやってきたルルナが俺と無理やり『兄妹契約』を結んだことがきっかけで、俺は魔王を倒すために日々精進しなければならなくなった。
……とは言っても、異世界に行けるのは一日二時間程度だから、普段は普通の高校生活を送っている。
まあ、ルルナが同じクラスに転校してきた時は正直、焦ったけどな……。
あとは、ルルナが通っていたお嬢様学校の学園長……つまり、ルルナの母親のところに行ったりもした。(この時、マキナと出会っている……)
俺がルルナの兄……家族として、ルルナの母親に認められたことによって、俺とルルナは正式に『兄妹』になった。(次会ったら、名前訊こう……)
それからは、俺の世界で早朝特訓をしたり、異世界で『ポイズンスライム』や『サラマンダー』を倒したりして、己を磨いていた。
そんでもって、昨日やってきた転校生が『マキナ・フレイム』だ。
ルルナが来た時よりかは色々とマシだったが、クラスのやつらにマキナは俺の遠い親戚だと言ってしまったため、クラスの誰かに命を狙われているかもしれない……。
そして、現在。俺はマキナと『兄妹契約』を結んだことによって……って、やり方を知りたいのか? うーん、簡単に言うなら、お互いの血を飲むことだ。以上……。
えーっと、話を戻すぞ。マキナと『兄妹契約』を結んだことによって、俺は異世界に滞在できる時間が一時間から二時間に増えた。
あと三人くらい、妹候補が来るらしいから、クラスのみんなにどうやって言い訳するか、今からでも考えておこう。
ちなみに今は異世界にいる。マキナと一緒に来るのは初めてだな……。まあ、頼りにしてるぞ。
俺は日々の特訓とルルナ、マキナと『兄妹契約』を結んだことにより、ルルナと出会った頃に比べると一段と強くなっていた……。
「ほいっ! そいっ! てやー!」
「ギャー!」
「わー、すごいねー、お兄ちゃん。『ガーゴイル』を素手で倒せるようになったんだねー」
「おい、ルルナ。喋ってる……暇が……あったら……手伝って……くれ……ないか?」
ガーゴイルの攻撃を躱しながら、ルルナにそう言ったが。
「私は面倒だからパスー」
あっさり、断られた。
「そうかよ。じゃあ、好きにやらせてもらう……ぞ!」
「ギャー!」
「お見事ー」
「はぁ……はぁ……これで全部、かな?」
その時、俺の洞窟の天井の一部が崩れ、そこから三体の『ガーゴイル』が俺に襲いかかった。
「お兄様! 危ない!」
マキナはそう言いながら、火球を三発放ち、『ガーゴイル』三体をこっぱみじんにした。
「ふぅ……危なかったですね。なんとか倒せました」
「サンキューな、マキナ。えらいぞー」
俺はそう言いながら、マキナの頭を撫でると。
「そ、そうですか? えへへ、褒められた♪」
笑顔でそんなことを言った。マキナは可愛いなぁ。うんうん。
「お兄ちゃん、私の頭も撫でてー」
「いや、お前は一体も倒してないから、ダメだ」
「えー、そんなー」
「そんなに頭を撫でてほしいなら、もっと奥に行ってたくさん倒してくればいいんじゃないか?」
「そうしたいのは、山々なんだけどねー。さすがにこれ以上は進めないよー」
「この洞窟って、お前らが前に通っていた学校の近くだよな?」
「うん、そうだよー」
「生徒がモンスターに襲われるかもしれないのに、どうして、学校なんて作ったんだ?」
「あー、私は知らないやー。マキナちゃん、よろしくー」
「マキナに振るなよ……ったく。コホン、マ、マキナ。その……いきなりで悪いんだけどさ、お前らが前に通ってた学校について何か知らないか? ……おーい、マキナー。聞いてるかー?」
「えへへ〜、お兄様〜♪」
マキナは今日の放課後、屋上で俺にやったことをしていたため、その体勢のまま、今日は俺の家に帰ることにした。(腕組み&その腕に頭スリスリ)
「はぁ……やっと戻ってこれたな」
「そうだねー。だけど、私はまだ眠くないやー」
「お前は俺とマキナに頼りすぎだ! もうちょっと手伝ってくれよ」
「えー、面倒くさいから、ヤダー」
「お前なぁ……」
「お、お兄様!」
「ん? なんだ?」
「そ、その……お兄様と一緒に寝てもいい……ですか?」
「……ダメだ」
「ど、どうしてですか!? 私に魅力がないからですか!?」
「いや、そんなことはない。マキナは可愛いよ」
「ふぇっ!? そ、そうですか。で、ですが、どうしてルルナさんは良くて私はダメなのですか!?」
「……ルルナの寝相が悪いからだ」
「……はい?」
「ルルナはな、眠るとレスラーになるんだよ」
「レ、レスラー?」
「出会った時はそんなことなかったんだけど、最近は俺が朝起きようとすると、ジャーマンスープレックスとかしてくる」
「そ、そうですか、あははは」
「……まあ、そういうことだから、マキナにはルルナの抱き枕になってもらう」
「抱き枕……ですか?」
「抱き枕の抱き心地が悪いとなるらしいから、お前みたいな可愛い女の子を抱いて寝たら、ルルナの寝相もきっと改善される……はずだ」
マキナは自分が兄に頼られたことを知って、やる気がマックスになった。
「分かりました! では、行きましょう! ルルナさん!」
「あ〜れ〜」
「……グッドラック」
※幸運を祈る。
さてと、俺も寝るとするか。今日はぐっすり眠れそうだ……。




