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やっとかよ!

 日々、魔王を倒すために特訓を重ねていた俺はあることに気づいてしまった。それは……。


「なあ、ルルナ。一つ、いていいか?」


 異世界からやってきた銀髪ショートと水色の瞳が特徴的なルルナは。


「なあに? お兄ちゃん。私のスリーサイズを知りたいのなら、教えられないよー」


「おい、俺がそんなことをくと思ったのか?」


「もう、冗談が通じないなー。お兄ちゃんは。それでー? 私にきたいことってなあに?」


「ああ、そうだったな。えーっと、だな。つまり、ほら、あれだ」


「もったいぶらずに早く言ってよー。登校する時間になっちゃうよー」


「ああ、悪かったな。コホン、じゃあ、くけどさ、他の妹候補はいつになったら……」


「さあて、高校に行く準備をしようかなー」


 俺は自分の荷物を持って俺の部屋から出ようとしたルルナの手首をつかむと。


「おい、ルルナ。どうして逃げるんだ?」


「い、いやあ、なんのことだか、さっぱりだよー。あははははは」


「なあ、教えてくれよ、ルルナ。ルルナー」


「お兄ちゃんが私を頼ってくれるのは嬉しいけど、まだ言うわけにはいかないよー」


「なんでもするから、教えてくれ! ルルナ! 俺はもう我慢できないんだよ!」


「が、我慢できない!? それはつまり、私とあんなことやこんなことをしたいってこと!?」


「いや、そういうことじゃなくて、俺は早くお前以外の妹候補に会いたいだけだ!」


「え? そうなの?」


「ああ、そうだとも」


「なあんだ、それなら、そうと早く言ってくれればいいのにー」


「俺は最初に言ったと思うんだが、気のせいか?」


「まあ、細かいことはどうでもいいんだよー。それより、お兄ちゃん。そろそろ手を離してくれないかなー? いくら私のことが好きだからって、ずっと握られてたら、さすがの私もキュン死しちゃうよー」


「そう……なのか? すまない。次から気をつける」


 俺はルルナの手首をつかんでいた手を離した。すると、ルルナは急に俺を抱きしめてきた。


「おい、どうしたんだ? ルルナ。寂しくなったのか?」


「ううん、違うよー。お兄ちゃん成分が足りなくなったから、補充してるんだよー」


「俺からそんな謎の物質は分泌されていないはずなんだが、お前にはそれが必要なのか?」


「うーん、まあ、必要かなー。寝てる時はこっそりお兄ちゃんに抱きついてるから、問題ないけど、やっぱり登校前にするのがいいなあって、思ったから」


「そうか。なら、登校する時間までは、補充させてやるから、くれぐれも学校で抱きつくんじゃないぞ?」


「はーい!」


 元気よく返事をしたルルナは俺をさらに抱きしめてきたが、俺はその馬鹿力に必死で耐えた。(登校時間まで……)


「あー、そうそうお兄ちゃん。今日、うちのクラスに転校生が来ると思うから、そのつもりでいてねー」


「転校生? 俺の妹候補か?」


 登校中に後ろ歩きで俺に話しかけてきたルルナに対して俺はそう言った。


「うん、そうだよー。お兄ちゃんが知ってる人だよー」


「俺が知ってるやつ? うーん、心当たりがないなー」


「うーん、まあ、今日発表があるから、大丈夫だよー。早く行こー」


「ん? あー、そうだな。ぼちぼち行こうか」


「うん!」


 2-1教室。


「みなさん、ご機嫌よう。今日からこのクラスにお世話になる『マキナ・フレイム』と申します。以後お見知り置きを……」


 クラス中で歓喜の声が飛び交う中、赤髪ロングと緑色の瞳が特徴的な『マキナ』は俺を見つけると、つかつかと歩いてきて、笑顔でこう言った。


「今日からよろしくお願いしますね? お兄様♪」


『お、お兄様ああああああああああああ!?』


 なんでお前が転校してくるんだよ……って、こいつのこと覚えてない人もいるだろうから、一応説明しとくか……。

 こいつは、俺がルルナと一緒にルルナの世界……つまり異世界に行った時に出会った『マキナ』だ。(握力が半端ない……)

 あの時は苗字までは分からなかったけど、やっぱりお嬢様学校に通っていただけのことはあるな……。

 なんかこう、他とは違うオーラを感じる……って、ルルナもこいつと同じところに通っていたはずなのにそういうのがまったくないな……。

 その時、俺はルルナには俺の心の声が全て聞こえていることを思い出した。


「お兄ちゃん、放課後、屋上に来てねー?」


 俺の後ろの席に座っているルルナは俺の耳元でそう囁いた。今日、死んだな、これ……。俺はクラスのやつらにマキナは俺の遠い親戚だと誤魔化して、なんとかその場を切り抜けた。

 ____なんだかんだで放課後の屋上。


「ねえ、お兄ちゃん。今すぐここでマキナちゃんと『兄妹契約』してほしいんだけどいいかなー?」


「な……! あなた何を言って……!」


「ああ、いいぞー」


「お兄様! 本気ですか!?」


「本気も何も、お前はそのためにわざわざ転校してきたんだろ?」


「それは、そう……ですけれど……」


「なら、さっさと済ませた方がいいんじゃないか?」


「ま、待ってください! まだ心の準備が……」


 俺はマキナの頭を撫でながら、こう言った。


「正直、俺だってこんなことはしたくないんだよ。俺は出会って間もない女の子の血を吸わなくちゃいけないし、お前は俺みたいな、一般人の血を吸わなくちゃいけないんからな……。だけど、俺は……お前を……マキナを……俺の妹にしたい。だから、俺と『兄妹契約』を結んでくれないか?」


 マキナは俺をギュッ!と抱きしめると。


「そこまで考えているなんて、おかしな人ですね。あなたは……」


「そうか? 別に普通だと思うけどな……」


「なんだか、ルルナさんがあなたと『兄妹契約』を結んだ理由がわかった気がします」


 マキナは俺の目を見ながら、そう言った。


「じゃあ、俺と『兄妹契約』を結んでくれるか?」


「はい、よろこんで! えいっ!!」


「なっ! いきなりかよ! ……うっ!」


 俺はマキナに押し倒されると、そのままマキナに首筋から血を吸われ始めた。

 マキナはいつのまにか親指の先端を切っており、俺の口の中に無理やりそれを突っ込んできた。

 ____『兄妹契約』を結ぶと、俺とマキナのところへやってきたルルナが俺にこう言った。


「おめでとう、お兄ちゃん。これでお兄ちゃんは異世界に2時間くらい滞在できるようになったよー」


「やっとかよ! というか、あと何人来るんだ?」


「うーん、最低でもあと3人くらい来ると思うよー」


「そうなのか? というか、これから来る3人とも『兄妹契約』を結ばないといけないのか?」


「もちろんだよー」


「はぁ……いた俺がバカだったよ……って、あんまりくっつくなよ、マキナ」


「お兄様〜♪」


 マキナは勝手に腕を組んで、俺の腕に顔を擦り付けていた。


「ダメだ、全く聞いてない」


「あははは、お兄ちゃんにモテ期到来だねー。まあ、妹だけどねー」


「バ、バカにするなー!」


「うわー、お兄ちゃんが怒ったー。逃げろー」


「あっ! おい、こら待て! ルルナ!」


 俺がマキナの腕をほどいて、ルルナを追いかけ始めると。


「お、お兄様ー! 待ってくださーい!」


 マキナもそのあとに続いた。なんだか、これからとっても賑やかになりそうです……。

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