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何しやがった!

 夏休み……ユミナの屋敷……会議室……。


「よし、みんな集まったみたいだから、始めるよ」


 銀髪ショートと水色の瞳が特徴的な美少女『ルルナ・リキッド』がそう言うと赤髪ロングと緑色の瞳が特徴的な美少女『マキナ・フレイム』がこう言った。


「ルルナさん、いったい何を始めると言うのですか?」


「それはね……」


 ルルナが言う前に黒いドレスと黒い翼と黒髪ロングと紫色の瞳が特徴的な美少女……いや美幼女『クロエ・ドロップアウト』がこう言った。


「魔王を倒すために最後のリミッターを外そうとしている我が主……いや『田村たむら 健二『けんじ》』に何かできないか……ということについて話し合うためであろう?」


「うん、クロエちゃんの言う通りだよ。さすがだね」


「ふん、私のような優秀な使い魔なら、これくらいできて当然だ」


「まあ、でも、今のお兄ちゃんに何が足りないのか分かってないんだけどね……」


「んだよ……。まだ分かってねえのかよ」


 ピンク髪ロングと赤い瞳が特徴的な美少女『アヤノ・サイクロン』はそう言った。


「仕方ないでしょ。それが分かってたら、こんな会議を開いたりしないよ」


「まあ、そうだよな……。けど、お前はどうなんだ? あたしや他のやつらよりバカ兄貴と一緒にいるお前はバカ兄貴に何をしてやれると思っているんだ?」


「……それは……まだ考えてない……」


「そうか……。なら、こうしよう。この中で一番強いやつがバカ兄貴の専属顧問になる」


 その時、机をバン! と叩きながら立ち上がったのは金髪ロングと赤い瞳が特徴的な美少女……いや美幼女『マリア・ルクス』だった。


「そんなのおかしいよ! それだと味方同士で戦わなきゃいけなくなるんだよ!」


 その時、マリアのとなりに座っている黒髪ツインテールと黒い瞳が特徴的な美少女……いや美幼女『ミーナ・ノワール』がこう言った。


「でも……それが一番手っ取り早いのは確かね」


 しばらく沈黙が続いたのち、ルルナが口を開いた。


「アヤノちゃんの意見は確かにいいかもしれないけど、それじゃあ、お兄ちゃんが悲しむだけだよ」


「……ふん、甘いな。お前はいつもそうだ。バカ兄貴のことを第一に考える。だから、お前はいつまで経っても成長しねえんだよ」


「……アヤノちゃん」


「ん? なんだ?」


「少しの間、黙ってもらえないかな? ここはそういうことを言う場所じゃないよ」


「自分のダメなところを指摘されただけでその反応。まったく……バカ兄貴はなんでこいつを一番頼りにしてるんだろうな」


「アヤノちゃん。その辺にしないと私……怒るよ?」


「それで脅しのつもりか? まあ、お前はそれしかできねえもんな」


「…………少し黙れよ、アヤノ……」


「おっ、なんだ? やるのか?」


 その直後、ルルナはアヤノの体の中の血液の流れを逆転させた。


「……くっ! お、お前……何しやがった!」


 アヤノはルルナを睨みながら、苦しそうにそう言った。

 その時のルルナの水色の瞳からは冷たさしか感じられなかった。


「私は水魔法の使い手だよ? やろうと思えば、ここにいるみんなの血液を抜き取れる……。だから……あんまり調子に乗るんじゃねえぞ?」


「……わ、分かった! 分かったから、もうやめてくれ!」


「うん、いいよ」


 ルルナはそう言うと、アヤノの血液の流れを元に戻した。


「まったく……恐ろしいやつだな。お前は……。けど、今のでお前がこの中で一番強いことが分かったな」


「え? そうなの?」


「お前な……血液を操れる時点で大抵の生物はお前に勝てないぞ?」


「あっ、そうか。たしかにそうだね」


「たしかにそうだねって、まあ、お前らしいからいいか。それじゃあ、今からお前をバカ兄貴の専属顧問に任命する。みんな、異論はないな?」


 アヤノがそう言うとルルナ以外、全員がコクリと頷いた。


「まあ、そういうことだから、よろしく頼むぞ? ルルナ」


「う、うん……」


「なんだよ。嫌なのか?」


「ううん、違うよ。ただ、アヤノちゃんは最初から私をこうするつもりだったんだなって……」


「ちっ……! 慣れないことはするもんじゃないな……。やっぱりバレていやがった」


「でも、ありがとね。私、頑張るよ」


「そうか……。なら、早く行け。お前が今やるべきことは、ここにいることじゃないだろう?」


「うん、そうだね。それじゃあ、行ってくる……」


 ルルナはそう言うと会議室から出ていった。


「……頑張れよ……ルルナ……。この負の連鎖を終わらせるには、お前とバカ兄貴の力が必要不可欠なんだからよ……」


 アヤノはルルナが出ていった後、そんなことを呟いていたそうだ……。

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