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もう一回言ってみろー!

 夏休み……ユミナの屋敷近くの草原……。


「なあ、カナミ」


「な、なんだよ。まだ私をボコる気か?」


「いや、俺はただ、最後のリミッターを外す方法を知りたいだけだ」


「そうか……。けど、私は何も知らな……いや、ちょっと待て。お前がおかしくなった時、何か言ってた気がするな……」


「本当か! 俺はその時、なんと言っていたんだ!」


 彼はそう言いながら、白い猫耳と白髪ロングと黒い瞳と白いシッポが特徴的な美少女……いや美幼女『カナミ・ビーストクロー』に迫った。


「お、落ち着けって、今思い出すから」


「ああ、悪い。続けてくれ」


「ああ……。えーっと、たしか五属性と心技体のうち『技』以外のリミッターは外れた……みたいなことを言っていたぞ」


「そうか……。なら、あとは『技』だけなんだな?」


「まあ、そういうことだ。とは言っても、私に教えられることはもう何もないがな……」


「いや、俺はまだまだだ。だから、もっと教えてくれ。魔王を倒すためなら、俺、なんでもするから!」


「ほう、なんでもか……。じゃあ、ちょっと待ってろ」


「お、おう……」


 その後、カナミは猛スピードで屋敷に戻ると、縄と目隠しとかせを持ってきた。


「な、なあ、カナミ。今から何をする気なんだ?」


「何って、決まってるだろ? 今からこれで……お前を奴隷どれいに……じゃなくて、お前を今よりもっと強化するんだよ」


「なあ、お前、今、奴隷どれいにするとか言ってなかったか?」


「いや、私は奴隷どれいに……までしか言ってないぞ?」


「それが出た時点でなんとなく分かるのだが……まあ、いいか。で? 俺は何をすればいいんだ?」


「決まってるだろ? これらの道具を使って、私の心を粉々にするんだよ」


「……ん? 今、なんて言った?」


「いや、だから、これらの道具を使って私の心を粉々に……」


「ちょっと待て。なんでそうなるんだ?」


「なんでって、お前にあと足りないのは『技』だけなんだろ? だったら、いろんな『技』を覚えるしかないだろ」


「それは……戦いの中で役に立つのか?」


「あー! もうー! いいから、さっさと私を拘束しろー!」


 カナミはそう言うと彼を追いかけ始めた。

 彼は元魔王の幹部とはいえ、こんな美幼女を縄で拘束する趣味などなかったため、カナミから逃げ始めた。


「こらー! 待てー!」


「うるせえ! そんなことするくらいなら、魔王と戦った方がマシだ!」


「なんだと! もう一回言ってみろー!」


 二人の様子を屋敷の一階の窓から見ていた銀髪ショートと水色の瞳が特徴的な美少女『ルルナ・リキッド』は二人が仲良く鬼ごっこをしていると勘違いしていた。


「いいなー。私もお兄ちゃんと一緒に遊びたいなー」


「それはやめておいた方がいいよー」


 そう言いながら、ルルナの頭の上に乗ったのは、ユミナ(黒猫形態)であった。


「え? それって、どういうこと?」


「あれは単なる遊びじゃないからだよー」


「それって、つまり……」


「うん、あれも特訓の一つだよー。きっとー」


「そっか……なら、私は何もできないね」


「うーん……でも……」


「でも?」


「ケンジくんに足りないものを埋めるくらいのことはできるかもしれないねー」


「お兄ちゃんに足りないものを埋める……か」


「まあ、それが何なのかは、君たちで見つけないといけないけどねー」


「そう……だね。ん? 今、君たちって言った?」


「うん、そうだよー。君とマキナちゃんとマリアちゃんとアヤノちゃんとミーナちゃんとクロエちゃん。つまり、ケンジくんの義理妹五人とケンジくんの使い魔がそれぞれ見つけないといけないんだよー」


「そっか……。なら、早くそれを見つけないといけないね。ありがとう、ユミナちゃん」


「どういたしましてー」


 ユミナ(黒猫形態)は彼女の頭から飛び降りると、ケンジとカナミのところに転移した。


「……よし! じゃあ、まずはみんなをここに集めないといけないね!」


 ルルナはそう言うと彼女らがいるであろう場所に向かって走り始めた……。

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