この一撃に全てを込める!
夏休み……ユミナの屋敷……ユミナの寝室……。
「お兄ちゃん……いつになったら、目を覚ましてくれるの?」
銀髪ショートと水色の瞳が特徴的な美少女『ルルナ・リキッド』はベッドに横になっている彼の方を見ながら、そう言った。
「でも、私の手をずっと握ってるってことは私はここにいた方がいいってことだよね……」
そう、彼の手はずっとルルナの手を握ったまま、離そうとしないのである。
それがそばにいてほしいからなのか、単に寂しいからなのかはよく分からないが、ルルナはここを動くわけにはいかないと思った。
その時、彼は……急に目を覚ました。
「お……お兄ちゃん?」
しかし、彼の様子がおかしかった。
だって、彼の瞳が赤、青、緑、黄、黒に染まっていたのだから……。
彼はルルナの手を離すと、宙に浮いた。
そして、何かを言い始めた。
「リミッター……残り……八つ……。解除方法……各属性を……極める……。プラス……心技体の強化……である。これより、各属性の力を極める……」
その直後、マキナ、マリア、アヤノ、ミーナが寝室に現れた。
「み、みんなどうしたの? お兄ちゃんの異変に気付いたの?」
「いえ、違います」
赤髪ロングと緑色の瞳が特徴的な美少女『マキナ・フレイム』はそう言った。
「気付いたら、ここにいたんだよ」
金髪ロングと赤い瞳が特徴的な美少女……いや美幼女『マリア・ルクス』はそう言った。
「まったく、いったいどうなってんだ?」
ピンク髪ロングと赤い瞳が特徴的な美少女『アヤノ・サイクロン』はそう言った。
「それに、ケンジのこんな姿、見たことがない」
黒髪ツインテールと黒い瞳が特徴的な美少女……いや美幼女『ミーナ・ノワール』はそう言った。
「たしかにそうだね。けど、みんながここに来たってことは私たちに用があるってことだよね? お兄ちゃん」
ルルナがそう言うと、彼はみんなの方を向いた。
そして、こんなことを言った。
「これより、各属性を極める。これに必要なものは……各属性を極めた者たちである……。それすなわち、お前たちを吸収することである」
「まあ、そうだよね。五属性を極めるなら、もう既に極めている人を吸収するのが一番手っ取り早いよね」
「なお、無駄な抵抗をした者にはそれ相応の罰を与える……」
「へえ、そうなんだ……。なら、その前に私たちがお兄ちゃんを止めてみせる! 行くよ、みんな!」
『おおー!』
彼女らは今の自分が持っている力を全てを解放し、彼を倒そうとした。
しかし、それは無駄だった……。
「各属性の最大出力を確認……。これにより、リミッターを五つ……解除します」
「ま、まさか……最初からこれが狙いだったの!」
「リミッター……五つ……解除……」
その直後、自分たちの属性を極めし者が彼女らの前に立ちはだかった。
「す……すごい……オーラ。これじゃあ、私たちが束になっても勝つのは難しいね」
「まあ、君たちだけならねー」
その直後、いつのまにか寝室に来ていたユミナ(黒猫形態)が彼の動きを封じた。
「まったく……お前はいつもそうだ。急に強くなりやがる」
いつのまにか寝室に来ていた白い猫耳と白髪ロングと黒い瞳と白いシッポが特徴的な美少女……いや美幼女『カナミ・ビーストクロー』は彼の背中に乗ると、彼の両手を拘束した。
「まったく、私という使い魔がありながら、このざまとは……。情けないぞ! ケンケン!」
いつのまにか寝室に来ていた黒いドレスと黒い翼と黒髪ロングと紫色の瞳が特徴的な美少女……いや美幼女『クロエ・ドロップアウト』は彼の両足にしがみついた。
『今だ! やれ!!』
三人の言葉を聞いた五人は、自分たちの力を一つにすることにした。
「水は命の源」
「炎は命の灯火」
「風は命の可能性」
「光は命の力」
「闇は命の繭」
『今こそ、五つの力を一つに!!』
その直後、彼女らは各属性の力を今以上に高めた。
『この一撃に全てを込める!』
彼は自分にまとわりついていた三人を振り払った。
しかし、もう遅かった。
『五属性の最大火力砲』!!』
彼をまるごと包み込んだそれは、彼の肉体と精神に大きなダメージを与えた……。
彼はそれを体で受けながら、それに対抗するための術を編み出していた……。
しかし、彼のそれより、彼女らの攻撃が彼を倒す方が早かった……。
「リミッター……九つ……まで……解除……完了……しました……。おめでとう……ござい……ま……す」
彼はそう言うと、パタリとその場に倒れた。
それと同時に彼女らもその場に倒れた……。