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グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

 夏休み……異世界……ユミナの屋敷の近く……草原……。


「ねえ、ケンジくん」


「ん? なんだ?」


「部分使用って知ってる?」


 ユミナ(黒猫形態)は俺にそう言った。


「ぶ、部分使用? なんだそれ?」


「うーんとね、体の一部分に力をまとわせるっていうやつだよ」


「そんなことできるのか?」


「うん、できるよ。でも、習得するのは困難だから、今のケンジくんには無理かもね」


「いや、教えてくれ。俺は魔王と……実の弟と戦わなくちゃいけないから……」


「うんうん、ケンジくんなら、そう言うと思ったよー。それじゃあ、私が実際にやってみるから、ちゃんと見ててねー」


「ああ、分かった」


 ユミナ(黒猫形態)はそう言うと熊型のモンスターを召喚した。


「まずは使いたい属性をイメージする。そのあと、その力を体のどこにまとわせるのかイメージする」


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」


 熊型のモンスターがユミナ(黒猫形態)に襲いかかったが、ユミナ(黒猫形態)はその場から一歩も動かずに熊型モンスターを倒してしまった。


「そして、実際にその部位に魔力を送れば、こんな風に一歩も動かずに相手を倒すことができるんだよー」


「ち、ちなみに今、お前が使った属性ってなんだ?」


「ん? あー、えーっと、死属性だよ」


「それって、その属性をまとっている部位に触れただけで死ぬっていう属性か?」


「まあ、だいたい合ってるかなー。ちなみに私は今、それを頭部にまとわせたんだよー」


「へ、へえ……五属性以外にも色々な属性があるんだな」


「まあ、君が使えるのは世界を構成する上で必要でかつ有名な五つの属性だから、知らなくてもしょうがないよー」


「ち、ちなみに属性っていくつあるんだ?」


「それはちょっと分からないなー」


「な、なんでだ?」


「だって、この世界はいくつもの属性が複雑に重なってできてるんだよ? それをいちいち数えていたらキリがないよー」


「そ、そうか……。ち、ちなみにお前はいくつ属性が使えるんだ?」


「うーん、そうだねー。例えば、炎という属性の言い方を変えるだけでそれは別の属性になるから、たくさんかなー」


「そ、そうなのか?」


「うん、そうだよー。あと、二つ以上の属性を合わせたら別の属性にできるから、やっぱりたくさんあるねー」


「そ、そうか……。それじゃあ、お前は俺が知ってそうな属性は全部使えるってことだな?」


「うーん、まあ、相手の属性を奪える奪取属性があるから、そうかもしれないねー。けど、魔王は別だよー」


「ん? それって魔王しか使えない固有の属性があるってことか?」


「うん、あるよー。それはね……『魔王属性』だよー」


「そ、そのままじゃないか。ちなみにそれって、どんな効果があるんだ?」


「まあ、支配属性に近いんだけど、それは一時的なものだから、違うねー。うーん、分かりやすく言うと私みたいな闇サイドの存在を完全に支配できる属性かなー」


「そ、それって、かなりやばいんじゃないのか?」


「そうだねー。それを使われたら、元魔王の幹部である私とカナミちゃんは間違いなく君たちの敵になるねー」


「そんな恐ろしい属性を持ってるのか? 魔王は」


「うん、そうだよー。ところでケンジくんは『カンディル』っていう生き物知ってるー?」


「え、えーっと、確か他の生物の体内に入り込んでその肉や内臓を食らう恐ろしい生き物だな……って、まさかその属性を使ったら……」


「うん、まあ、それに体内を食われるみたいな激痛が最低でも三時間は続くねー」


「そ、そうか。そんなハイリスクな属性は使いたくないな……」


「まあ、そうだねー。ところでその痛みが最大でどれくらい続いたか知ってるー?」


「いや、聞きたくない」


「そっかー。まあ、使う時間が長ければ長いほど、その痛みは長時間続くっていうことは覚えておいてねー」


「あ、ああ……って、なんで俺にそんなこと教えたんだ?」


「え? あー、そうだねー。まあ、君の弟がどれほど強大な力を扱えても、それをうまく使えないと大きな代償を支払わなきゃいけないってことを伝えたかったんだよー」


「そ、そうか」


「うん、そうだよー。それじゃあ、今日も特訓頑張ろうねー」


「あ、ああ……」


 ユミナ(黒猫形態)は時々、恐ろしいことをさらっと言う。なので、今でも少しだけ怖い……。

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