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今度から気をつける!

 夏休み……俺の家……俺の部屋……。


「……う……うーん……あ……れ? ここ……は……」


 知らない天井ではない。ここは……俺の部屋だ……。

 そんでもって、俺はベッドに横になっているらしい。うーん……なんか全身真っ黒な俺を受け入れたところは覚えているのだが……。

 それ以外は何も覚えていないな……。


「……お兄……ちゃん?」


「……ん?」


 俺は俺の右側に銀髪ショートと水色の瞳が特徴的な美少女『ルルナ・リキッド』がいるのに気づいた。


「お……おう、ルルナ。今、何時かわかるか?」


 俺がルルナにそう言うと、ルルナは目に涙を浮かべながら、俺の胸に顔を埋めた。


「よかった……! ちゃんと戻ってきてくれた……!」


「お……おい、どうしたんだ? 俺、そんなに寝てたのか?」


 俺がそう言うと、ルルナは顔を上げた。

 そのあと、指で涙を拭いながら、こう言った。


「ううん……お兄ちゃんは三時間くらいしか眠ってないよ。けど、みんな心配してたんだよ」


「……そうか……。けど、すまない。迷惑かけたな……」


「ううん、ちゃんと戻ってきてくれたから許す」


「……そうか」


「……うん」


 しばらく沈黙が続いた……。


「ねえ……お兄ちゃん」


「ん? なんだ?」


「その……なんというか……さっき起きたばっかりの人にこんなこと言うのはダメなことだって分かってるんだけど……え、えっと……キ……キスしても……いいかな?」


 キス……か。そう言えば、今日こいつとキスしたんだよな。

 まあ、人工呼吸はカウントされないから、俺にとってのファーストキスの相手はルルナということになるな……。


「ああ、いいぞ。それくらい、お安い御用だ」


「ほ、本当に?」


「ああ、本当だとも」


「そ……そうなんだ。じゃあ、いくよ」


「……おう」


 ルルナは徐々に俺に顔を近づけてきた。

 少し頬を赤く染めた彼女は目を閉じていて、薄いピンク色のくちびるはほんの少し光っていた。

 もうあと、数センチ……。

 俺は覚悟を決めると、彼女の背中に回した。しかし……。


「ドーン!」


 その声が聞こえた直後、黒いドレスと黒い翼と黒髪ロングと紫色の瞳が特徴的な美少女……いや美幼女『クロエ・ドロップアウト』が俺の部屋に入ってきた。


「やあ! ケンケン! 調子はどうだ……って、あー、すまない。取り込み中だったか?」


 その直後、ルルナは彼女のところに一瞬で移動した。


「……ねえ、クロエちゃん。空気読んでよ……。今、ものすごく幸せな気持ちになってたのに、クロエちゃんのせいで台無しだよ。というか、なんでお兄ちゃんが目覚めたって分かったの?」


「い、いや、私はそいつの使い魔だから……」


「へえ、使い魔っていいね。お兄ちゃんのこと、なんでも分かっちゃうんだ」


「ま、まあな……」


「でもさ、部屋に入る前にノックくらいしようよ。あともう少しでお兄ちゃんを私のもの……じゃなくて、あともう少しでお兄ちゃんとキスできてたのに……」


「す、すまない。悪かった。別に邪魔をしに来たわけではないのだ。だから……」


「はぁ……分かったよ。今回の件は水に流してあげるから、もう行っていいよ」


「し、しかし……」


「なあに? 何か言いたいことでもあるの?」


「い、いや、その……そいつの体を少し調べさせてくれないか?」


「それ、今じゃなきゃダメ?」


「あ、ああ、ダメだ。もしものことがあったら、そいつの体が崩壊してしまうからな」


「ふーん……そうなんだ……。じゃあ、私がお兄ちゃんにキスした後でいい?」


「え? いや、それは……」


「いいよね?」


「は……はい」


「うん、ありがとう。じゃあ、ちょっと待っててね」


「あ、ああ……」


 ルルナはそう言うと、一瞬で俺のところに戻ってきた。


「おまたせ、お兄ちゃん。じゃあ、やろっか」


「あ……ああ、そうだな……」


 その後、俺とルルナはやっとキスをすることができた。

 しかし、ルルナがひたすら俺の口の中に唾液を入れてきた理由はわからなかった……。

 それが済むと、ルルナは一瞬でクロエのところに行った。


「クロエちゃん」


「は、はい……」


「今度同じようなことをしたら、半殺しにするから覚悟しておいてね?」


「は、はい」


「よろしい」


 ルルナはそう言うと、俺の部屋から出ていった。

 クロエはその直後、俺のところに来ると、俺に抱きついた。

 そして、泣きながらこう言った。


「こ、怖かったよおおおおおお! 殺されるかと思ったよおおおおおお!」


 俺はクロエの頭を撫でながら、こう言った。


「ああ、そうだな。けど、今度から気をつけるんだぞ?」


「うん! 今度から気をつける! 気をつけるよおおおおおおおおお!」


 その後、俺はクロエが泣き止むまでずっと頭を撫で続けていた。

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