偵察
裏でこそこそとしていた悪党を見かけたので後をつけてみたら奴らのアジトに辿り着いた、何故ストーキングしたかは全く分からないが正義の為に動いたんだと思う、悪党どもの動きを監視をしていたら紋章を見つけた。
奴等のグループの紋章だ、大きな盗賊団で村を荒らし回り金銭を奪い取り更には女を攫い奴隷として売るという言葉で表すなら極悪非道の盗賊団だと村に住んでた時周りの村人に教えて貰っていた。
ここで盗賊団の頭を捕らえれば銀級に上がるし、この都市での評判も良くなる、更には自分自身の腕試しになると。ここで少し考え一人で向かうのは無謀だと判断し応援を呼びにいく事にした、また一人で行ったら今度は殺されるかも知れないと前のヴァンパイアの一件で学んだ。急いで組合に戻る最中見知らぬ人とぶつかってしまった。
「すまない、大丈夫か?」
すぐ手を差し伸べた、良く見ると女の人だった。
「大丈夫です!こちらも申し訳ないです…あ!貴方様は冒険者様なんですか!?」
「ま、まあ一応そうだが」
冒険者として何もしていない、ただ冒険者の肩書きを持ってるだけなのだ。なのにこんな尊敬の眼差しで見られるとちょっと引けるし悲しくなるから辞めてもらいたいものだ。
「自分も冒険者だったんですが、使えないからとギルドを切られてしまって…」
まだ成長するかも知れないのに使えないと切られる、そんな汚いギルドがあるのかと心底不愉快になった。
「そりゃ酷い話ですね…大丈夫です、貴女はまだ成長するから諦めないで下さい、自分は応援してますから」
ではこれでと立ち去ろうとした。
「待ってください!名前を聞いてもいいですか?」
こんなベタなシチュエーションを聞くとは思わなかったが素直に答えた。
「ザウリス・ウルスだ、ザウリスで構わないですよ」
「ザウリスさんですか!ありがとうございます!」
明るく元気な女の人だ、パーティーに居ると心頼もしいのだろうが、あんな酷い事があったんだ、誘える訳がないし第一これから危険な所へ向かうんだから尚更誘えない。そんな葛藤をしつつ組合へと走って行った。