初陣
長い昔話を聞かされて組合に戻ってきた時、周りがバタついていた。何があったのか尋ねてみるとどうやら壁の外で進軍があったらしい、その国は"魔國"そう呼ばれていた。
昨日襲ってきたヴァンパイア達もそこの国の者だという、自分は復讐の為に名乗りを上げたが、銅級だった為あしらわれてしまった。なら一人で行動するしかないと密かに裏門から出た途端、そこに広がっていたのは天国でもなく地獄でもなく、ただの絶望だった。
大群が押し寄せていたのだ。宝石級も駆けつけていて、有名な大型狩猟専門ギルド"黒殺"の姿が確認出来た。草陰に隠れて身を潜めていたが自分の出る幕じゃないと都市に戻ろうとした時後ろを振り返った途端武者震いをしてしまった。因縁の敵が目の前に居たのだ。
「この前の子だ!今度は一人かな?」
「一人だったところで前の俺では無い、多少なりとも強くなってるぞ」
彼女はくすくすと笑った。
「強くなるのが遅過ぎたわね、もっと早かったら村の人達も助かったかもしれないのにね」
この一言で自分はキレた、いや正確に言うとガチギレをした。
気が付いた時にはあの憎きヴァンパイアに斬りかかっていた。身軽な彼女は飛び木の上に座った。
「惜しかったね、だけど続きはまた今度にしましょう?」
彼女はそういい暗い空へ飛んでいった。