不穏
すぐに戻り、ルーシュに石を渡した。「今から戻す作業をするけど、完全に戻る事はないと思った方がいいわ。何かしらの障がいがあると思う。それを覚悟しといて欲しいわ。」「分かりました。」
ルーシュがサーニャに石を埋め込む作業を数時間も掛け、戻す事は成功した。「サーニャ!大丈夫か?」サーニャに問い掛けた。「貴方はどなたですか?」記憶を失っていた。
「俺だ!ザウリスだ!……覚えてないのか?」肩を強く掴んで聞いた。「い、痛いです。貴方の事は知りません!」唖然だった。ルーシュが聞いたところによると、自分が何者であるかと職業しか覚えていなく、その他の記憶は一切無いという。
ザウリスは何も言えず、無言で外に出た。ルーダとウールスは何も言わず付いて来てくれた。街はずれの草原で倒れ込んでしまった。「畜生…!俺はまた護れなかったのか…」地面を何度も殴り手から血が出ていた。「畜生…畜生…!」「もうやめな!不毛だよ!」ルーダが怒鳴った。「お前が全て悪いんじゃ無いんだ!」続けてウールスが喋った。「そうです、まだ完全に記憶が無くなった訳では無い。旅の途中で記憶が戻るかも知れません。」ザウリスが涙を拭った。
「すまないな、旅の目的が増えたが、お前達は付いて来てくれるか?どんな過酷でも。」「いいですとも!」「良いじゃねえか、私も暇なんだ、付いて行かせてくれ。」「ありがとう、そしてすまない。」そう言い宿へ戻った。
宿に戻ると、サーニャが旅の用意をしていた。「自分が貴方達と旅をしていた事を教えてもらいました。聖魔法には任せてください」ザウリスは崩れ、大泣きをしてしまった、それを見てサーニャは困惑していた。「め、迷惑でしたか?」泣いているザウリスの代弁としてウールスが答えてくれた。「いや、迷惑では無いですよ、ただザウリスさんは感動のあまり泣いてしまったんです。貴女の事が心配し過ぎて、自分自身で傷をつける程でしたから。」「そうだったんですか…これからも宜しくお願いします。」ザウリスは頷いた。それしか出来なかった。
旅への支障、記憶が無くなった後先の不安、強敵への不安や復讐が全てを背負っていたザウリスには、旅を続けてくれるという事で一気に崩れた。感情を抱え込んだ結果だ。ルーダは何も言わず背中をさすってくれた。そういう仲間達に恵まれ、また込み上げてくる。「ありがとう、皆。」ただ一言感謝の言葉が出た。




