カゲロウの行方
久方ぶりの投稿。色々あったんです。
それでは本編。
さて。ここで少し、ここまでの振り返りをしておこうと思う。
俺は泡沫カゲロウ。第2人格のルインと共に高校生活を過ごしている、一介の高校1年生だ。
事の始まりは、俺達の友人であるアルタイルとプロキオン、ユナの3人から『欠陥製品』という銘の、『人を斬れない小太刀』を譲り受けたことから始まった。この小太刀は意志を持っていて、その声が聞こえたから、なんて言う理由で俺はアルタイル達によって無理矢理幻想郷に連れてこられた。残り半年という滅びの時までに、幻想郷に必要な存在『博麗霊夢』を見つけ出すために。
幻想郷で初めに出会ったのは、魔法の森に住む人形使いのアリス・マーガトロイドさん。彼女は、俺のせいで亡くなってしまったアリス・アルカーディア…アリィと同じ名前をして、顔もそっくりな女性だった。
俺達はアリスさんに連れられて永遠亭という所に行った。永遠亭は所謂診療所のような所であり、博麗霊夢捜索の拠点でもあった。そこで俺は、一緒に博麗霊夢を探している鈴仙・優曇華院・イナバさんと藤原妹紅さんと出会った。そして俺は、ルインによって早々に俺の抱える秘密…『人間嫌い』と『自分嫌い』を暴露された。しまいには、その2つをまとめて『欠陥製品』と呼称する始末だ。ホント、やってられないよ。
そんなこんなありながらも、俺はルインとアリスさんの3人でとある洞窟を探索した。そこで出会ったのが、今は仲間として行動している御神楽栞さん。彼女は初めは敵で、俺達を容赦なく襲ってきた。彼女に操られていた水橋パルスィさんも一緒に襲ってきて、とにかく大変だった。その最中で意識を失った俺は、自分の中に巣食う竜、『真理を司る龍』と出会い、力を貰った。その力で何とか危機は脱したけど、しばらくスペルカードは使っちゃダメって言われたんだよね。
それから少しして、俺とルイン、妹紅さんは別の山を調べた。そこでは妹紅さんが大量の巨大な十字架を見つけ、俺達は妖精のルーツさんに襲われた。そこで今度は、俺が急に低い声を出して暴れ出したらしい。その時の記憶はないけれど、俺には使えないスペルカードが数枚造られていた辺り、本当なんだと思う。
結局、山では大した情報も得られなかったんだ。
そのあと、俺は新聞記者のはたてさんが持ってきた写真を見て酷い頭痛に苦しんだ結果、記憶を失った。この時のことは覚えているけど、特に言うことも無いね。
それで結局のところ、特に進展のないまま、俺達は4ヶ月を幻想郷で過ごした。考えないようにしていても、やっぱり意識してしまう。
滅びの時まで、あと2ヶ月。
私は、カゲロウが消えてしまったことをアリスに伝えた。
「カゲロウが消えたって…アルタイル…それ、本当なの…?」
「嘘をつく必要は無いだろう?」
「…そう…よね…」
「…今、カゲロウをプロキオンに探させている。すぐに見つかるとは思えないが、私も探すつもりだ。アリスは…休んでいるといい」
「…ありがとう。そうするわね」
せっかくカゲロウの記憶が戻ったというのに、またアリスを悲しませる事になるとはね…カゲロウ、君は本当に、どこに行ってしまったんだい…?
俺はアルタイルに頼まれて、ユナと栞と手分けしてカゲロウの行方を探していた。ルインにも頼もうとしたんだが、アイツもいなかった。まぁ多分カゲロウといるんだろ。で、まずはとりあえず永遠亭に来てみた。ここなら誰かしらいるからな。何か手がかりあるだろ。
「おーい、うどんげー。いるかー?」
「いますよ。プロキオンが来るなんて珍しいですね」
「ここにカゲロウ来てねぇか?」
「カゲロウさんですか?いえ、来てませんけど…」
「そうかー…うーむ、あいつ、ここにも来てねぇのか…」
「ここに”も”?」
「あぁ、実はな…記憶が戻った途端、カゲロウがいなくなりやがったんだよ。そんで、俺とユナと栞で手分けして探してんだ」
「…カゲロウさんが…?」
「つーかあいつ、ここにもいねぇなら一体どこにいるんだよ…」
「て、手がかりみたいなものは無いんですか…?」
「ねぇよ。あったら苦労してねぇさ」
そう、カゲロウのやつは手がかりどころかそこに存在した痕跡すら消し去ったみたいにキレイさっぱり消えた。だからこそ、こうして俺たちが苦労しているんだがな。
「…もう、限界まであと少しだというのに…カゲロウさんはどこへ?」
「んな事聞かれたって分かんねぇよ」
「ですよね…すみません…」
さて…次はどこに行くべきだ…?
俺達は、冥界に繋がる門に来ていた。門番らしき人は見当たらないけど…
「…ここで、いいんだよね?」
「だろーな。入るか?」
「門番の人いないけど…」
「気にすんなよ。どーせこのご時世だ。門番なんざ意味ねぇだろ。それに魔理沙が言ってたぜ。紅魔館ってとこの門番と冥界の船頭は大して仕事してねぇって」
「…その判断基準は信用していいのかな?」
なんだか信用しちゃダメな気がするけどね。
「とりあえず入ろうぜ。入んなきゃ探し物も見つかんねぇしな」
「アリィは物じゃない。人だよ」
「わーってんよ。んな怖い顔で睨むなよ…」
そこまでしかめっ面になったつもりは無いんだけどね。
「…ルイン、一応聞くけど、スペルカードは持ってきてるよね?」
「おぉさ、一応な。バトることになるとは思ってねぇけど、どーせお前の事だから余計な厄介事に首突っ込んでそうだと思ってな。ま、護身用ってことで」
「俺も誰かと戦うとは思ってないけどね。まぁいいや。行こうか…冥界へ」
そうして俺達はアリィを探すために、冥界へ入った。
「このお団子、やっぱり美味しいですね」
門が閉まったあと、すぐにそんな声が聞こえてきて、俺達は苦笑いしながらこう思った。
((門番って大概仕事しないんだね!!))
「さぁて、この組織も結局俺とあんただけになっちまったな」
「そうだな。どうやら次の任務は、お前に任せるしかないようだ」
「よーやく俺の出番かよ。待ちくたびれたぜ。で、俺はどこに行きゃいいんだ?」
「冥界だ。冥界に住まう者たちの力を得てこい。それで計画はさらに進む」
「りょーかい。俺流に楽しませてもらうぜー、ギャハハ」
次回も遅くなると思われます。




