初の人里
本編40話。
なんかグダグダ。
それでは本編、どうぞ。
「んー!初めて外に出た気がしますねー」
「そ、そうね…」
(そういえば、カゲロウは自分が記憶喪失だって知らないんだったわね…)
私は、鈴仙との約束通り、カゲロウを外に連れ出していた。
「どこに行きましょうか?」
「それじゃあ、人ざ…」
そこまで言って、思いとどまった。もし目の前のカゲロウも人間嫌いであったなら、単なる苦痛だろうから。
「人里…人が住んでるところですか?行きましょう!」
「えっ…えぇ、行きましょうか」
幸い、カゲロウはあの事は覚えていなかったらしい。そのことに安堵しつつ、私達は人里に向けて歩き出した。
「うーむ…ありゃ…なんつーか…」
「いつも以上に親しげだね〜」
アリスがカゲロウと出かけることを聞いた俺は、ユナを巻き込んで見張ることにした。なんでかって?そりゃ、暇だからだよ。
「つーか、あいつ人里に行って大丈夫なのか…?」
「大丈夫なんじゃない〜?」
「軽っ!?」
なんか、こいつと話してると疲れる気がする。カゲロウも普段はこーなのかもな…
「てか、追わねぇと見失うっ!!」
「急いでもバレちゃうけどね〜」
「それでもだ!」
「なんで追うんだっけー?」
単なる暇つぶしだが、ユナはわかって言っている。多分。そうだと思いたい。
「凄いや…人が沢山…!!」
カゲロウは子供みたいに目を輝かせていた。そんなに珍しいかな…
「そんなに珍しいものでもないわよ?」
「そうなんですか…?」
カゲロウは明らかに落胆していた。いや、落胆するほどのことなの…?
「珍しくないんですね…世間知らずみたいです…」
いやまぁ、そりゃ世間一般の常識は知らないだろうけど…酷過ぎない?
「これ…常識だと思ってたんだけど…」
「…そうですよね…常識ですよね…」
あ、ダメだ。余計気にしてる…
「と、とりあえず。どこに行くの?慧音のところにでも行く?」
「ケイネ…さん…ですか?」
なんで毎度片言なんだろう。この人外国人だっけ?
「そう、上白沢慧音。寺子屋の先生をしてるの」
「なるほど…」
…寺子屋に行って、どうなるんだろう…というか、なにか思い出せるのかな?
「寺子屋、行きましょう!」
あぁ…また目をキラキラさせてる…やっぱり子供みたいね。
「さて、どーするよ」
「どうするもこうするも、ルインが決めるんだよ〜」
マジか、こいつ投げ出しやがった。
「どーしようもねーだろこれ…慧音がなんとかしてくれんじゃねぇの?」
「慧音はそこまで器用じゃないよ〜」
だよな、無理だよな…
「まぁ見守ろーよー」
あれだな、多分、子を見守る親ってこんな気分なんだろうなって、つくづく思ったわ。
次はカゲロウと慧音がご対面かな




