表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
欠陥製品の幻想入り  作者: カゲロウ
2章
36/49

内心

本編34話。

今回はルーツ目線、初の敵目線ストーリー。

それでは本編、どうぞ。

私は、この男が分からなくなった。こいつは、私の友達のソラを攫った男だ。それどころか、あの巫女服女さえも、私達を裏切ってあいつの仲間になってしまった。それなのにあの方はこの男を消そうとしない。いけ好かない吸血鬼は、

「御神楽が付いた男、あのお方の友人らしいぜ。だから消さねぇのかもな」

と言っていた。ならば尚更許せない。正しいことをしているつもりなのか、偽善者風情が。そう、思っていたけれど…

(あいつも、闇を抱えてるのか…相当深い闇を…)

さっきの言葉、あれからは、長い間癒えることの無かった傷が感じられた。それこそ、目の前で大切な人を喪ったような。

(分からない…分からないわよ…)

「…そろそろ、かな?」

不意に、あいつがそう言った。

「うん、ルイン達が降りてくる頃合かなって……そりゃ分かるよ、ルインと一緒にいた時間は、他の誰よりも長いからね」

(何を1人でブツブツと…気持ち悪い)

けど、その独り言には聞き逃せない情報があった。『ルイン達が降りてくる頃合』、あいつはそう言った。ルインとは、さっきの浮いていた男だろう。そいつが降りてくるということは…

(消される…!隠れる、それとも逃げる!?)

そんなことを考えていて、ふと気付いた。

(私…なんで逃げようとしたの?)

そして、あいつの矛盾に気が付いた。

(そうか…私が逃げようとしたのは、あいつが『ルインは容赦なく私を消す』って言ったから…でも、消すってことは殺すってこと…幻想郷では殺しは出来ない…あいつ自身がそう言ったじゃない…)

つまりあれは、単に私と話すための嘘か…何だか、はめられた気分だ。

「…ねぇ、どうする?そろそろルイン達来そうだけど…」

「知らない。勝手にすれば?もうあんたに何を聞いても無駄だろうし、上に上がれればそれでいい」

「そうじゃなくてさ…ホントに、もう聞きたいことは無いの?」

「無いわよ。私は、あの方が『協力すればソラを助けてあげる』って言うから手を貸してるだけだし」

「じゃあ、一つだけ教えて。あの方って誰のことなの…?」

「…あのいけ好かない吸血鬼は、あの方とあんたが友達だったみたいなこと言ってたけど、知らないの?」

「……いや…それはないよ。だって、俺は外の世界の生まれだよ?こっちに友達なんて…」

…やっぱり、あの吸血鬼野郎は嘘つきだ…

「いやまぁ、そうなんだけどさ…誰も、『あの方』なんて呼ばれ方されるようなキャラじゃないでしょ?…アルタイルは…何となく違うかな…どちらかと言えば誰かに付くタイプでしょ」

また独り言だ。よく飽きないな…

「…うっさいわね…」

「うっ…ごめん…」

男なのに、文句言うだけで子供みたいに萎れるなんて…アホらしい。

「…あぁ、来たみたいだよ」

『何が』とは言わなかったけど、私も『何が』とは聞かなかった。言われなくても分かっているから。

「…そう」

「カゲロウ〜、無事だよな〜?」

「全然心配してないよねっ!?」

「俺がお前の心配なんかするかっての」

「……」

「ん、お前…ちったぁ落ち着いたのか?」

「!?」

「ルインには、なんか隠し事出来ないよね…」

「こいつ…なんなの…?」

「うーん…俺の別人格…なのかな?」

「断定しやがれ!」

「えぇ…だって今は独立してるじゃん…」

「そーだけどよぉ…この体、魔力で出来てんだぜ?違和感すげぇんだからな?」

……こういうのを…ギャップって言うんだっけ?凄い違和感だな…

「…とりあえず上がろーぜ。なんか向こうに道あったしよ」

ルインとか言う浮遊霊(?)の先導で、私達は上に戻った。



…あれ…私、いつの間にこいつらの友達みたいになってるの?

ルーツは今後どうするんでしょうね。そしてあの方とは一体。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ