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欠陥製品の幻想入り  作者: カゲロウ
2章
35/49

穴の底にて

本編33話。

ちょっと黒い回。

それでは本編、どうぞ。

「…う…ぐぅ…」

俺達は崩れた地面と共により深くに落ちてしまったらしい。今日は落ちてばっかりだ…

「うぅ…災難ばっかりだ…」

〔こっちもだよ。何度呼びかけても応えてくれないんだもん〕

「…そう?」

〔覚えてないんだね…〕

「…???」

なんの事だかさっぱり分からなかった。

「う…きゅう…」

その妙な鳴き声(?)で、俺は思い出した。

「そういえば、あの娘も一緒に落ちたんだった…」

〔忘れてたの?記憶力大丈夫?〕

「うっ…これでも忘れてないこともあるんだけどなぁ…」

〔それが普通だよ〕

うん…やっぱり『欠陥製品(この子)』は結構辛辣だ…

「ん…んん…」

どうやら、あの娘も目を覚ましたらしい。

「…あれ…ここは…」

「さっきよりもっと地下」

「ふぅん…ってなんであんたがいるのよ!」

「一緒に落ちたんだよ…」

「〜!!!」

わかりやすく動揺している。そりゃそうだろう。あれだけ目の敵にしていた相手が図らずとも近くにいるのだから。

「…多分、しばらくすればルイン達が降りてくると思う。そうなったら、少なくともルインは攻撃してくるだろうね」

「だったら何よ!!」

「今ぐらいしか、落ち着いて聞く時間はないんじゃないかな?」

「!!」

多分、俺の意図は伝わっていると思う。そう思いたい。

「…なんのつもりなの?」

「俺は、単に霊夢さん…博麗霊夢を探しているだけなんだ。けど、君は俺に何かしら恨みがある。なら、その禍根は取り除くべきだと思ってさ」

「…白々しい…私からソラを奪ったのはあんたなのに…」

「俺はソラって子のことは何も知らないよ…奪ったってどういうこと…?」

「とぼけないで!それとも何?自分が攫った相手のことも忘れるの?だいたい、博麗の巫女を探すなら、なんで私達の邪魔をするのよ!」

好き勝手言うルーツに、俺は少し苛立った。そして、秘めていた本心を少しだけさらけ出す事にした。

「…じゃあ君に問おう。”悪魔”の定義ってなんだと思う?」

「な…何よ急に…悪魔って何なのよ…」

驚きながらも、ルーツは答えてくれた。

「悪魔って…『悪意を持って害をなす、人外の化け物』…とかじゃないの?」

「…そうだよね。人それぞれだろうけど、本質的にはそんな答えだと思う。けどね…俺は、『躊躇いなく、誰かを害することの出来る存在』こそが”悪魔”だと思ってる」

「…それって…」

「妖精だろうと妖怪だろうと天使だろうと…そして人間だろうと、”悪魔”たり得ると思うんだ」

「…それが、なんだって言うのよ」

「わからないよね…俺は、自分のことを『躊躇無く人を殺せる者(そういうモノ)』だと思ってるんだ」

「…まさか、それが博麗の巫女を探してる理由だなんて言わないでしょうね」

なかなか、勘が鋭いようで。

「…そうだよ。と言っても、後付けの理由だけどね…初めは、単に巻き込まれただけだった。でも、幻想郷に来てから、()()()()()()()って欲求が強くなったんだ…だから俺は幻想郷に留まってる。幻想郷では殺しは御法度だからね」

「なんで同じ人間を殺そうなんて…狂ってるんじゃないの?」

その言葉を、俺は躊躇い無く切り捨てた。

「人間じゃない、あいつらだって”悪魔”だ。誰かの死を、誰かの不幸を、誰かの絶望を求める…そんな奴らは人間とは呼べない、呼びたくない」

アリィの事を思い出し、淡々と語る俺に訝しげな目を向けながらルーツは呟いた。

「…わかんないわよ…そんなの。私は人間でも悪魔でもない…妖精だもの」

「そうだろうね。うん、きっとそうだ。なんでも二次元(フィクション)みたいに上手くいくとは思わないし、簡単に理解されるとも思ってない。でもね、これもある意味現実なんだ。誰も彼もが快活(ポジティブ)に生きているわけじゃない。中には卑屈(ネガティブ)に生きてる奴もいる…物事を歪んだ視点でしか見れない奴もいるんだ…俺みたいにね」

そんな事を珍しく饒舌に語る俺を蔑んだ目で見ながら、ルーツは言った。

「もう良いわよ…アンタの理屈なんてどうでもいい。私が聞きたいのは、アンタはソラをどこにやったかってことだけ」

「…さっきも言ったけどさ、俺は知らないよ。きっとその子も妖精なんだろうけど…俺は今日初めて妖精を見たんだから」

「…本当に?」

「本当だよ…」

「…そう」

それ以上、ルーツは喋らなかった。呆れたのかもしれないし、意識が削がれたのかもしれなかった。

(…少し、言い過ぎたかな)

〔君は黒いものを吐き出し過ぎだよ。けど、少しはスッキリしたんじゃない?〕

(…少しは、ね…)

カゲロウの内心はこんな感じなんですよ

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