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LIFE A LIVE  作者: D・A・M
Second:Track I’m Truth Sols Rock” N” Roller
92/271

91曲目

太陽のように熱いライブをするバンド名。

ーーついに、結成!

 隠れ家染みたスタジオのロビー内、元気な結理の声が僅かに反響する。

 まさかこのスタジオでエンカウントするとは微塵にも思っていなかったところ、散々話しておいて今ごろどうかと思うのだが、結理はやっと気づいたようだ。


「えっ? あ、そうなんだ。熱川君、すごいね!」


 すごい、稔も気づいていなかったらしい。


「わぁ~、本当にすごいね、熱川君。普通バンドのメンバー探しってもっと時間がかかるし、自分たちが思っているメンバーが揃うかもわからないのに、あっという間に気が合った人たちを見つけてバンドを作っちゃったんだね」


 稔はまた天真爛漫で子猫のようにキャッキャと嬉しがる。

 ソレを見ているとなぜか心がスッと救われる気分にさせられる。


「へへ、まぁな。稔も結理も知らないと思うけどよ。ギラギラに輝く太陽の化身とも称えられる俺ぐらいになると、せっせと集めようと思わなくてもいつの間にか周りに影響されちまって、"お願いですからバンドメンバーにさせてください"って感じで寄って来るからな」

「あれれっ? 僕の記憶通りだと……たしか、こっちから出向いて入ってくださいって頼みに行ったよね? さっきまで穐月寺(あきづきでら)に僕と一緒にいたじゃない」

「うるさい。ケンは黙ってろ、あんまり口を滑らすんじゃない」


 カッコつけた俺はケンにそう口止めさせる。

 思わず事実を滑らせたケンを口止めする俺、すごくカッコ悪いぞ。

 そんなことを見た稔もわずかに引き気味な微笑みを浮かばせる。


「え、えっと~っ、あの~……り、理由はどうあれ、本当に0からのスタートだったのにこんなに早くメンバー集まったのはすごいと思うよ~。さすが、熱川君だな」


 歯切れが悪いとこから、稔は手を合わせて首を傾げほめてくれる。

 いきなり憧れと好意を寄せている稔にほめてもらえるとは、こりゃ案外俺の作ったバンドの幸先は良さそうだし、やっぱ未知数なところが見え隠れしてて化けるかもしれないな!

 俺は稔の笑顔をみてあっという間に気分がよくなったぞ、我ながら単純だが。


 そんな気分上々な俺に向かって腰に手を当て、訝し気な結理が近づく。


「んでっ、ちゃんと組めたのはいいけど。名前は?」

「んっ? 名前……? あ、俺と稔との間にできる未来の子の名か」


 意気揚々な俺はちょっとしたボケをかます。

 すると稔は顔を真っ赤にしてはギターケースを花束みたく抱き、体を揺らす。

 ああ、やっぱ稔は可愛いなぁ……と喜々した表情の俺に結理がかるくどつく。


「冗談はやめなさい。私が聞いているのはバンド名のことよ!」

「あー、なんだ。バンド名か……」


 俺はちょっとだけ寂しく思えたが、気を取り直して考え込む。

 訝し気な結理に訊かれて、俺ははじめてその問題に思い至った。

 そういや、ソルズロックバンドの名前なんてまったく考えてなかった。


 実際、俺がソロで活動していたときは安直に自分の名前にしていたほどだ。

 アーティストやバンドの名前なんて考えたこともなかったし、新たな問題点だ。


「いや、まだメンバーが4人集まってやっとバンドとして活動することができたばっかりだから、バンドの名前はまだ……」


 ケンがそうのほほんと、それでいて少し照れながら呟く。

 結理はバンドにとって大事なことを忘れていることに呆れ、肩を落とす。


 バンドの名前を決めることを忘れていたとは俺としたことがうかつだった。

 いやはや結理に悟られたのはアレだが、名前ってのは大事なもんだもんな。

 人間だって、生まれて初めて一番最初に親が名前を決めてもらうじゃないか。


 うん、これはいけない。

 早急になにか熱くて楽しくてカッコいい名を考えなくては。


「うし、それじゃあ"YOUTA&MINORI"だ。カッコいいだろ?」

「ええっ!? わ、私なの?」

「ちょっと、なんでそこで稔が出てくるのよ。稔はメンバーじゃないでしょ」

「いや、ちょっとしたお茶目な冗談だ。笑って流してくれ」


 瞬間、笑う俺の頭に1つのゲンコツが飛んでくる。

 家畜を見るような目を細めた結理の鉄拳制裁だ、かなり痛い。

 というかただの冗談なのに、そこまで怒ることではないだろう。


「じゃあ、ここは1つ、"Sum(サム)42"ってのはどうだろう?」


 俺の出した次なるバンド名に今度は暁幸が口をはさむ。


「おい待て、マジで待て、なんで"Sum42"なんだよ。どう考えてもソレ"Sum(サム)41"だろうが! しかも安直に"42"ってあまりにも直球過ぎるだろ! それに俺はあんなジャンルをコロッコロコロッコロと変えるような、心の通ってなく未コンプリートで、全然イケてないのは趣味じゃないって何度も言ってんだろうがっ!」

「な、なんだとおっ!?」


 暁幸の気に食わない言葉に反応し俺はテーブルを力強く叩く。

 鈍く、重々しく、無機質な怒涛音がロビーの中に短く響く。


「ちょっ、もうちょっと~っ、ケンカしないでよ~っ」


 稔が俺と暁幸のそばに近寄って気分を落ち着かせる。

 だけど急にバンド名決めろって言われても困るよな。

 そんなに急に熱くて楽しくてカッコいい名前を簡単には……。


「んっ? いや、ま、待てよ……」


 そのときまさに天啓とも言われるお告げが舞い降りた。

 突然そのバンド名が、神の雷のように頭の中に落ちて思い浮かんだのだ。

 俺の体に電流がながれ稲妻が(ほとばし)って走り、熱が注入されエンジンに火が点く。


 きた、俺たちの最高に素晴らしいバンド名はこれしかない。

 俺はそう運命の歯車が噛み合ったように確信を持ち、重々しく口を開く。




「――Sol(ソル) Down(ダウン) Rockers(ロッカーズ)




 俺は天啓を授かったバンド名を、その名を、小さくつぶやく。




ご愛読まことにありがとうございます!

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