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LIFE A LIVE  作者: D・A・M
First:Track Rock Today Wake Up Tomorrow
52/271

51曲目

投稿遅くなりました。

申し訳ありません…。

「おお、こいつはいいな」


 中庭をあとにした俺は学園内に入りある場所に向かった。

 目的地に着いて手に掛けた引き戸を横にスライドし、ドアが乾き鈍い音を立てながらゆっくりと開いた先の教室は、閑散としていており、とにかく外の活気あふれる音々とは真逆に静かな空間を保っていた。

 まあ、あるとすれば夏の季節にめっちゃ合う(せみ)の鳴き声ぐらいだがいい音だ。

 ライブ本番前の士気をひとり高められるには絶妙に打ってつけの場所だ。


 俺は教室内に足を踏み入れて蝉の鳴き声のシンフォニーを聴く。

 ここで俺は静かに孤独に浸り、熱血といえる心の部類に当たる殺伐としたパンクロックと、技の部類の暴動としたオルタナティブや体と成す重激としたメロディック・ハードコアなどから得れる三熱一体(さんねついったい)の闘志を養うのである。


 ああ、確か日本のパンクロックバンドの歌詞にあったな。

 今のように蝉の鳴き声以外音もたてないで過ぎていく、やり直せない日々。

 んでもって、教室のはしっこで、魔物を育てよう! って面白い歌詞がさ。

 んっ、待てよ、あれはたしか運動場で悪魔だったっけか? まあいいや。


 後もう1つ、洋楽のロックバンドでもこの状況に似てる歌詞があったな。

 よう、聞こえているか? 音を消せよ、そうすりゃ危険は無くなる!

 俺はここに居るぜ、楽しませろ! って最高のイカした歌詞だったな。

 あれ、そうだったか? 確か音じゃなく灯りだったっけか? まあいいか。


 俺は教室の後ろ隅の窓際にある机に向かい、椅子を引き座り落ち着かせる。


 昨夜は楽しみ過ぎてあまり寝れなかったが、まったく眠気を感じさせない。

 文化祭の本番バンドライブが近づき、少し神経が(たかぶ)りすぎてるのかもしれない。

 眠らないまでも、本番までに少しでも体力を回復させておきたかったかもな。


 俺は座った椅子の背もたれに背中を預け、天井を仰ぎ、ソッと両目を閉じる。

 夏の陽射しを照らす太陽の外からは、先ほどからアブラ蝉の鳴く音が聞こえる。

 無数に鳴るその声々に、俺はますます急かされるような気分に衝動を駆られる。


 イカン、ここで発散させてはダメだ。

 出すなら、やっぱり、ライブステージに立って本番で爆発させるんだ。


 俺は首元にあるヘッドホンを手に取りイヤーパッドで両耳を塞ぎ、ポケットに入っていたMP3プレーヤーの差込口にヘッドホンのコードを引っ張ってはプラグを差し込み、お気に入りのアルバムをかけて文化祭ライブに向けて闘気を養う準備に入る。

 そして、机の上に両腕で作った囲いのなかに頭を伏せて交寂の教室内から落ち着ける独りの世界に没頭していると、俺の熱く滾っていた気持ちが先ほどよりも次第に落ち着いてきた。


 深淵の視界に広がる独りの世界に流れているのは、『Sum41』だ。

 このバンドは、初めて音楽っていいなと思い自分のオリジナルを手掛けて歌手になろうと思えたきっかけを与えてくれた思い入れがあり、そして二度目の音楽を再決意しバンドとしてやっていこうと思える今でも一番大好きなグループだ。


 色んな音楽ジャンルを取り入れているバンドだからかそれに精通した音作りだとか、あらゆるジャンルにも通用する演奏技術だとかバンドとして演奏するパフォーマンスの良し悪しとか、そういう方面の要素をこだわりを持つ人にはとても聴いてられる楽曲じゃないかもしれないけど、俺はやっぱりきっかけをくれたこのバンドの音も歌詞も大好きだ。

 この人たちの楽曲を聴いていると、得も言えぬ楽しさと面白さを与えてくれる。


 そして、初めの頃は音楽の"おの字"も知らずに音楽の天賦の才もなく努力するしか方法が無かった俺にとっては、ロックだけじゃなくありとあらゆる存在するジャンルの音楽というのはこの2つが合わさった気持ちこそが全てであり……遥かなる未来にあるであろう、空に浮かぶ太陽で照らし燦々とした世界そのものだった。


 今リピートしているのは、初期の1枚だけだしアルバムも他のバンドと比べるとあんまり出しちゃいないがこのバンドは、色んなメンバーが入っては消え入っては消えを繰り返したくさんの悲劇に見舞われても世界中でライブをして人々に音楽の面白さと楽しみが込められた希望を与えている。


 俺の好きなこの『Sum41』もジャンルとしてはパンクやハードコアにメタルなどを色んなジャンルを取り入れて『Sum41』のよさを出しているが本質的にはパンクバンドと言えるし、そういった歌や楽器ってのはとにかく花火や今外で鳴いている蝉のようなきらめきを持つ刹那的なものだと人々の中で勝手にイメージされがちだが、『Sum41』は違う。


 先のようにバンドメンバーを何度も入れ替えながらもその影響で活動休止に追い込まれる事態になりながらも、活動当初の1996年から今まで20年以上もバンド活動を続けた俺にとって心揺さぶるバンドなんだ。

 しかし、彼らがやってきた歴史は、どこかやりきれなさを感じさせる。


 確かに彼らは世界を代表する『The Beatles』や『Ramones』などといった音楽のジャンルの先駆者でもあり、多くのバンドに影響を与えた歴史的バンドではないし、上でも下でもなく中くらいの系統的評価とも裏腹の事情もあってか、煌びやかなライブステージを記録することは多々あっても世界に存在するバンドでは上には上がいる。

 長年地道なライブ活動と生活面での暴行を受けても必死にメンバーと共に活動していき、本人たちがバンドで売れたいと願いやっとのこと世界や日本にも人気が出たという、まるでインディーズから這い上がったよくあるバンドそのものだ。


 人からすれば対してすごくもない、どこにでもいる洋楽バンドだ、と。

 きっと鼻で笑い、指を差してはバカにしてしまうような人たちかもしれない。


 1つの音楽だけが俺の頭に、体に、心に染み渡り反響している。

 俺はイヤーパッドから流れる『Sum41』の楽曲を聴いてやはり思うことがある。

 誰がどんなことを口にしバカにしても、ファンの俺が変わらない唯一の真実だ。




ご愛読まことにありがとうございます!

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