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LIFE A LIVE  作者: D・A・M
Second:Track I’m Truth Sols Rock” N” Roller
219/271

218曲目

実体験でこういう経験を積めた事。

圧倒的な感謝を送りたいものです。

アニメでもゲームでもない、リアルさ。

これを見てる貴方に伝われば、幸いです。

 どうしてこうなった。

 夜のコンビニデートから走りながら帰ってはすでに稔の姿を見失い、もう母屋の方にすっ飛んで不貞寝したのだろうと思い込みながらも俺は寺の浴槽を勝手に借りてはシャワーを使い、走り込みとコンビニでの愛の逃走と追跡劇で汗ぐっしょぐしょとなった頭と体を洗い流し、着替えに着替えてから本堂の方へと戻りそのまま泥のように眠ってしまった。

 自分の意思とは関係無しに睡魔が襲い、静かに寝息を立てて就寝した。


 翌日の日。

 世界にまた太陽の光が入り込み、布団もひかずに本堂の畳で横になって寝てた俺をアッキーが蹴りを入れて叩き起こされ、洗面所にてメンバー全員で出向いては顔を洗い歯を磨いてから本堂を出て参道を歩く。

 そこには身支度を済ませてる【二時世代音芸部(にじせだいおとげいぶ)】がいた。

 地獄のバンドの強化合宿を先にしてた俺たちの後に合宿に来た【二時世代音芸部(にじせだいおとげいぶ)】は、俺たちより一足先に帰宅の日を迎えた。


 境内には未だに現役な蝉たちが大いに鳴き夏の感じを出し尽くしている。

 そんな自然豊かな場所に手俺たちはなにを言うまでも無く、まるで体育会系みたいに横一列になり【二時世代音芸部(にじせだいおとげいぶ)】のメンバーと対峙するや否や、部長である結理が一歩前に出て住職の息子であるソウに深々と挨拶をする。


「どうもお世話になりました~」


 するとそれを筆頭に稔たちも同じような言葉を言い、ソウは1つうなずく。

 まったく、こういうのは最後の最後まで堅苦しい感じがして身が持たんぞ。


「はいはい、お世話になったんだったらさっさと帰れ。お前らはもう練習しなくても十二分に上手いんだからな! しかし、合宿してる俺たちより後に来て、先に帰るとはやたら余裕じゃねえか。いいのかな~、そんなことで本当に本気でバンド練習を積み重ねる俺たちに勝つつもりか?」


 思わずヤジと化した俺の言葉を聞いて結理は明らかに肩を落とす。

 ため息を1つ付いて俺をふふんと見てくるが、なんか腹立たしいぞ。


「あんた、バカ? 一緒の合宿先で音を肌身で感じたのに、まーだわかってないみたいねぇ。まだバンドの毛が生えたようなアンタたちが相手なら、このぐらいの練習量でちょうどいいハンデなのよ。手加減されてるってこと自覚しなさいよね」


 結理はうそぶく。

 たしかに俺をバカにするテンプレ通りのひねくれ行為は変わらないが、その微妙な目の動きや声色の違いからして、これからは【二時世代音芸部(にじせだいおとげいぶ)】のメンバーのみでライブ演奏に置いての緻密な練りとコンテストで出す楽曲の怒涛なる改善をしていくに違いない。


「フンッ……………………」


 思わず稔の方へと視線を移せばぷいっとソッポ向いてしまった。

 そんな態度を取って可愛さアピールをする稔も、やはり素晴らしい。


 間違いない、昨日の夜で侵したキスが原因だろう。

 稔はあれから目も合わせないし、口を聞いてくれない。

 でも、今度はあんな目に余るような恐怖症で怖がられたりイヤがられてはいないみたいで、それをちゃんと見れただけでホッと胸を撫で下ろした。


 その明らかな態度と対応を見て、結理が問う。


「ねえ、なんか稔と陽太の関係がギクシャクしてるんですけど~……もしかしなくてもやっぱりアンタたち、昨日の夜なにかあったんじゃないの?」

「えっ? 陽太さんと稔さんが、ですか……。そうなんですか?」

「えーっ? 陽ちゃん、またなんかあったの?」


 日向兄妹もその内容に参加する、いつもは大人しいのにな。

 俺がなんでもない、そう言おうとするよりも速く言い返したのは稔だ。

 仏の顔も三度まで、と、ことわざがあるがまさにそんな感じでかなり怖い。


「違うもん、ほんとになんにもないから! 熱川君とは全然、なんにも、ないからぁ!? もう、結理ちゃんもしつこいよ!」

「う……えっと、ごめん……」


 怒りの矛先が結理に行き、本人も悪気に思って謝る。

 優しい稔があの結理にさえくだを巻いてしまう始末だ。

 あんなに健気でお淑やかな稔が不良並みにグレてしまっただ。

 もしかしなくても、その原因は全部、俺のせいなんだが。


 よし、ここは言葉を選んでちゃんと謝ろう。


「稔、全面的に俺が悪かった! まさかあんな風になるなんて思ってもなかったんだが、本当に申し訳ないことをした! この通り、謝る。だからそんなに荒んじまわないでくれ! 俺はそんな稔の姿を見てるだけで、こう、胸が痛くなるんだ!」


 俺がここぞとばかりに迫ると、稔は大げさに飛び退いて逃げた。

 まるで野生のウサギみたいに逃げる稔を一瞬可愛いと思い、瞬時に傷つく。


「ヤダ、もう、ダメ! 近づかないで! 昨日も言ったけど体に触れるのもダメだし、熱川君は、私の半径10000メートル以内に近づいちゃダメ、絶対にダメだからねっ!」


 更なる追い打ちとなる連撃を喰らって俺は大いに傷つきうなだれそうになる。

 稔から毛嫌う通告を言い渡されたのは、プロボクサーのストレート級の威力。


「えっ? 半径10000メートル!?」


 ケンが新たなるルールとなるソレを口にする。

 止めてくれ、俺の心に大いに突き刺さるから、めっさ辛い。

 だが、しかし、まるで俺の切なる願いは聞き入れず、周りから飛び交う。

 稔との心の距離が、ほど遠いどころか見果てぬ道筋並みの距離になっちまう。

 なんだかそれだけで、俺の心がぽっかりと穴が開いたみたいな気分になる。


「半径10000メートルって、今もうアウトじゃないの。というか、10000メートルってもうそれ、人種が違える距離でもあるじゃないの」


 柳園寺(りゅうえんじ)が事細かにそのことを告げる。


「ここまで毛嫌いされながら半径10000メートル以内に近づいてほしくないとか、絶対に体に触れてほしくないって、相当嫌われてるってレベルじゃないな」


 アッキーが同情するように汗を1つかきながら言う。

 止めてくれ、同情するならこの関係性を直す手を貸してくれ。


「まぁ……これは、憎悪、ですかね?」


 南桐が手に負えないとばかりにそんなことを言う。

 稔に憎悪を向けられてると考えてしまうと、もう辛いんだが。

 否定気味な言葉を連ねる中、旅館の経営ビジネスやら将来的に保育園を立てて昔の寺子屋みたいに子供たちに勉学と遊びを教えたいと願う園長志望でもあり住職で仏法を学ぶという、才色兼備で文武両道なとこを魅せるソウが「まあ待て」と一言告げてから咳払いをし稔の方を見上げる。


「しかし、憎悪は愛情の裏返しとも取れるのではないか? つまり稔さんは……」


 強い憎悪は強い愛情の表裏一体である。

 その言葉に俺はもちろん稔も絶句する中、一筋の期待感の募る皆が黙る。

 いいぞ、流石は寺と旅館の息子だ、人の気持ちをよく視て理解してるぜ。


「愛情とか、それは違いますーーーーーーーーーーーーッ!!」


 一瞬にして稔が静寂を切り裂き否定する。

 止めろ、そのやっぱりなって感じの空気を止めれ。


「おい、ちょっとは落ち着け。一旦心の火に付いた想いをソッとし冷静になれって! 第一、稔の半径から10000メートルも離れたら会うのも困難だし、まずキスできないじゃん! そんなのヤダぞ俺はっ! 撤回だ、その煩わしいルールを撤回してくれぇ!」

「きっ……違うもん。もうキスなんて絶対にしないの!!」


 稔はまた俺の方をキッと可愛らしく睨み強く批判する。

 そんな殺生なっ!? あの甘いキスはもう打ち止めなのか。

 なにやら艶めかしく隠し事の話をする俺らに結理が間に入る。


「ちょっと。今、何て言ったの? キスはもうって……あーっ!? やっぱアンタたち、絶対昨日の夜になんかあったわよね?」

「そ、そうですよね。なんか、大人の階段を上った感じで……?」

「えっ? そうなの? わぁ~、陽ちゃんと稔ちゃんはそんなことが……?」

「違う、違うもん、違いますーーーーーっ! 熱川君とはこれっぽっちも、なんにもないってば!! そんなのありえないもん。もう、熱川君のバカあっ!」


 稔はもう手に負えないという感じで不満を全部俺に出した。


「えー、俺かよ……」


 素直な言葉が無意識に出ていた。


 そんなこんなで稔たちは微妙な気まずさを残してそれぞれの家に帰宅した。

 彼女たちの帰る姿を見送ってから、また境内と旅館の掃除を買って出てはやったり走り込みに出かけては本堂に戻って住職さん監視の元で座禅をしてもらったり、そのまま楽器を持ってセッションしたり作詞作曲にアレンジなどの考えを出しては試してみるなどの日々を、時間を大事に使いながら過ごしていった。




ご愛読まことにありがとうございます!

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