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LIFE A LIVE  作者: D・A・M
Second:Track I’m Truth Sols Rock” N” Roller
149/271

148曲目

投稿遅くなり申し訳ありません。


バンドマンで作詞作曲担当者。

大体は深夜の公園でおとなしく練習。

又は、脳内で歌詞を出して書き込む作業。


あるある……いや、ねーよ。

 深夜ともなると深淵にも思える夜道を4人の音楽人は道を歩く。

 暗い中を僅かに照らされる電柱の明かりを頼りとなるか細い道だ。

 俺たちはバンド内の方向性やオリジナルの歌詞などを出しあってた。


 出てくる単語はなかなか世紀末な言葉が多くて割かしいい感じだ。

 俺の"深淵の中にダイナマイトを投げつけろ"とか暁幸の"ダイナミックに腐った世界をエクスプロージョン!"とか、中には宗介の"バイクのエンジン音を吹かして疾走感に身を投じろ!"とかケンの"静寂の中に光となるロック魂を灯せ"とか、太陽みたいなソルズロックのオリジナル歌詞にはもってこいな単語がてんこ盛りでけっこうワクワクしてしまう。


「そんじゃ、俺と宗介はこっちだからよ。近い内にまた会おうや」

「うむ、そうだな。陽太と日向よ、また合宿当日に会って練習をしよう」

「おう、今度こそはきっと俺たちの実力を見せつけれる力を付けようや」

「ははっ、そうだね陽ちゃん。それじゃ2人とも、また今度ね~!」


 ライブ帰りの俺とケンは同じメンバーに見送るように言葉を投げかける。

 あんなに意思が伝わらなかった俺たちが今では素直ってのも可笑しいが。


 暁幸と宗介は右手を上げては宙の中で左右に振りそのまま踵を返す。

 そして暗い深淵の中ともなる道路の先へと体を包み込み消えていった。

 薄暗い道にいても俺やケンにはその雄々しい後ろ姿は見える気がした。


 しばらく歩いて行くと、ケンと奏音が住む上流階級(アッパークラス)の家が見えて来た。

 うん、やはりお洒落で小奇麗ながらも大富豪の家みたいな(さく)もある一軒家だ。

 その柵の扉を開けるカギをケンはポケットから出し鍵口に差し込みひねる。


 ――キィ……。


 甲高く金属音が近くからなりそのまま柵は開け放たれる。

 ケンがその内側に身を入れるとこちらに振り返る。


「じゃあ陽ちゃん。また明後日になるのかな?」


 ああ、地獄のバンド強化合宿の日程のことだな。

 宗介のあの感じを見るに多分そうなるだろうな、と俺は思う。


「ああ、明後日だ。宗助の親父さんがやってる寺の前で集合かもな」

「そっか。うん、わかったよ。それじゃお休み~。気を付けてね?」

「おう、お休み。あんがとよ」


 俺がそう短く感謝を述べるとケンは微笑む。

 そしてまた甲高い金属音が鳴る柵を閉めてカギを閉める。

 ケンが家の扉近くに進みカギを開けたとこまでみて俺も踵を返す。


 暗い夜道を歩けば歩くほど深夜の冷たい風が俺の冷えた体を包み込む。

 まるで冷蔵庫に手を突っ込んで冷やしている気分にさせられるもんだ。

 だがなんだろうか、いつもは気持ち悪いのに、今はなんだか心地よい。


 音も虫の鳴き声と微かな足音だけしか鳴らない静寂の世界。

 そんな空間と時間の中を悠々と進み、俺は自分の家に辿り着いた。

 やはり何度見ても今すぐ崩壊してしまいそうな日本家屋だよなぁ~。


「……………………」


 俺は静かに家の入口となる扉をゆっくりと開けて身を中に入れ閉める。

 履いていたスニーカーを足でめんどくさそうに脱ぎ捨て木製の廊下を歩く。

 足を前に出して歩く度に、湿度の変化もあるのか廊下がギシギシ音を立てる。


 親父の部屋の前を歩くと爆音とも思えるイビキが聞こえてくる。

 よくあんなにイビキを掻いて寝ていられるな、と俺は常々思える。


 そのまま1階にある浴場へと出向き、中に入って衣類を脱ぐ。

 浴槽の室内に入るとやはり湯は零されていたのでシャワーを手に取り流す。

 汗だくと熱で満たされた俺の体に浸透するような水が頭から降り注ぐ。


 流したままの状態で浴場にあるシャンプーを押し液体を出してはぶっきらぼうに頭に付けてはゴシゴシと洗い、すぐに石鹼(せっけん)をボディタオルに原始的な火を起こすような要領で泡立たせてから同様に体を洗いシャワーの水で流す。


 使用時間は占めて約3分程度、カップラーメンがちょうどできるぜ。

 そんなバカげたことを考えながらも、タオルで全身を拭き脱衣所にあった"ライブに出向く前に置いてあった換え用の服"を着て、気分もサッパリしたしさっさと浴場から出る。

 とりあえず俺は親父を起こさないように自室のある2階へと静かに上る。


 部屋の明かりを点け古臭い豆電球が点灯し暗い内装を明るくする。

 ベットの傍に立ててあるギタースタンドの方へと近づき背中に背負っているテレキャスター入りのギターケースを床に置き、そのままチャックを上から掴んで下にそのまま引き下ろし中から楽器を取り出して、スタンドへとギターネックを重ねるように置いた。

 そしてすぐに部屋にあるベットに吸い込まれるように仰向けでぶっ倒れる。


 反動で横になった体が上下に揺れ動いている中、俺は部屋の天井を見上げる。

 あのとき、笹上さんも楽屋の天井を見上げていたが、なんだったんだろうか?

 本当に俺の言ってることがバカバカしくて笑ってるのをガマンしてるだけか?


 今の俺にもあの人の考えている意図もわかりやしない。

 ま、そりゃそうだろう、俺は俺で笹上さんは笹上さんなんだ。

 同じ人類とはしても見た目も考えも行動も違うんだから、わかるわけない。

 だけど中には俺みたいに、その真実を知って見たいという(やから)もいるわけだ。


 まだヘタな楽器も歌も、バンドで演奏()るライブの出来も絆も底上げしたい。

 だったら上手いと言われている人の行動の真理を知りたいのは普通のことだ。

 ベット上で横になった状態のまま、深く深く考える、考える考える考える……。


 そこで焦燥感と興味心に駆られた俺の脳裏に描かれた解答は出た。

 部屋の中にある時計を見ると、時間はもう【4:11】と記されている。

 ライブでの衝撃とバンドメンバーとの絆の繋がりを知った俺は眠れん……。


 なら、やるべきことは1つだった。


「……コーヒーでも買って、噴水広場でアコギでなんか弾くか」


 微かに楽しそうに焦る俺の気持ちに従うことだ。


 言葉では言い表せない感情が生まれてくると、バンドマンとしてでもシンガーソングライター感覚でも頑張ってこの先を生きていこうってあの日以来からずっと思いながらどこかしらで恐れて怖かったんだけど、音楽とロックに魅入られた俺が普通の人間として生きる術はもう手遅れかもしれない。

 だってちょっと心の底からワクワクしてきちゃってるんだからさ。

 ああ、ゲーマーの感覚みたく浮かぶ熱い魂には逆らえないのさ。




ご愛読まことにありがとうございます!

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