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『TLS 第一話』  作者: 黒田純能介
7/20

伝令


再び食堂にて―


「よお。何か見つかったか?」


皇は布津の姿を認めると問い掛けた。


「…あぁ。恐らくは犯人と思われる奴と遭遇した」


皇は目を剥いた。


「ホントかよ!?よく無事だったな?」


「流石に学内だからな…。騒ぎはお互い避けたかったって所だろう。そっちはどうだ?」


皇は肩を竦めた。それを認めると、布津は口許を歪める。


「一度戻るぞ。長居して襲われても面倒だ。…おい」


「ふが?ひょっふぉはっふぇふえお」


皇はパンを口一杯に頬張っていた。布津は呆れた表情を浮かべると携帯を取り出し、何処かへ連絡し始めた。タクシーでも呼んでいるのだろう。



~二時間後~


都内の一室。そこに再び布津と皇の姿があった。


「さて、どーするよ?」


部屋に着くなり皇は問うた。布津は答えずソファに寝転ぶ。


いつもの事なので皇も椅子に腰掛ける。その直後、ドアがノックされる音。皇がはい、どうぞ、と答える。


「失礼しま~す!」


明るい声と共に若い女が入ってきた。伝令役の月野だ。


「裏葉ちゃ~ん!会いたかったよ~!再会のキ」


言い終わる前に月野の拳が皇の顔面にめり込んでいた訳だが。


痛みに転がる皇を尻目に、布津は月野に声をかけた。


「伝令か?」


「あ、はい!こちらを…」


月野は封筒を一枚取り出すと布津に手渡した。


「……………。」


布津は中身を確認すると、そのまま破り捨てた。


「俺まだ読んでねー」


「内容はシンプルだ。俺の報告から、近々襲われるだろうから、返り討ちにしろ。だそうだ」


「…また戦うのかよ。俺達ゃ正規部隊じゃ無いってのにさ」


皇は重苦しい溜息を一つ、吐いた。


「嫌なら抜ければいい。別に止める理由は無いが?」


「ちげーよ。そういう事じゃ無くてさ…」


「あの~。」


割って入ったのは月野だ。おずおずともう一枚の封筒を取り出す。


「さっき来た時、ポストにこれが…」


皇はその封筒を受け取ると封を切った。


「すいません、私次の仕事がありますので、これで失礼します」


他の部隊への伝令もあるのだろう、月野はそそくさと去って行った。


「あ、裏葉ちゃ…」


「寄越せ」


布津は皇の手から手紙をひったくると、内容を確認した。


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