動き出す『破壊』
都内から外れたとあるネオン街。その一角にある事務所。
建てられてから相当の年月が経っているのだろう、あちこちに老朽化が見られる。
そんな建物の階段を上がってくる人物がいた。
その人物の名は柊。勿論裏の世界の住人である。
柊はズラリとならぶ事務所群、その中にあるドアの一つの前で立ち止まると、ノックをし返事を待たずその鉄のドアを押し開けた。
ギィィィ…。
軋むドアを押し開ける。室内には二人の男が佇んでいた。一人はデスクに脚を投げ出しだらしなく椅子に座り、もう一人の男は窓際に立ち、外を眺めていた。
柊は一つ溜息を吐くと、デスクにいる男、神崎に語りかけた。
「困るんだよね~。勝手な事されると。あの地区はまだ態勢が整っていない。そんな時に殺しはマズいよ、」
「柊さん」
無表情で神崎は柊の言葉を遮った。
「不意打ちだったもので。手加減できなかったんですよ」
…取って付けたような言い訳だ。柊は内心舌打ちをした。
神崎の実力はよく分かっている。だからこそ窓際に立っている男、一条を付けたのだ。奴なら上手く神崎を押さえてくれるものと思っていたが…。
柊はチラリと一条に視線を送った。だが一条は身動ぎ一つしない。
…やはり『傀儡』か。
柊はまた一つ溜息を吐くと、神崎に視線を戻した。
「まぁいい。次の指令を伝える。君達の次の任務は…」