暗殺
夜が空けつつある。
神崎はネオンの消えた街を歩いていた。
もう見慣れた事務所の階段を上がると、ドアを開けた。
…ギィィィ…。
今日に限ってドアが重い。出迎えがあった。
上り始めた朝日に浮かび上がる人影。柊。
「………。」
柊は振り向くと神崎の姿を認めてから切り出した。
「やぁ、神崎君。報告は受けているよ。大活躍だったみたいだねぇ?」
「柊さん…」
バカにされたのかと、神崎は目を剥く。それを制する様に柊は続ける。
「まぁまぁ。言いたい事は分かるよ。非常にね。…今日はキミに良い話を持ってきたんだ」
困惑する神崎。それと同時に柊の背後から一人の女が現れた。…確か、鳴神と言う女だ。組織の監査役と聞いた事がある。何故ここに…。
おもむろに鳴神が懐に手を伸ばす。…取り出したのは銃。それを緩慢な、気怠そうな動作で神崎に向ける。まるでこれからつまらない事が始まるのを予期している子供の様に。
「………!?」
柊が続ける。
「そう、キミに休暇をね。あげようと思ってさ」
「待ってくれ!俺を殺すのは組織の損失じゃないのか!?」
焦った神崎がまくし立てる。間髪を入れず鳴神が口を開く。
「目立ち過ぎなのよ、アナタ」
凍りつく様な言葉に、思わず後ずさる。
ドン。背中に何かがぶつかる。
「な…一条!?」
振り向いた神崎に突如拳が浴びせられる。至近でガードするのがやっとだった。勢いを殺し切れず、軽く飛び上がりながら下がる。
ゴリッ。
後頭部に冷たい感触。
「死んどく?」
パンッ。
…それが、神崎の聞いた最後の音だった。




